感嘆

ヘモグロビンという血液中のタンパク分子には、

酸素と一酸化窒素と一酸化炭素が付着している。



酸素はミトコンドリアがATPを生み出す際の

電子の受容体として必須な分子であることは周知だ。



しかし、一酸化窒素と一酸化炭素には、

これまではいわゆる身体を酸化させる活性酸素や

中毒の原因分子という身体に害を与える

体内に発生する障害分子としての位置づけしかなかった。




この一酸化窒素と一酸化炭素は近年になり情報伝達の役割があることが発見された。

一酸化窒素は指圧などの押圧刺激により皮膚と血管壁で合成分泌される。



この血管壁で合成される一酸化窒素の材料になる分子はアミノ酸のアルギニンである。

アルギニンは大豆や玄米やナッツや肉類などに含まれるアミノ酸だ。



アルギニンをもとに血管壁で合成されて分泌された一酸化窒素は、

分泌した細胞を飛び出して、隣の血管の平滑筋細胞の中に入り、

グアニル酸シクラーゼという酵素に作用して、

血管を拡張する。



血管が拡張しなければ血液は運ぶことができない。


一酸化窒素は血液を運ぶためにもっとも大事なガス分子であり、

ミトコンドリアを増強し、

マクロファージを活性化し、

細胞間の情報伝達を促進する

もっとも大事なホルモンなのだ。




血管壁で合成分泌される一酸化窒素はこのように、

血管壁でアルギニンをもとに指圧刺激などで生み出されるが、


では、冒頭のヘモグロビンに付着した一酸化窒素は、

酸素と共に全身に運ばれて、各細胞でどのように作用しているのだろうか?



身体に悪さをする分子をわざわざヘモグロビンに付着して、

運ぶだろうか?



やはりこのヘモグロビンに付着した一酸化窒素も一酸化炭素も

何らかの役目を担っていると、

見て間違いないのではないか?




酸素という元素は地球が誕生した頃にはなかった元素だ。

仮説では35億年前頃に誕生したらしいシアノバクテリアという光合成細菌が

盛んに酸素を産生したことで、徐々に地球の酸素濃度が上がったという。




このシアノバクテリアによる地球における最初で最大の

酸素汚染!

環境汚染!

がキッカケで地球の酸素濃度が増したのだ。



この酸素が海中で鉄と反応し酸化鉄となって海底に沈殿した。

この時に海底に沈殿した酸化鉄が鉄鉱石の鉱床となった。




鉄という元素は酸素を付着する。

ヘモグロビンというタンパク分子の酵素の中心元素は鉄だ。

鉄を酸素のキレート剤に使うことで、

ヘモグロビンは酸素を吸着している。

そのヘモグロビンの鉄元素には2個の酸素と、

1個の一酸化窒素と、1個の一酸化炭素の、

計4個のガス分子がくっついている。



ある意味、これらの4個の分子ガスは、

すべて酸素化合物である。



酸素は比較的に地球史では新しい元素で、

またある意味、反応性が高く危険な元素だ。

いやもっと平たく言えば、

酸素には猛毒としての側面もある。

酸素が人体に過剰に供給されると、

ケイレンを起こすことがよく知られている。

酸素がミトコンドリアのATP産生に必須な元素であるといっても、

やはり必要量以上は要らないのだ。



酸素という猛毒を飼い慣らして、手なずけて、

ヒトは莫大なATPという富みを手にした。

その猛毒の酸素を飼い慣らしてくれたのは、

細胞内に共生したミトコンドリアという共生体だ。


ミトコンドリアのなかには酸素を付着する鉄元素が充満している。

それゆえにミトコンドリアの内部は真っ赤だ。



酸素も一酸化窒素も一酸化炭素も、毒としての側面がある。

その毒をうまく利用して、

ミトコンドリアは膨大なATPを産生し、

細胞は一酸化窒素や一酸化炭素を情報伝達に利用し、

血管を拡張し血流の動力源とした。




毒すら縦横無尽に利用する生命系の不思議。




猛毒の酸素濃度の上昇という地球環境の変動と折り合いをつけて、

よくもこれほど多様で複雑な真核生物の生命系ができたものだ、


と感嘆の念を強くする今日この頃である。

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2016.04.11 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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