羅鍼盤 5

命と病を、健康と疾病を、善と悪を、正と邪を、男と女を、大人と子供を、天と地を、陰と陽を、動物と植物を、ヒトとヒト以外を、生物と無生物を、ミクロとマクロを、地球と宇宙を、生と死を、文明と自然を、西洋と東洋を、古代と現代を、過去と未来を、因と果を、始まりと終わりを、問題と答えを・・・

私たちは常にこれら相対する二項概念を頭の中で対立させて思考するクセがついて久しく、また何か問いを発したら、必ずその問いには答えが存在し、その答えはひとつでなければならないとでも思っているかのような強迫観念に支配され、

そして答えが合っているかどうか常に他者に承認を求める性癖すら身についてしまっている。しかし現実のリアルな世界において、必ずしも通説や定説という予定調和の線形的なロジックでは解けない問題がゴマンと存在することは

誰も疑う余地などないだろうし、そもそもこの62桁の無限大宇宙の構造解析すら仮説の域を出ずに、宇宙はひとつではないとする多次元・多重宇宙論などが取りざたされる程に森羅万象は不可解なのだ.。

命の世界もまた私に言わせればまさに「生命宇宙」と呼ぶにふさわしい「カオス&コスモス」ワールドであり、ある場合にはコスモス(秩序)な整合性を発見したとしても、

またある時はカオス(混沌)な予測不可能な事象が発現して先のコスモスが覆されて、バランスが乱れて陰陽が混ざり合うという、大いに戸惑う存在こそが「命」というものである。

多賀法印流という鍼医集団が打ち立てた医学界の革命的な金字塔であった「命は病、病は命」の「邪正一如」観に触れた衝撃は、わたしの思考パターンを内部から徐々に変容させていった。

「ガンは敵ではなく味方であり仲間である」という提言はつまりは「命は病」の「邪正一如」の文脈にあることがご理解頂けましょうか。

多賀流の命観からすれば、ガンを敵視しない姿勢は決しておかしなことではなく、むしろ正統な多賀流思想の直系であり、同じ文脈からワールブルグ効果のセオリーを解読していくと、

ガン細胞が解糖系を亢進していることもカオスではなくミトコンドリア機能不全をはじめとする細胞内外環境システムの変異をバックアップするためのコスモスな整合性のある現象であり、

このガン細胞の解糖系の亢進の副産物である乳酸や変性タンパク質などがオートファジーの亢進により再利用されていることもまたコスモスな調和ある生理現象である事が読み取れてくるのだ。

通常医学はガン細胞を遺伝子の変異による疾患と見なすのだが、この変異という概念の中にも確実に調和あるコスモスが存在することは無視してはならない。

つまり遺伝子は常に環境というトリガー(引き金)により発現をオン、オフするエピゲノムな機能を基本とするのであり、

遺伝子が勝手に暴走したり、勝手にデタラメにランダムに発現することは決して無く、あくまで環境に適応するかたちでDNAセントラルドグマが起動している事は改めて強調しておきたい。

鍼灸指圧の素晴らしさとは実はエピゲノムに働きかけてストレス応答タンパク質のヒートショックプロテインを分泌して、

皮膚という免疫の最前線で活躍する樹状細胞の細胞膜レセプター・トールライクレセプターを刺激することで全身の免疫力を活性化できることにあるのだ。

「人は地に法(のっと)り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る」
老子・25章

この中国哲学の老子の一節の中で使用されている「自然(しぜん)」とは、対象として目に見える山川草木の自然を指すのではなく、モノやコトが本来のままに、あるがままにはたらくという意味であるとされ、

同じく「道(みち)」もまたモノやコトに内在する本質であり、作用であるとされる。

この自然という今では普通に使用される言葉も意外にわかったようで分からない曖昧で抽象的な言葉であり、それは漢字圏の中国や日本だけでなく、

「ピシュス、ナートゥーラ、ネイチャー」と自然を表現する西洋はギリシャ・ラテンに始まるヨーロッパ思想史においても同じく難しい概念とされている。

江戸期の鍼灸家であった安藤昌益はこの自然という熟語に「ひとりする」という読み仮名を振り、また男女と書いて「ひと」と読ませ、天地という文字を「転定」の漢字に置き換えてしまった。

この天地という宇宙はまさに「転がりつつ定まった」存在だと安藤は言っているのだろうか?

動的平衡トレンドの随分と先を安藤は行っていましたね。

わたしにとってのお気に入りキーワードは「変わらなくあるために、変わりつづける」

今年も「ひとりする」自然な「みち」の流れに従い、あちこちを「転がりつつ」もいつも「定まった」ここ本ブログを拠点に「変わらなくあるために、変わりつづける」命を見つめて、情報発信に勤しみました。

変わらなく、読み続けて下さった読者の皆様には多大なる感謝をあらためて申し上げます。

貝原益軒翁に言わせれば「養生の道は、病なき時つつしむにあり」だそうです。

未病治こそが真の養生です。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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2014.12.31 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

羅鍼盤 4

私の生命観を根底から変えた最も偉大な言葉は「命は病、病は命となり」

実はこの言葉に出会うために私は鍼灸師になったのかもしれない。忘れもしないあの日、この言葉の衝撃に嗚咽し熱い涙が頬を落ちるのも気にせずに、私は声をあげて泣きました。

ヒトが文字から得た情報によって泣くことがあるなんて、ドラマか漫画のフィクションの世界にしかないと思っておりましたが、自分がそのドラマの主人公になるとは予想だにしませんでした。

「わたしはまだ治療の何たるかなどまったく知らなかったのだ。治療などと称して患者の症状を取り除こうとするのなら、いっそのこと患者の首をかき切ってしまえ!命と病は決して切り離せるものではない。命は病、病は命なんだ!」

江戸期に入る前に近江は多賀大社に本拠を構えていた鍼術の一派「多賀法印流」が到達したこの医の境地「命観」は、世界に誇る日本医道の精華であると私は確信しております。

この多賀流の自分流の意訳をとあるサイトの掲示板に記しましたら、ある心療内科の医師が「いや、感動した!見事です」とのコメントを下さり、ひとしきり会話が弾んだ経験がございます。

なんでもこのドクターが申すことには「医者たちが自分の専門の疾患にかかって病に伏せったり、亡くなったりするのは、患者が経験すべき病気を横取りした報いであり、実は病気には意味があり、患者はその病気を通して精神的にも肉体的にもこの世で成長するいい機会なのだが、それを邪魔するから医者は因果応報に相応のしっぺ返しを頂戴するのだ」

として、多賀流の言葉が命の真相を喝破していることを絶賛してくれました。

この世の中の医療というものはとにかく病気や症状を取り去ることのみに明け暮れており、その症状がいったい何の因果で発現しているかとか、その症状にも何らかの意味があるかもしれない、とか

そんな事にはまったく頓着せずに、ひたすら病因分析をして「これこそが病気の原因だから、これさえ取り除けば万事うまく行く」というロジックを血眼になって広言し、

いつもいつもこの「こうだから、こうする」の線形的なロジックのループをまるでネズミがクルクルと回転する歯車に乗って永遠にそこで必死に漕ぎ続けているように、今この瞬間にも病気の原因を追い求めている。

しかし病気にも意味があるのは、感染症に罹患することで癌が自然治癒する丹毒症や「コーリーの毒」や丸山ワクチンの例が何よりの証拠となることはすでに本ブログ読者の皆様にもようやくご理解頂けるようになったかと存じます。

なぜ私は冒頭の短い文言であれほど泣いたのか?

それは自分が治しているという傲慢なそれまでの治療家然とした気概が余りに恥ずかしかった事もあるし、邪正一如の多賀流の命観がまさに細胞生理における解糖系とミトコンドリアの関係性とガンとの関連にマッチしてその奇跡的なロジックの一致に感銘したこともあるが、

何と言っても、この言葉こそが医療の本質を鋭く突いていて、この言葉こそが命の何たるか?をもっともよく悟らせてくれたという嬉しさ、歓喜の突き上げによりあれほど泣けたのでしょう。

本質を悟るとはこういう事を言うのです。

中医学ですら邪と正を分別し差別して、ワルモノである邪を探す論理から卒業できなかったのです。

なぜこの日本において、邪正闘争の無限ループを抜け出して、邪正一如の真の命観にアクセスできたのか?

これはやはり天台本覚思想に端を発する「山川草木悉有仏性」の仏教思想に根源があり、縄文から地下水脈で伝わった自然崇拝のアニミズムと通底している日本独自の神仏混合の風土こそが、この世界に誇る革命的な医学観を打ち立てたとは、

鍼灸師であり鍼灸ジャーナリストの松田博公氏が流麗な語り口で分析しておられるのだが、まさに日本という土壌が生んだ土着の命観は読む者をして、400年の時を越えて鍼医スピリットが交感スパークし、私の涙腺から溢れる涙を惹起したのです。

ワルモノを追い求める医療から決別した時、はじめて命の流れのすべてに意味があるとする視座を得ることができるようになりました。

ガンの解読においても、ワールブルグ効果にこだわらない、小胞体ストレスやオートファジーやリソソームや遺伝子との兼ね合いで複雑に捉える視点もこのところセレンディピティに脳裏に炸裂しつつあります。

微細な一点の解析で、命の何たるか?などわかろうはずがありません。

命とは綾なす二重ラセンのダンスなのですから。

たまには健康も医療も養生も何もかも忘れて、命の流れにただ身を任せるのも、実はこれこそが真の養生なのかもしれません。

すべてを忘れてしまうほどの悟りの境地を中国哲学の荘子では「坐忘(ざぼう)」と言い、西原克成博士は「憶(おく)に記(しる)す」と表現しました。

すべてを忘れても「命は病、病は命」の「邪正一如」観だけは、医療家として、鍼灸師として、鍼医として忘れてはいけないと殊勝にも心に誓う年末です。

2014.12.31 | | コメント(5) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

羅鍼盤 3

ガン細胞が「敵ではなく味方であり仲間である」と気づいたキッカケは本来ならガン細胞を攻撃して貪食してしまうはずのマクロファージという免疫細胞の中に腫瘍関連マクロファージと呼ばれるガン細胞を警護するマクロファージが存在することを知ったことであり、

また同じく本来なら免疫細胞の司令塔的な立場にあるリンパ球のT細胞の中に制御性T細胞と呼ばれるこれまたガン細胞の防護役の免疫細胞が存在することを知ったことであり、

また生体防御タンパク質と呼ばれる生命機能に不可欠なタンパク分子の中の炎症抑制や他のクライアント・タンパク分子の介添え役のヒートショックプロテインHSP90が、強力にガン細胞を保護しているという瞠目すべき事実を知ったことであり、

さらにオートファジーという細胞質の浄化機構がガン細胞内において活性化していて、ガン細胞の細胞質に溜まる解糖系の亢進の副産物の乳酸や変性タンパク質が

盛んに分解されて糖新生が積極的に進行することでガン細胞の細胞質における物質リサイクルが滞りなく循環している事実を知ったことも実にショッキングな証左となった。

つまり本来ならガン細胞を標的として攻撃するはずの免疫細胞のマクロファージもT細胞もガン細胞の味方になり、本来ならガン細胞を見つける際の抗原として活躍するヒートショックプロテインもガン細胞の味方になり、

本来なら正常細胞の細胞質をキレイにしている細胞質浄化システムであるオートファジーもちゃんとガン細胞においても仕事をして、ガン細胞の細胞質をクリーニングしているというまぎれもない事実から判明したことは、

ガン細胞とは通常の生理現象における本当の意味での正常細胞と何ら変わりない存在だったという、とてつもない大発見であった。

チマタにはガン細胞を敵視する論説しかないと言っても過言ではない。そんな状況の中でまるで狂人のような「ガン細胞は敵ではなく味方であり仲間である」の発言に同意と称賛と共に、反発や憎悪が生じたとしても何も不思議ではなかったのだ。

ただわたしもここまでは良かったが、癌の原因解読に関しては「ワールブルグ効果」という単一の原理に取り憑かれて、他のファクターやパラメーターを縦横に俯瞰する視点を失ってしまっていたことは否めず、本年の最後の締めにおいて大いに反省するところである。

ワールブルグ効果とはすでに本ブログフリークには常識となっている概念であるが、かいつまんでおさらいすると

「ガン細胞内のミトコンドリアは数が減り機能も失調してカタチがいびつになったり膨らんだりして異形化してしまってATP産生が不能になっており、そのかわりにガン細胞の細胞質の解糖系という糖質を10の無酸素の酵素反応で乳酸に分解してピルビン酸からアセチルCoAに変換するATP産生が亢進している」

というガン細胞内における特異的な生理現象のことである。

このワールブルグ効果の意味の解読から私はかれこれ5年は前に

「ガン細胞はミトコンドリアの機能不全によって生じたミトコンドリアのバックアップ細胞であり、ガン細胞は無酸素と低体温という環境に応じて必然で生じた細胞である」

という論旨をネット上に公開しておりました。その少し後にある非常に有名な免疫学者のA氏が出版した書籍の帯に

「人類はついに癌を克服した。100年に一度の大発見!」とか「病気の原因は無酸素と低温のたった二つである」

の文字が躍っているのを見て、「あれっ?俺がネットでコメしてたのと同じ文句じゃん!」と少しビックリしてそのままスルーしてしまったのだが、

今となってはもしかしたら、本当に私のネット上に公開した文言をそっくり剽窃(ひょうせつ)したのではと思う今日この頃である。

いや別に私が自信過剰だとか、上から目線の傲慢な人間性の持ち主だとか、そういう人格分析は好きにしてくれて結構なのですが、

そうではなくて、ネットは基本的にある情報を公開すればそれは無料で拡散していく情報伝達ツールであることが利点であり、

重要データの拡散には世界を変革する可能性すらあるとする意見を私も尊重するひとりだからこそ、こうしてバンバンと次から次ぎに矢継ぎ早に新規な情報を公開し続けているのだが、

ただそうした著作権フリー的な状況を良しとして、平気でヒトサマのブログ内容を抜き取って自分のブログ記事中にまぎれこませる者が昨今は散見され、

まるでそれを自分が発見したようにして平気で論説を展開する者がおるので、もしかしたら有名な免疫学者さんもまさかネット上で私の発した言葉からヒントを得てあんなタイトルの本を書いたのでは、と今更ながら思う次第です。

ですから、最近では私も気をつけて

「盗用、引用、転載、厳重注意、もしも転載引用したくば許可を申し出ること」

なる文言を随時記載することに致しました。私自身がじっくりと丹念に温めてから渾身の「気」で公開に踏み切ったエレクトロ・ダイナミック・フィールド仮説(動電場理論)の創設者である

ハロルド・サクストン・バー博士の言葉なんかを我がブログからそっくり盗まれた日には、アンタ、ええ加減にせんかいって気分になりますもん。

さて、ワールブルグ効果のセオリーがなぜ魅力的だったかと言えば、これは解糖系とミトコンドリア系の二つの系のやり取りだけで、かなりキレイに線形的なロジックが形成できて、余りに美しい論理に我ながら惚れ惚れしてしまう程にスムースな論理展開が出来たからなのですが、

いったんこの解糖系とミトコンドリア系の二項対立のマジックが解けて、線形ロジックの魔法が消えると、その衝撃はなかなかボディブローのように重たい責任となってのしかかってくるものです。

そもそも解糖系を亢進すると言っても、それだけでは細胞質に解糖系の副産物が充満してきて、それに伴いオートファジーでも対処しきれない程に乳酸や変性タンパク質や脂肪がガン細胞の細胞質に蓄積してしまい、

最後にはオートファジーがすり切れて不能となってオートファジー不全が引き起こされてくるし、またオートファジーが目一杯機能する過程ではオートファジーの最終過程であるリソソームでの

分解処理も限界に達して、リソソームでの分解が不能となってリソソーム内に乳酸や変性タンパク質や核酸やミトコンドリアなどのオートファジーで捕捉された物質が充満するリソソーム蓄積病まで引き起こされる危険性が生じます。

しかしこういったガン細胞の細胞質における分解システムが、またガン細胞内においてはオートファジー亢進というバックアップにより、何とかガン細胞内の細胞質に解糖系の副産物が充満しないようにシステム化されてもいるのですから、

まったくガン細胞はたいしたタマであり、やはり究極の不死身の最強細胞こそがガン細胞であると再認識してしまいます。

ガン細胞は様々なファクターが積み重なった細胞の内外環境ストレスの悪化増大に伴い、まず全細胞のすべての機能を駆使してガン細胞にメタモルフォーゼ(変態)するのですが、サナギがチョウになるが如くに脱皮した後は、

免疫細胞もヒートショックプロテインもオートファジーも味方につけて陣地を確保すると腫瘍間質というバリケードを築きながら増殖していきます。

このガン細胞の発生から増殖するまでの植民地の確保、さらに浸潤という領土拡大から、転移というさらなる開拓地への入植にいたるこの一連の流れはまるで、

南極の湖底に棲むコケ坊主的な6億年前頃のエディアカラ生物群の多細胞生物が発生する過程にそっくりと思われないでしょうか?

そうなのです。ガン細胞は環境ストレスに応じて人体に必然で生じた新種の多細胞生命体と見なせるのです。

そしてこの新たな種の誕生をもとからいた生命体は決して排除することなく、免疫細胞もヒートショックプロテインもオートファジーも駆使して受け止めているのです。

ガンとは何か?そんなに単純な問題ではないことがそろそろお分かり頂けてきたでしょうか?

線形ロジックの魔力を抜け出した先には、新たな闇に包まれたような深い深い探求の密林が生い茂っておりました。

2014.12.30 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

羅鍼盤 2

病気の原因がたったひとつのファクターにあり、このファクターを取り除けばその病気は予防できるし、治療もできてしまう、といういわゆる「 1 対 1 要素還元論」のロジックは実に魅力的とみえて「こうすればガンは予防できる」とか「ガンを治す秘策はこれだ」とのたまう論説は今やチマタにゴマンと陳列中である。

そしてこれらのシンプルロジックの帰結点となる殺し文句は「だからこれを摂取すれば良い」の何かを身体に取りこませるショックドクトリン的で霊感商法的な購買誘導というのがだいたいのお決まりのパターンである。

上手に病態メカニズムを紐解いて、ほらこんなに簡単な事で万病が予防できて治療できるんだよ、という魔法のようなささやきは、耳障りがいいし、心地よい幻想に耽溺したい癌ノイローゼ気味の不安神経症的な性癖の大半の一般人を虜(とりこ)にする。

ようはみんな健康になる秘訣を分かった気になりたくて、分かったふりをすることで安心したいのだ。そして都合の良い事にそれは簡単にネットなどを検索すれば誰でも手に入るモノにこしたことはないとまで思っている。

安直に誰もが「命の何たるか?」など分かるわけがないし、ヒトサマの身体をじかに触り続けた者にしか到達しえない境地があることなどに、まったく思いも寄らない健康オタクの素人は時々、とんでもない行動に出てヒトサマを驚かせる事がある。

さて、そういった今や健康オタクがトレンドかと錯覚でもしたような者まで出現している健康ファシズム時代において、それらの者たちが口癖のように上から目線で「これさえ知れば怖くない」のプラシーボな呪文が効果を発揮する対象はと言えば、

これはあくまで医学の素養がない素人さんに対してほんの限定的な効果を発揮するというだけのことであり、通常の西洋医学なり東洋医学なりの医学を学んだ者は決してこういった稚拙な口車に乗せられることはないのである。

少し前からイタリア発の「ガンの原因は真菌である」というロジックがネットを席巻して、この真菌ガン?の治療と称する重曹の利用が声高に叫ばれており、わたしのコメント欄にも非公開でこの論説について意見交換を求めるコメントが寄せられた。

その際には非公開コメントに対する返事として、少しぼやけたニュアンスの解答をしたのだが、今回少しハッキリとした解答をしたく思う。

そもそもガンが真菌に感染することで発症するというエビデンスがどこにあるのか、どれだけあるのか、本当に存在するのか?がまったく不明なのだが、

例えば腹腔内の腸扁桃パイエル板に存在する人体の70%近くの免疫細胞が集まる免疫の関所において、もしもここに常駐している腹腔マクロファージの活性が冷たいモノの飲みすぎや食べ過ぎで低下したりすると、

腸内常在菌の嫌気性菌が腸壁から腹腔マクロファージの捕捉を逃れて血液中に侵入してしまい全身の細胞に血行性にばらまかれる「播種(はんしゅ)」と呼ばれる不顕性感染(ふけんせいかんせん)という現象があることは、よく知られた病理現象であったが、

このロジックでいけば、つまりは腹腔マクロファージの活力の低下に伴う常在バクテリアの腸内からの感染と、腹腔マクロファージの活力低下に伴うガン細胞の増殖は、同じく腹腔マクロファージの活力低下が原因であるとは言えるのだが、真菌の感染によってガンが発生するとする根拠はどこにもない、となる。

つまり免疫力の低下は感染性疾患を引き起こすと同時に、ガン罹患率を高めるというのは事実だが、ガンの原因が真菌にあるとするエビデンスは病理現象においては単なるフィクションなのだ。

そして、これらの作り話であるところのフィクションから導き出された重曹の活用が果たして、ガンを一掃するだのという妄想がこの先、どれだけ継続できるのかは知るよしもないが、

まともな医学の素養があれば、これらのイカサマ臭たっぷりな論説の虚(きょ)などはいとも簡単に、ヴィクトルよりは60%も減退している嗅覚受容体でも正確に嗅ぎわけることなど朝飯前に決まっているのだ。

結局はネットや書籍で展開される「ガンは解読された」のたぐいの論説などは、ほとんどはこの程度の実に浅薄なショックドクトリン的なコンテンツが大半であり、こういったチマタのガン論争に何も見るべきものがないことには何度も私は言及している。

何でもそれらしい物件を手当たり次第に拾えばいいってもんじゃあない!ホンモノとニセモノを見分ける能力のある者だけが、コツコツとデータを解析してホンモノを公開するのである。

そしてそのホンモノは決してそれほど大げさに上から目線でモノを言うことはないし、意外に地味にちょっと弱々しくコソッと「ネバネバヒート養生法」とだけ口ずさんでみたりするものなのだ。

ビタミンやミネラルや他の必須栄養素の不足に伴い様々な疾患が発生するという論理はこれは常識的な栄養学のロジックであり、特にこれ自体に問題はないのだが、だからといってビタミンが不足したからガンになるという論法はこれまた暴論と言わざるを得ないだろう。

ビタミンが不足して発症する疾患の代表的なものには、ビタミンB1の不足が原因する脚気が有名であるが、脚気は古来日本では「あしのけ」と呼ばれた病態を意味し、非常に広範囲の症状を指す疾患名であることは意外に知られていない。

脚気論争は明治初期の日本の医学界を騒がせた一大事件ではあったのだが、それはさておきビタミンB1の不足による脚気が克服されて久しいのに、なぜビタミンB1の不足がガンを大発生させているという論理がこれまた持ち出されているのか皆目わかりません。

脚気患者がほとんどいないということはビタミンB1が不足せずに足りている証拠だろう。であるのならビタミンB1の不足によってガンが誘発されているという論理的根拠がどこにあるのかを示すのが道理だろうが、こうしたビタミンB1の不足でガンが大発生しているというエビデンスなど一切公開されないことをもって、

やはりこのビタミン不足がガンの原因である、とのロジックもまた妄想と言わざるを得ないのだ。例え口から摂取するビタミンが不足しても、腸内細菌がビタミンを合成することはよく知られているし、

ビタミンが不足する飢餓に陥ってガンが増大するわけでもなく、むしろ断食などの強制的な飢餓状態によってガンが治癒する場合すらあるというのだから、ビタミンの不足どころではない、あらゆる栄養素の不足という生命の危機的状態においてなぜヒトの治癒力が活性化するのか?

のマイナス栄養学を研究する方がよほどガン解読には多くの示唆をもたらすだろうと予測できる。それでここから断食の効用が説かれ、少食健康法だの、1日1食だの、糖質制限だのというまた飢餓嗜好型ダイエットとも呼べるカテゴリーが最近はトレンドになりつつある。

ただこのマイナス栄養学ダイエットの細胞賦活メカニズムもいまだによくわかっておらず、さらに糖質制限がガンを含む万病の予防になるとのとんでもない暴論まで世間を席巻するに及んでいる

この「なになにを摂取せよ」プラス栄養学と「なになにを制限せよ」マイナス栄養学が混在する健康カテゴリーにおけるカオス状態は、はっきりいって余りに稚拙だと言うのもそろそろわかってきた方が良いだろう。

結論としては本当のところ人間が何を食べたらいいのか?などまだ誰にも分からないし、人類はここ700万年史においてあらゆるモノを食べて命を養ってきたことは事実なのだから、

何を食べてもそれなりに身体にはイイし、また何かが不足すればそれなりに影響はあるし、何かが不足することでバックアップ機構が活性化して、かえって体調が良くなることもあると、

まったくプラスもマイナスもすべて命を養う方向へと導いてしまう命のありようには食餌問答の混乱をよそに感嘆せざるを得ない。

ここまでダラダラと書き進んできて、読んでいる読者の皆様もそろそろ「こいつはいったい今回は何を言いたいのか?」と呆れて痺れをきらしていることだろうから、

本稿の結論めいたものに移りたいが、ようは健康になる方法もヒトから与えられるだけでなく、みずからが苦労して実践を通してつかみ取るという作業をすべきと提言いたします。

誰かを頼りにすれば、もしもそれが効を発揮せねば頼った誰かを責める気持ちが生まれてくるものですが、みずからがみずからの意志で取り組んだ場合には誰も怨む必然は生じません。

いつまでもミトコンドリアだけにガン原因の責め苦を負わせるのは、あまりに可哀想じゃあないですか?

ミトコンドリアは原始真核生物に共生したその時に、ホストと共に共生する道を選択したんですよ。そうミトコンドリアは常に私たちと一心同体なのです。いや私たちそのものです。

解糖系とミトコンドリアを別なモノとして捉えるロジックは「ワールブルグ効果」のセオリーによって生じてしまった弊害だったのかもしれません。

「ひとつを知ることで、ひとつに縛られる」この線形ロジックの呪縛から逃れる方法は、徹底的にドグマの反芻を嫌うというアヴァンギャルドなスピリッツあるのみなのです。

かつての自分はまさに線形性の呪縛の申し子でありました。

オートファジーやリソソームという細胞内の分解系に、今少し熱視線です。

あっ、これまた線形呪縛に陥りそうで怖いです。

2014.12.30 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

羅鍼盤

ミトコンドリアとはじめて出会ったのは、いったいいつだったのか?の記憶はおぼろげで定かではないが、高校の生物の授業において教科書に記載されていたことは多分、確かだろうと想起する。

かつては糸粒体(しりゅうたい)などと直訳されていたようだが、ミト( mito )はギリシャ語で糸を表し、コンドリオン( chondrion )は粒子の意味であり、単数形をミトコンドリオン、複数形をミトコンドリアと呼ぶ。

一般的にはミトコンドリアのイメージは俵型のまるでイモムシかカイコの繭(まゆ)のような形状でイラストが描かれており、また電子顕微鏡などで撮影された写真でもそうしたこれまでのイメージのタワシの断面図のような写真がよく生物学の本などには掲載されている。

しかし実際のミトコンドリアは細胞核の周囲に張り巡らされたクモの巣のようなネットワーク構造で細胞質に存在しており、まるで1000億個の脳ニューロンや100億個の腸ニューロンのニューロンネット状か、はたまた東洋医学の経絡ツボ人形に描かれているようなツボとツボを縦横に結び合わせた経絡図のような「ひとつらなりの糸状構造」を形成している。

なぜ実際のミトコンドリアのリアルな姿がいまだに高校生物の教科書や生理学の専門書に掲載されないのかは実に不思議ではあるが、ミトコンドリアが単体の粒子でいるのではなく、ひとつのネットワークを構成していることには実は深い意味があるのだ。

ミトコンドリアはすでに皆さんもご存知のように、細胞内に取りこまれた糖質や脂質やアミノ酸から酸素と太陽光線を利用して酸化的リン酸化という酵素反応を行い、アデノシン三リン酸(ATP)を合成して、二酸化炭素と水を吐き出すのが主な働きとされる。

このミトコンドリア内におけるATP産生において、最も大事な過程がATP産出の最終ラインである電子伝達系における呼吸酵素反応なのだが、この呼吸酵素複合体(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)のタンパク分子で出来た呼吸酵素は、

それぞれ細胞核DNAのセントラルドグマが起動することによって合成されたタンパク質のⅠ群とⅡ群からの2ルートから配給される非常に複雑な仕組みとなっており、タンパク質のⅠ群がミトコンドリア内膜からヒートショックプロテインHSP60の膜輸送の介添えでミトコンドリア内部へと運ばれると、

ミトコンドリア内部においてミトコンドリアDNAのチカラでさらに転写や翻訳が行われて最終的にはミトコンドリア内部で13種類の呼吸酵素タンパク質が合成される。そして細胞核DNAにコードされて合成されたタンパク質のⅡ群からは73種類以上の呼吸酵素タンパク質が

やはりヒートショックプロテインHSP60の膜透過のシャペロン機能を介してミトコンドリア膜内へと輸送されるという、細胞核DNAとミトコンドリアDNAが連繋してタンパク質を合成し、ヒートショックプロテインのHSP60の膜輸送やヒートショックプロテインHSP102のフォールディング調節を介して、ようやくミトコンドリア内の電子伝達系における呼吸酵素反応が進行していくという、

とんでもない凝ったシステムがミトコンドリア回路に存在するという事実はまだほとんど一般化していないと言える。ここの今の記述が少し難しく感じる方には、ザックリと理解してもらうために、もう一度、このミトコンドリアの電子伝達系における呼吸酵素反応についてかいつまんで反芻して申しますが、

早い話しが、ミトコンドリアは単独で電子伝達系を動かすことはすでに不可能であり、常に細胞核DNAの指令のもとに細胞核DNAの命ずるがままに電子伝達系を動かしているというキモを、理解できればいいのである。

巷間、ミトコンドリア偏愛者が量産されて、ミトコンドリアさえ復活させればそれで命の万事がすべてうまくいく、というまるでミトコンドリア真理教カルト信者のような物言いがそこかしこからやかましく聞こえるご時世となりましたが、

ミトコンドリアは今から12億年前頃に原始真核生物の体内に共生した際に、活性酸素や放射線や紫外線や異種タンパク毒素などにミトコンドリアDNAが暴露することで、ミトコンドリア内における物質合成やエネルギー産生に問題が生じないように、

たった37の遺伝子のみを残してそっくりと細胞核DNAにミトコンドリア遺伝子のデータを疎開避難させてしまっているのです。この m t DNA の細胞核DNAへの避難措置によって、ミトコンドリアはみずからの運命を変革して細胞核DNAに指令され支配される「変わらなくあるために、変わりつづける」命のための細胞内オルガネラとして細胞内共生をする道を選択したと言える。

ミトコンドリアが優れたATP産生器官であることに異論はないが、だからと言ってこれら細胞核DNAセントラルドグマとの関連性の事実から俯瞰すればミトコンドリアは細胞と一心同体であることは最早、誰も疑う余地がない程に当たり前のことなのだ。

さて、ここまでのクドクドとした論述でいったい私が何を言いたいのか?と申すと、ようはミトコンドリアにおける電子伝達系の不具合の原因には複数のファクター(因子)が介在するであろうということをこれから述べてみたいのだ。

例えば電子伝達系における呼吸酵素複合体を構成する総勢86種類以上のタンパク分子は、もとをたどれば細胞核DNAのセントラルドグマが正常に起動することでヒートショックプロテインによってミトコンドリア内にまで運ばれるものであるから、

もしも細胞核DNAのセントラルドグマを起動する遺伝子に異常があれば、正常なタンパク分子がうまく合成されずに呼吸酵素反応に必須なタンパク分子が配給されずに電子伝達系における呼吸酵素反応は失敗に終わってしまう。

また例えセントラルドグマがうまく作動しても、タンパク分子を合成するラインである小胞体やリボソームのどこかでタンパク分子がフォールディングに失敗して変性タンパク質になって小胞体に滞ると、

この小胞体ストレスによってもミトコンドリアの呼吸酵素反応に必須のタンパク分子が運ぶことが出来ないし、また細胞質にフォールディングに失敗した変性タンパク質や使用済みの酵素タンパク質が変性したものなどが満ちあふれて、これらの細胞質のゴミのクリーニング処理機構であるオートファジーが機能不全を起こしていたりするとそれにより

やはり呼吸酵素反応に必須のタンパク分子の輸送が邪魔されてうまく事が運ばない事態が招来されるであろうし、オートファジーとの関連ではオートファジーの最終処分地である細胞内の消化器官であるリソソームという液胞が

消化分解酵素の変性でモノが詰まってしまって消化できずに脂肪や核酸やグリコーゲンや乳酸が充満してしまってリソソームが機能しない「リソソーム蓄積病」などの場合にも、オートファジー不全と関連してミトコンドリアの電子伝達系における呼吸酵素反応は傷害されると予測できる。

つまりミトコンドリアにおける電子伝達系が傷害されるファクターとしては、細胞核DNAの遺伝子異常と小胞体ストレスとオートファジー不全とリソソーム蓄積病の4つのファクターがパッと思い浮かぶのだ。

そしてこの4つのファクターは結果としてミトコンドリアのATP産生を停滞させ失調させるとしたら、ミトコンドリアの機能不全を起点にカスケード反応によって細胞がガン化するまさに原因となるファクターこそがこの4つの要因とも言えると言いたいのである。

ここもまた難しい言い回しと感じる御仁にはザックリ解説をしておきますが、早い話しが細胞がガン化する要因には複数のファクターが介在しており、そこにはいったいどこがスタートで、どれがカスケード反応の原因かはなまじ知識があっても分かりかねる、という点が分かればよろしいだろう。

チマタのガン解読における、ガンの原因はミトコンドリアの不具合、と決めつけるカルト的な論説は、まことにシンプルでわかりやすいのだが、現実の細胞生理はそれほど単純でシンプルなどでは決して無く、

また乳酸という単なる細胞質におけるATP産生の中間分子をまるでテロリストか悪魔の如く忌み嫌うのも、また細胞生理の何たるか?をまったく理解していない態度だと言いたい。

命のありようは、無駄なモノを生み出すことはないのだ。その証明のように感染症や敗血症はそれはそれで立派なガン予防としての役割があったことが判明した。

筋細胞内の凝りの原因物質である乳酸タンパク質が実は乳酸がグリコーゲンに、タンパク質がアミノ酸に変換されることで、身体にエネルギー源として再利用されていることは、本ブログを始めたもっとも早い段階ですでに解説済みだ。

もちろんガン細胞内の細胞質の乳酸もオートファジーを亢進し駆動し活性化することで、グルコースに糖新生されて解糖系で再利用されていることは言うまでもない。

オートファジー不全で発生したガン細胞は、オートファジー亢進というバックアップによってガン細胞をして正常に作動させるのである。

命の妙がここにも垣間見られる。

ミトコンドリアの総重量は体重の約10%であるので、60キロの体重であれば何とミトコンドリア総重量は6キロとなる。脳や肝臓はわずか1キロ超、皮膚が最大の臓器で3キロ余。これら重量級の臓器をはるかにしのぐ物理量をミトコンドリア総数が有している。

そして1日に産生するATP量は何と50キログラムから100キログラムに及ぶ。この毎日産生されるATPという膨大なエネルギーにわたしたちの命は養われている。

ミトコンドリアは傷ついたミトコンドリアDNAや活性酸素で劣化した単体のミトコンドリオンを融合することで希釈して実害を予防し、もしも不良品のミトコンドリアが生じた場合には選択的オートファジーのミトファジーによってATPを利用しながら不良品ミトコンドリアを分解してしまう。

このようなミトコンドリア間における物質交換のバックアップシステムの仕組みは近年になり「ミトコンドリア連携説( Interaction theory of mitochondria )」という仮説となって提示されてもいる。

ミトコンドリアとは自立した存在であると同時に、ホストである細胞と一心同体の二つの顔を持つ共生オルガネラなのだ。

細胞のガン化は決してミトコンドリアの機能失調にだけ原因があるのではなく、様々なファクターが介在することは肝に銘じたい。

「ワールブルグ効果」という80年前の古いドグマを反芻することから決別し、卒業する元年となった本年でありました。

2014.12.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

夜明け余話 5

現在、医学界の焦眉の問題は、「いかにしてガンを克服するか?」であることはチマタに流布するおびただしい量のガンコンテンツ情報の増大に見て取れるが、

このチマタに流布する様々なガンに関する諸説の中に真の意味での予防法や治療法が公開されたことは今もって無いことは、誰の目にも明らかだ。

そもそも正常細胞がなぜガン細胞に変じるのか?というその基本的な仕組みさえ、恐らくは未だに誰も真の意味で理解していないのだから、現代医学の世界において、ガンを克服することなど到底できはしないのだ。

こういったどうしようもない絶望的なガンコンテンツ状況でその間隙をぬって、私はこれまで「ガンは敵ではなく、味方であり、仲間である」と提言し衆目を驚かせ、

そうではあるが「こうすればガンを予防し、治療できるだろう」とする仮説を提言し、その実践的な養生法を紹介してきた。

そうした思惟の積み重ねにより、免疫学の常識が教えるところとはひと味もふた味も違う、ガン免疫のツボをおさえたどこにも公開されていない世界初のガン予防法が編み出されていった。

それこそが多糖体というネバネバ成分と、鍼灸指圧ヒートショックプロテインを、免疫細胞のマクロファージの細胞膜レセプター・トールライクレセプター・TLR4にヒットさせて受容させることで、

腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキンやインターフェロンのサイトカインをマクロファージが分泌して、

免疫カスケード賦活が起こり、NK細胞やキラーT細胞がガン細胞を発見して攻撃して、最終的にマクロファージがガン細胞の断片を貪食してしまうという、

「マクロファージに始まり、マクロファージに終わる」ガン免疫の必勝法「ネバネバヒート養生法」であったのです。

レンサ球菌に罹患して罹る疾患の丹毒に侵されて39℃以上の発熱状態が1週間も続くと、体内に出来ていた3センチ以内の固形ガンが自然退縮して完治してしまうというまぎれもない事実に着目し、

ニューヨークの外科医ウイリアム・コーリー(1862〜1936)が発明したガン患者の患部に化膿レンサ球菌やセラチア菌の死菌を接種することで、腫瘍が退縮し、自然治癒するガンワクチン療法の草分けである「コーリーの毒」治療の真相を探り、

丸山ワクチンが結核菌の細胞壁のリポ多糖を抽出した製剤であり、このバクテリアの細胞壁リポ多糖を受容するレセプターがマクロファージの細胞膜レセプターTLRであることにヒントを得て、

実はマクロファージの細胞膜レセプターTLR4はヒートショックプロテインHSP60、とHSP70も抗原として認識して、免疫活性化が起こることを突き止めた、ここまでの探求の道程は自分的にもとてもスリリングな展開でありました。

ガンを克服するツボがネバネバ多糖体を積極的に摂取することの一点と、ヒートショックプロテイン分泌に励むことの一点の、たった二点に絞ることが出来るなんて、なんて単純で楽ちんでしょうか?

是非とも、本ブログフリークの皆さんだけでも、経絡図には描かれていないこの秘密の二つのツボを抑えた「ネバネバヒート養生法」を実践し、健康の向上に努めて頂きますれば幸いに存じます。

20世紀初頭に微生物学が勃興し、顕微鏡下に蠢く小さな生き物が原因となり各種の感染症や疾病が引き起こされることが発見され、

それに伴い消毒学や殺菌学が発達して、ついにアレクサンダー・フレミングがアオカビからペニシリンを抽出して抗生物質の時代が華開くまで、

サヘラントロプス・チャデンシスに始まった人類史700万年間のあいだずっとホミニンは感染症や敗血症に悩まされてきました。

ちょっとした切り傷や擦り傷がマラセチアなどの常在菌で化膿して、もしも免疫細胞のチカラで制圧できなくば、人体内に侵入した細菌が体内で増殖してしまいます。

増殖したバクテリアは一定数以上に達すると定足数に達したと判断し、これをクオラムセンシングなどと呼びますが、オートインデューサーという分子を放出して仲間と交信を開始します。

このバクテリア同士が仲間うちでコミュニケーションする際に使用するオートインデューサーという信号分子が、実は人体を構成するタンパク分子を傷つける異種タンパクとなり、

この細菌毒素タンパク質であるエンドトキシンによる身体の内側からの広範囲な傷害によって生命機能が危機的な状況に陥ることをエンドトキシンショックと呼び、

この細菌毒素のエンドキシンショックによって亡くなるのが敗血症と呼ばれる疾患であったのです。

しかししかし、人類をさんざん悩ませたインフルエンザや結核をはじめとするウイルスやバクテリアによる感染症、常在バクテリアの感染による丹毒や敗血症には、

実は「ガンを予防し治療してしまうという善なる側面があったこと」がここのところの丹毒や「コーリーの毒」や丸山ワクチンからの考察により明らかとなりました。

そうなのです。人類は抗生物質により敗血症を克服し、ワクチンにより感染症を克服したかわりに、ガンという疾患を得てしまったのです。

四百四病は世につれ、ヒトにつれ。

感染症を克服しつつある時代に必然で増大したのがガンという疾患だった。感染症を克服したのも人類だが、ガンを引き込んだのもまた人類。

まさに自業自得の必然で生じた疾患こそが「ふたりにひとりが罹る」と保険代理店の営業マンが声高に叫ぶガンという疾患であったのです。

感染症を予防せんとした血のにじむような医療の努力によって意図せずに招かれた招かれざる客、ガン。

ガンの大量罹患時代を迎えた21世紀。ガンをいかにして克服するか?の至難のミッションに挑むは現代のドンキホーテか?はたまたガリレオか、コペルニクスか?

いやいや、忘れちゃあ、困りますって、ハリー今村でんがな!

なになに? そんなどこの馬の骨とも知らぬ変な野郎の噂など聞いたことがないって?

おととい来やがれ、べらぼうめぇ!

こちとら、正真正銘の生粋の養生法の探求家だいっ!

ということで、本年も残りわずか数日を残すのみとなりました。

今年もエグイうえに、濃厚で、くどい上に、しつこい本ブログをご精読頂きまして、本当にありがとうございました。

明日から束の間の休日です。締めの記事はまたアップする予定ですので、よろしくお願い申し上げます。

2014.12.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

夜明け余話 4

なんとなく久しぶりの記事更新ですが、ここのところハリー今村は本ブログのコメント欄に常駐して、何やらブツブツと物申しておりましたので、出来ましたらそちらも参照頂きますれば幸いに存じます。

コメント欄が面白いところは、やはり異分野の方と交流できる点でして、どうしても同業者や扱うネタが重なるサイトオーナーだと反発や嫉妬が介在してうまく話しが進まないケースが多いのですが、

まったく自分の職種や得意分野と関係ない領域におられる方々からのコメントはいつも新鮮で楽しく、大いにインスピレーションが刺激されます。ここにおいて、本年の皆様のコメントに改めて多大なる感謝を申し上げる次第です。ありがとうございました。

それでコメント欄で物申していた旬なネタはと言えば、これは旬というか今や人類を脅かす最大の疾病とも言える「癌」という病気に関する事柄であるのですが、癌に関しても本ブログではこれまでずっと最重要問題として何度も論題として挙げております。

そうした思惟の積み重ねの中で偶然のひらめき「セレンディピティ」が度々、私の脳裏に舞い降りて、これまでのところ医学界の定説を覆すガンメカニズムが少しづつ、公開されてきました。

私がガン細胞はもしかしたら単なるワルモノではなく、その細胞が生き残るためのひとつのプロセスである、と気づくキッカケになったのは、西原克成博士の「究極の免疫力」という著書の中の「ガン細胞の細胞内ではミトコンドリアの機能が廃絶してATPが産生されないかわりに、解糖系を亢進してATPを生みだしている」という論旨に触れたことであり、

これがワールブルグという化学者が発見した80年前の理論であることもその際に知りました。「ガン細胞が細胞内のミトコンドリアの機能失調をバックアップするための必然で生じた細胞である」、というアイデアは確かにこの最初のキッカケの際に思いついたセレンディピティな発見ではありましたが、

それからもずっと、ガンとは何か?の問答を繰り返すことで、ガンメカニズムの解読はさらに深みを増してきています。オットー・ワールブルグ博士がガン細胞内の解糖系の亢進を発見した当時には、

まだオートファジー研究は進んでいませんでしたから、ガン細胞内において解糖系の亢進とワンセットで、オートファジーの亢進が起こっていることはワールブルグ博士にしても、知ることは不可能でした。

しかし近年のオートファジー研究の進展により、ガン細胞内の分子の動態に新たな局面が存在することが判明したのです。

ガン細胞内の細胞質にもしも、解糖系の亢進の副産物である乳酸が蓄積していけば、やがて細胞質に漂う80億個のタンパク分子と乳酸はすべて結合して、まるで「煮こごり」のようなドロドロでカチカチの流動性を失った細胞質となり、ガン細胞は細胞質での酵素反応である解糖系すら動かすことが出来なくなり、

ガン細胞は自然に細胞死の転帰を迎えるはずです。ところがガン細胞は決してそんな風に自然に細胞死することなどなく、むしろ正常細胞よりもはるかに優れた増殖能力を獲得して、肥大した腫瘍へと成長していくのです。

いったいガン細胞の細胞質に蓄積していくはずの乳酸はどうなっているのか?その疑問にオートファジーの亢進が解答を与えてくれました。

オートファジーという言葉もまだ一般化しておらず、聞き慣れない生理学用語かと存じますが、ギリシャ語でオートは「自分」を、ファジーは「食べる」を意味するので、直訳すれば「自食作用」と訳される細胞質の機能がオートファジーです。

自分を食べるとは一体どういうことかと言えば、細胞は細胞生理を営む中で様々な副産物や中間分子が生じます。例えばタンパク質を合成する際にフォールディングに失敗した変性タンパク質とか、余分な脂肪分子とか多糖体とか、不良品化したミトコンドリアなど。

こういった言わば細胞内に漂うゴミがもしもそのまま放置されていくと、細胞質における酵素反応やミトコンドリアにおけるATP産生や熱産生や、小胞体やリボソームにおけるタンパク質合成や細胞核DNAにおける遺伝子機能に支障が生じてしまいます。

ですから、これら細胞質のゴミ管理はとても重大な問題となるわけで、その解決策として獲得されたのがオートファゴソームという小胞体に起源があるらしい袋で細胞質のゴミをくるんでしまい、

くるんだゴミはリソソームと呼ばれる液胞の分解酵素で最終的には、変性タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸に、多糖は単糖に、恐らくは乳酸はブドウ糖に変換されて、再利用される仕組みが出来上がっているのです。

このオートファジーという細胞質リニューアル機構があるおかげで、心筋や脳神経細胞などの細胞分裂が不可能な部位の細胞においても、見た目はそっくりとぜんぶリモデリングできなくても、

実際には常にオートファジーによって中身が新品にリニューアルされるというミラクルな生理現象が展開されているというわけなのです。

オートファジーは命というものが「変わらなくあるために、変わりつづける」ためには、なくてはならない必須ツールだったのです。

このオートファジーを亢進する、つまり活性化して通常よりもフル稼働することで、ガン細胞はガン細胞内の細胞質を常にリフレッシュし、

解糖系の亢進の副産物であるチマタではガンの原因物質だの、万病の元だのと呼び声が高いが、本当は単なる中間分子でエネルギー源である乳酸を分解して、もう一度、解糖系で使える糖に変換していたということなのです。

つまりガン細胞はちゃんと自分で自分の細胞質のゴミ管理が出来る極めて綺麗好きで礼儀正しく優秀な細胞であることが、80年前には分からなかったオートファジーの解明によって立証されたのです。

ガン細胞は化け物か?ガン細胞はテロリストか?ガン細胞は遺伝子が狂った暴走細胞か?ガン細胞は無限に増殖する悪魔か?

生命現象には善も悪もありません。すべては適応のなせるワザです。

無数のファクター(因子)やパラメーター(媒介変数)が混在する生命宇宙において、その動態のいちプロセスや一点を抽出しては、世紀の発見であるとか、病気の原因がわかったと、いい気になっているのが現代の思潮ではないでしょうか?

真核生物の命とは細胞核DNAとミトコンドリアDNAのおびただしい二重ラセンのヒモで結ばれ、連環したつながりの存在です。

だから、どこそこをひとつだけつまんでも、取りだしても、それは間違いなのです。

すべてをつながった全体として見る視点を失った医学など危なっかしくてしょうがありません。

炎症には起炎物質を介して免疫を賦活するという立派な役目があるのです。もしもガンなどで炎症が誘起されているのであれば、それはガン化した身体がみずからの意志で免疫力を高めるための自浄作用と見なせます。

炎症も発熱も崇高な生命が織りなす生理現象のいちプロセスです。

そこには正も邪もありません。

生理現象を円滑にスムースに流動させ、正常化するコツこそが、ネバネバヒートのタクトです。

ガン免疫はマクロファージの細胞膜レセプターをスタートとし、マクロファージによるガン細胞の貪食をゴールとする。

人類はすでにガン免疫をクリアしたのか?

2014.12.27 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

夜明け余話 3

チマタの本屋のダイエット本コーナーには、それこそこれでもかと様々な食餌法が書かれた本が並び、その脇には「こうすれば健康になる」というキャッチーなコピーを全面に押し出した本が大量に山積みされている。

少し興味本位に東西医学の両者を幅広く俯瞰する視点をもった希有な治療家が書いた、なる宣伝文句につられて、その内容をパラッと立ち読みしてみたが、あまりに貧弱なコンテンツにいささか万歳であった。

だいたいこういった方面の本には正統なホンモノが姿を見せることは一切無いというのが、これまでに感得した私の嗅覚遺伝子の記憶であり、ホンモノはこういったペテンな健康法の世界ではなく、

もっと学術的なカテゴリーにおいて、その真価を発揮している場合が多い。ただこういった健康法ではない部分に書かれた命の真相の断片を、一般の皆様が見抜き、見つけるのは実際には至難のワザなので、

本ブログなど参照いただければ、実はそういった賢者たちからのデータがちゃんと転送されておりますので、そのへんも本ブログのウリと言えましょう。

さて、ダイエットつまり人間が何を食べたら健康になるか?という一大テーマはこれまたずっと取りざたされている問題ですが、わたしが思うには、所詮人間も生き物の一種であり、

生きるためには何でも食べてここまで進化してきたので、本当のところ何を食べようが身体というものは何とかその食べたもので命をつなげようとするわけで、

つまり、何を食べたらいいのか?という命題には答えなど存在しない、というのが私の気持ちです。

しかし何でも食べたいものを食べればよろしい、では養生法の指南にはなりませんから、少しだけコツのような物言いをしてみます。

コツというのは免疫力を高めて万病を予防するという視点からでありますが、これはすでに勘のいい本ブログフリークにはここまで本シリーズを熟読していれば、またアレかと即座に連想できるそうアレです。

ようは腹腔マクロファージの細胞膜レセプター・トールライクレセプター・TLR9種に抗原として認識される物質を含む食餌法であれば、これは間違いなく腹腔マクロファージからの免疫カスケード賦活を誘発できて、

ガンをはじめとする免疫疾患のすべてを未病治できると言えましょう。その筆頭食材こそがβグルカンなどのネバネバ多糖体を含む食材と言えるのです。

βグルカンというのは細菌の細胞膜をシールドしている粘液成分ですが、これは菌類であるキノコの表皮に構造化されていますから、普段からマイタケやシイタケやエノキやエリンギやナメコやシメジを食べていれば、自然に腹腔マクロファージのTLRは刺激されて、パワー免疫な生活を手に入れることができます。

またネバネバと言えば、納豆やオクラやヤマイモや里芋やキクラゲなんかも忘れてはいけない良質素材です。こういったネバネバ食材の積極的な摂取などは誰がやっても、まず「 + 」効果が実感できる究極のダイエットと言えましょう。

あっ、なんだかチマタの本屋に並んでいるキャッチーなコピーみたいな表現に成り下がってます!

それで実は多糖体という成分はキノコとかネバネバ食材だけに構造化されているわけではなく、発酵食品の菌膜には普通にあるし、植物の細胞壁はほとんどすべて多糖体だし、海藻などに到ってはこれまた多糖体の宝庫ときております。

なにしろ現生人類は海藻を食べたから、脳がメガバイド化して、腹腔マクロファージの免疫力が高まって、海藻を消化する腸内細菌がウイルス水平遺伝した、との仮説を私は抱いているくらいですから、

人類が何を食べて進化したのか?の命題のひとつの仮説として、多糖体によって人類は進化した、という「ネバネバ人類進化論」をここに提示してみたく思います。

いやネバネバだけでは少し物足りないので、やはり鍼治療を手にしたから人類は無敵の免疫力を獲得したという一説を付け足して、ここはひとつ「ネバネバヒート人類進化論」とバージョンアップいたしましょうね。

だいたい人類の食についてはこんな感じでしょうかね。原始人類が「はじめ人間ギャートルズ」のようなマンモスハンターだったという固定概念は、人類遺跡に遺された食餌の痕跡からアッサリと否定されてしまいます。

特に海沿いを渡航ルートに選んだ場合には、海産物や海岸線で入手できるあらゆる食材を食べた事がわかってきております。ここ5万年の海岸線の上下はそれはそれは激しく変動しており、

海の水位は最高で140メートルも下がりました。この氷期における極冠の氷の増大に伴う海水面の低下によって、今の海岸線のはるか何十キロの先まで陸地が過去にはあり、

そこにはラグーンがそこかしこにあり、マングローブの森が生えて、まるでエデンの園のような美しく豊かな生態系に彩られたエッジエフェクトな海岸が広がっていたのです。

ペルシャ湾の海底からは今も真水が湧出するポイントがありますが、これはかつてそこに湖があった証拠とされます。

今は海底となっている沿岸部がかつてはエデンの園だった。人類はそこで美味しいウニや牡蠣や蟹や海老や、タコやイカやサザエやアワビや、海藻や海鳥や魚たちをタップリと頂いて、必須ミネラルや必須アミノ酸や必須脂肪酸をその細胞内やミトコンドリアへと蓄えて、頭の良い知恵のある「サピエンス・サピエンス」なホモ属へと進化していったのです。

「海鮮祭りヒト進化論」なんてのも面白いかもしれません。

内陸部へと向かった人類は肉食に適応したし、海岸線を進んだ人類は海鮮食に適応した。さらに昆虫食には海・山ルートの人類共によく適応したであろうし、ミミズやモグラなどの地底の生き物もまた良き食材だったろうし、

スペインはジブラルタル海峡を望むゴーラム洞窟でエデンの園を満喫したネアンデルタール人などの主食はどうもウサギだったようだ。

なんでも食べてここまで人間は大きくなって、進化した。これが古生物学や化石が教える人類の食の真実だったのだ。

実は狩猟採集生活から定住農耕生活に移行すると、一時的に体質が劣化した徴候が当時の人類化石から読み取られるという。意外にも定住農耕という安定は健康効果をもたらさなかったのかもしれない。

定住安定が続いてほぼ1万年が経過した。そりゃあ少しは人類の体質も劣化するわな。

ヨーロッパバイソンに馬乗りになって、心臓を木の槍でひと突きに射殺していたであろう逞しいネアンデルタール人は怪我も骨折も多かったかもしれないが、総じて強靱で健康であっただろう。

筋トレを欲するのも、内なるネアンデルタール人のDNA遺伝子〜4%が起動した結果かもしれない。

2014.12.23 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

夜明け余話 2

そもそもわたしがこんなブログを開設して毎日のようにブツブツと何事かを物申している事に何か意味があるのかどうかは、本当のところ自分でもよくわからないのですが、

世の中にはたいへんに奇特で優しい性格をお持ちの方が存在するようで、わたしのブログ内容がどこよりも濃く大事であると言って下さる方も実在するし、わたしなど単なる野人に過ぎないのですが、

非常に知的レベルの高い方々が集う山﨑農業研究所の季刊誌「耕」の編集長からは昨年の今頃に原稿執筆の依頼を受けて、それ以来、親しくメールにてお付き合いをさせて頂いているケースもあるし、実際の現代医学の看護の現場で働いているベテランの看護師さんが

わたしの良き味方となってくださり、このブログの内容をノートにまでとってくれて、また事あるごとに周囲の方々へと鍼灸指圧の良さをアピールしてくださる啓蒙活動まで自発的になさってくれているという実例もございます。

またすべてのサイトを見ているわけではありませんが、例えばブログ「人生は冥土までの暇潰し」のオーナーで翻訳家である「亀さん」などは、わたしの言説を「ものさし」として指針としているとブログ内で言明してくれておりますし、

日記のような洒落たブログでわたしのブログを紹介してくれている方もまま見受けられます。こうした状況を鑑みるに、やはり毎日、ヒトサマのからだをじかに触れて、命とは何なのか?

を試行錯誤する日々を送る者の思いをこうして公開する事には少しは意味があるかもしれないと、思い直す今日この頃であります。

さて、本年は遠方からブログファンであると自称する来客が訪れるこれまでにないエポックな元年となりましたが、その中においては患者としてではなく、ただ私の言説に対して異議を申し立てるためだけに、治療院の玄関を開けた者がおります。

予約もなにもせずに現れた御仁の態度に私は面くらい、いわれのない恐怖を感じつつ、それでも失礼のないように応対に努めました。そんな事がありましたので、今シリーズにてはキッチリと

「ガンとは何か?いかにしてガンを予防するか?いかにしてガンを治療するか?いかにしてガンと共存するか?」

に関して新たな知見を交えつつ詳説し反論を試みました。熱烈なフォロワーが反対者に豹変するという事件はまさに私にとってはとてつもないストレスではありましたが、なんとか1年間をかけてじっくりと反論できるだけのコンテンツを充実させることが出来ました。

それもこれもみなこのような恐ろしくも驚くようなミジメで悲しい出会いがあったからと言えます。彼の言動には改めて感謝申しあげる次第です。

さて、チマタにおけるガン論争の内容はわたしには脳内妄想としか思えないものがほとんどですが、やはり一級の基礎医学の研究者などからは、多大なる示唆をレクチャーされることはよくあります。

しかし基本はあくまで自分のアイデアです。私は基本的に誰が何を言ったとか、この本にこう書いてあるだとか、そういったコピペにはいっさい興味がございません。

だからこれまでにコピペの感想しか書かれていないコメなどを頂いても、実際にはほとんど読みませんでした。それよりもどんなに拙い内容でも自分の言葉で書かれたコメントがわたしにとってはとても大事でした。

「ガンは敵ではなく、味方であり、仲間である」

この言葉がもたらした同意と称賛の嵐は、やがて反発と憎悪をも生みだし、ついに現実の生活にまでそのストレスは及びました。

だってガン原遺伝子もガン抑制遺伝子も真核生物のほとんどすべてが保持しているんですよ。ということはガンになるのも遺伝子の必然であり、またガンを抑制できるのもまた遺伝子の必然なのです。

こうした厳然たるゲノムな事実にはひとことも触れずに、細胞のガン化に関する原因や傍因についてとてもやかましく提示して、だからこれらの原因や傍因を一掃すればガンなど簡単に解決する問題だとするものが多々おるのです。

彼らガン論争の論者たちのロジックは、私に言わせれば実に線形的です。これこれしかじかの理由でこの原因物質が充満したから、これを取り除くためにはこれを追加して供給すれば、この充満した原因物質が魔法のごとくに一掃されて、細胞質内がクリーンになってガン細胞が正常細胞に元通りになる???

というのが、一般の線形的なロジックによるガン解読です。

「1+1=2」を必然と感じる世界。

でもね、このプラスの記号 「 + 」の意味をわかっていますか?いくら物質やエネルギーを供給しても、これを分解したり、触媒したりして、橋渡しするこの 「 + 」の記号役の分子が介在しない限りは、いくら必須栄養素だのマイナスイオンだのを一生懸命につぎたしても答えの2は出てこないんだよ。

この「 + 」にこそ生命の秘密、ガン治癒の秘密があるんです。数字や文字上の整合性をそのまま命の世界に持ち込めないという生命科学の常識がこれらの論者たちに果たして理解できているんでしょうか?

ズバリ!ここがキモ!の 「 + 」の記号の役割を果たしているのが酵素というタンパク質であり、またあらゆるタンパク質から生み出されるリガンド(信号分子)であり、これらタンパク分子10万種を正常に機能させるヒートショックプロテインであり、

ヒートショックプロテインやリガンドを生み出すリボソームや小胞体であり、リボソームへとタンパク質合成の設計図をRNAに転写して伝達するDNAセントラルドグマなのです。

こうした実際の命の世界に存在する膨大な「 + 」 の実体を問わずして、何がガン解読なのでしょうか?

実際の生命は常に非線形的であり、「こうすればこうなる」のニュートン物理学のパラダイムでは捉えることができない、いわゆる「こうしたら、こんなんなっちゃった!」の粒子性と波動性を兼ね備えた量子論的な世界が命の世界なのです。

ですから、もちろん「これでガンが治る」という線形的なロジックなど生命界には通用しません。

ガン原遺伝子とガン抑制遺伝子の矛盾する二つのチカラが共存するゲノムに、命の有りようの全てが見て取れます。

相反するチカラの共存とはまぎれもない易経の太極マークの世界観です。

ガンは遺伝子のチカラで必然で生じるが、遺伝子のチカラでまた必然で消去することができる。

ガンと共存する存在が命なのです。

そしてガンと共存する秘訣が免疫細胞の賦活にあったのです。

丹毒、「コーリーの毒」、丸山ワクチン、のガン治癒の真実から見えてきたガン治癒メカニズムとは、マクロファージの細胞膜レセプター・トールライクレセプター・TLRを起点とする免疫賦活であり、

鍼灸指圧とは皮膚の樹状細胞ランゲルハンス細胞のTLRを刺激するガンワクチン療法であった、という真実でした。

人類が鍼を手にして、その鍼を皮膚へと打ったその瞬間から人類はすでに「ガン戦争」を制していたのです。

ホモサピエンス20万年史の最後になって、鍼の真実の扉は開きました。

わたしに反論し意見したくば、非公開ではなく公開でコメントを頂ければいくらでも応対します。

久しぶりに幾らか熱い記事になりました。

次回は人類の食について、何か物申す予定です。

2014.12.22 | | コメント(11) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

夜明け余話

「『手当て』という行為は、人類の医の根源を象徴するものであろう。原初の同胞たちは今日の『皮膚ー筋肉』の解剖学的関係を知るでもない。また体節構造のメタモルフォーゼというゲーテ形態学の理論を知るでもない。かれらは病める仲間の、もっとも厳正なツボに、思わず知らず手を当てたのだろう。というのはかれらは生まれながらにして、すでにそのツボを心得ていたのではないかと思われる。東西医学の源流とは、じつはこうした『古代の知』に求められるべきではなかろうか。」

この言葉は1975年3月20日に開催された第102回「東西医学を結ぶ会」での解剖学者、三木成夫博士の「ツボの比較解剖学的考察」と題した講演の結びの言葉である。

三木博士の言説は生前よりもむしろ没後により輝きを放ち、今もって色あせない不朽の医学哲論とされ、近年ますます注目度が高まっていることは知る人ぞ知る事実だ。

チマタには売れっ子の生物学者や脳科学者や解剖学者がそれなりにいるが、三木博士の視野の広さやその言葉の流麗さは、かれら売れっ子をかなたの地底に埋没した存在にしかねない程に素晴らしいことも、また知る人ぞ知る事実だ。

わたしがガンメカニズムの解読のキッカケを得たのはミトコンドリア博士として名が知れている歯科口腔科医の西原克成博士の著書の一節であったが、西原博士の師匠こそが三木成夫博士であった。

民間の皮膚科学者の「皮膚は0番の脳」発言で有名なこれまた幅広い視野をもつ傳田光洋博士もまた、三木成夫博士に言及している。

ホンモノは実際には実に少数です。そしてホンモノはホンモノにしか萌えません。アンテナを鋭くし、嗅覚をヴィクトル並みに研ぎ澄ませればニセモノには決して騙されません。

ホンモノは西洋医学と東洋医学を意味不明に線引きしたりしませんし、上から目線で医者を罵倒したり、鍼灸を胡散臭いと言ったりもしません。

三木博士も西原博士も傳田博士も東洋医学に対してしっかりとした意見をお持ちであり、その意見がまたまことに優れていることには鍼医として尊敬を抱きます。

さて、このたびは「鍼医の夜明け」と題して、鍼の起源を遡りながら、人類史と医療の関わりを俯瞰しつつ、ガンのメカニズムを完璧に解読し、ミトコンドリアの機能との関連をさらに深く追及し、最後には自分なりのツボ仮説を提示しました。

とうてい三木博士の蘊蓄(うんちく)には及びませんが、少なくとも間中善雄博士の「体の中の原始信号」には僭越ながら幾ばくか接近できたと自負しております。

人体に遺体制として残存するツボや経絡のような原始的な信号系を「X信号系」と名づけて、その源泉を探った外科医・故・間中善雄博士もまた偉大なる我が師匠であります。

今回の旅では旅程を急ぎすぎて、すべての渡航地を余すことなく味わうに到りませんでした。つまりもっと深く関わらねばならない問題が多数浮上する旅となり、20回で終えるには惜しい収穫がまたたくさんございました。

よって、少しリラックスした心境で、今回の旅路を振り返りつつ、書き足りなかったポイントを反芻し考察したく思います。

題して「夜明け余話」

どうぞ、くつろいでお聞き下さい。



※ 冒頭引用は、三木成夫著「人間生命の誕生」築地書館

2014.12.21 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 20

今から約100年前にロシアの微生物学者であったイリヤ・イリイチ・メチニコフ(1845〜1916)がイタリアはシチリア島で海洋生物の研究をしていて、顕微鏡下においてバラの刺(トゲ)を棘皮動物のヒトデに刺すと、刺された部位に集まってくる細胞を発見し、この細胞にはトゲで傷ついた部位から侵入してくる異物を食べる機能があることを見つけて、この細胞を食細胞と命名した。

メチニコフはこのマクロファージ(ギリシャ語でマクロは大、ファージは食べるを意味するので、直訳すると大食い細胞)という生体防御機構の発見により1908年にノーベル生理学医学賞を授与された。

時代がくだってカナダ出身の免疫学者ラルフ・スタインマンは1973年に脾臓においてマクロファージとは異なる形状で樹枝状の突起をもつ免疫細胞を発見した。このまるでヒトデの手足のような突起をもつ免疫細胞は樹状細胞( dendritic cell )と呼ばれるようになり、マクロファージも含めて樹枝状の突起をもつ細胞を一括して樹状細部群とすることが1982年に学会で提唱された。

つまりマクロファージという食細胞は樹状細胞の一種なのだ。マクロファージ発見から遅れること半世紀の樹状細胞の抗原提示能力はマクロファージよりもさらに上をいくという。

高等な脊椎動物だけがもつ免疫システムのリンパ球が担うT細胞やB細胞の獲得免疫も、実はこれら自然免疫で抗原提示をおこなう樹状細胞やマクロファージによってどんな細菌やウイルスや、アレルゲンとなるような異種タンパク質が侵入したのかの情報提供という抗原提示がなされなければ、なにもできないのだ。

免疫の最前線において最初に抗原となる細菌やウイルスや異物にアタックする自然免疫がいかに大事な機能かがこのことからもよく理解できる。

地球上の動物界においては、脊椎を持たない昆虫やカブトガニやエビなどの節足動物や、イカやタコや貝類の軟体動物や、ミミズの環形動物や、ウニやヒトデの棘皮動物や、ホヤの原索動物や、より原始的なヒドラの腔腸動物や海綿動物などはみなすべて自然免疫だけで地球環境に適応した種族である。

ヒトにおいては自然免疫から抗原の情報を得てからやおら獲得免疫が起動して、キラーT細胞のクローンが作られたり、形質細胞化したB細胞が抗原にマッチした抗体を産生するのにはおよそ3日から10日ほどの期間が必要となる。

だからこんなまどろっこしい獲得免疫など持たない地球生命種たちは、次から次に侵入してくる細菌やウイルスを片っ端から食べて処理するだけのパワー免疫によって、これまで生き抜いてきたといえるのだ。

確かにB細胞が遺伝子再編成という仕組みを使って1200万種もの抗体グロブリンを作成し、T細胞の細胞膜にある抗原レセプターであるT細胞受容体・TCRの遺伝子再編成システムなどもとても洗練されて高度で驚異的な仕組みであり、感心することしきりであるのだが、

それもこれも樹状細胞やマクロファージの自然免疫からの情報提供という抗原提示があるからこそ可能なのだ。

まずもって体内に侵入してきた異物を捕捉し、いったいその異物がナニモノなのかモグモグと食べてから判定し判断する。この抗原の認識これこそが免疫のエッジでありキモであることは何度でも強調したいし、どれほど強調してもし足りない。

さてヒトの皮膚には皮膚が傷ついたりしてそこから浸入してくるウイルスや細菌や異物に備えてランゲルハンス細胞と呼ばれる樹状細胞が無数待機していることは、まだそれほど一般化していないが事実だ。

このランゲルハンス細胞は樹状細胞の性質をフルに活用して、ふだんは表皮の下層領域における有棘層や基底層にいるのだが、もしも皮下になにか異物が侵入した際には、その樹枝状の腕をまるでヒトデの手がニュ〜と伸びるように伸ばして、わたしたちが垢(あか)と呼ぶ本当の皮膚表面である角層下まで免疫の手を伸ばすのだ。

つまりヒトの皮膚にはヒトデのようなランゲルハンス細胞という樹状細胞が存在し、皮膚という堅牢なバリアを突破して侵入してくる異物をその長く柔軟な「妖怪ろくろ首」の頭と首のような手でつかまえて、これを食べて取りこんで分解し、10個程度のアミノ酸からなる抗原ペプチドにして細胞膜にHLA抗原として異物の情報を提示します。

するとこの抗原の情報は獲得免疫のなかでは統合的な参謀となるヘルパーT細胞へと伝達がなされて、抗原にマッチした抗体を作成するようにB細胞へと指令がいき、また獲得免疫と自然免疫の橋渡しをするNKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)もランゲルハンス細胞から抗原情報を受け取ると

キラーT細胞とNK細胞の二大キラー系細胞を賦活でき、こうしたランゲルハンス細胞を起点にした一連の免疫力の高まりにより、皮膚からの侵入者は徹底的に抗体で捕捉され、またキラーT細胞やNK細胞に打ちのめされて、無毒化されてしまうのだ。

皮膚にはこのようなランゲルハンス細胞という強力な樹状細胞が夥しい量で棲息し、免疫の最前線を守っている。

この皮膚へと鍼を打ち、皮下へと鍼を刺入させるのが鍼治療である。表皮も真皮も貫き筋肉層にまで達する程に鍼が刺入されなくとも、ほんの皮下0.2ミリほどに直系0.1ミリの美容鍼で顔の皮膚を刺しただけでも、

ランゲルハンス細胞は旺盛に角層下に入りこんだ金属鍼をその樹枝状にニュ〜と伸ばした手で探知し、とんでもない異物が体内に侵入したことをその細胞膜レセプターTLRで感じとることだろう。

ランゲルハンス細胞はまず鍼という金属の異物が侵入したことをその手を伸ばして触れて、そして細胞膜レセプターTLRの数種類の中から鍼侵入を専門に扱うレセプターがこれを鍼と判断すると、ランゲルハンス細胞の体内からヒートショックプロテインのユビキチンと共に、ランゲルハンス細胞の細胞膜へと抗原ペプチドが輸送されてきて、

ランゲルハンス細胞の細胞膜に「ホストの旦那が鍼治療を受けてます!」の抗原ペプチドが立てられます。するとこの「鍼治療やってます!」抗原を見つけたヘルパーT細胞やNKT細胞やマクロファージは

「おっ、ええことやってくれてるじゃん、おいら達のホストの旦那は!こりゃあ、旦那の未病治の養生努力に報いる為にいっちょ俺ら免疫細胞も活性化して、ガン細胞を見つけたり、ウイルス罹患細胞を貪食したり、古くなった細胞をアポトーシスしたりして、身体中の細胞をリニューアルせにゃあアカンな!よしみんなやるぜ!」

となって、やおらインターフェロンやTNF-α(腫瘍壊死因子)やインターロイキンなどのサイトカインもバンバンと免疫細胞間で水鉄砲の遊びのように飛び交いと、

このように鍼治療に始まるランゲルハンス細胞からの免疫賦活・仮説を今わたしは構想しております。

熟練の鍼灸師などがよく口にすることに「少しくらいツボの位置が間違っていても、ツボの方がむこうで勝手に親切に寄ってきてツボの位置を直してくれる」というこの言葉の真相とは、

つまりはランゲルハンス細胞が鍼を打った少し離れた位置からクラゲの触手のように手を伸ばして、鍼へとその手を到達させる、その有り様を表現しているのでは?と私は考えております。

ということは「ランゲルハンス細胞こそがツボ?!」

そうです。私が温めている仮説とは「ツボ=ランゲルハンス細胞仮説」なのです!

マクロファージの細胞膜レセプターTLRの全容解明はすでに大阪大学の審良静男(あきらしずお)医学博士によって精力的に進められています。

わたしが免疫学の一般書で見知ったマクロファージTLRの知識も審良博士らの知見です。もしもマクロファージTLRの細かい抗原捕捉能力を知りうることが出来なかったら、これほどまでマクロファージに注目することもなく、「ツボ=ランゲルハンス細胞仮説」のアイデアも浮かばなかったでしょう。

ここにおいて審良静男(あきらしずお)医学博士に、もちろん面識はございませんが、最大の感謝を申しあげます。

鍼灸指圧によって、なぜ免疫系が活性化できて、様々な疾病を予防し治療できるのか?の最大の謎は、自然免疫の樹状細胞やマクロファージの細胞膜レセプターの抗原捕捉に注目することで、新たな視点が生まれ、大きな飛躍を遂げることができました。

「ツボ=ランゲルハンス細胞仮説」が東洋医学界に新たな風を吹き込みます。

( ※ ちなみにこれは私のオリジナル仮説ですので、引用はくれぐれも慎重にお願いします。もしも引用したくば、こちら引用元を明記するか、わたしに断りを入れて下さい。盗用、厳重注意! )

細胞膜のみで他者を把握していた原始生命期の30億年のあいだに、原生生物たちはその生体膜に異物を弁別する機能を獲得していったのです。

それこそがマクロファージや樹状細胞の細胞膜レセプターの起源であり、ヒトの60兆個のすべての細胞膜に存在するタンパク質で出来たレセプターの起源なのです。

「生体は結合がなければ、不活性である」とは受容体の概念を確立し、梅毒の治療薬サルバルサンを秦佐八郎と共に開発し、自然免疫で活躍する免疫細胞の好中球、好酸球、好塩基球や、アレルギーにおけるヒスタミン遊離と関係する肥満細胞を発見したドイツの細菌学者パウル・エールリヒ(1854〜1914)の言葉です。

鍼がじかにランゲルハンス細胞に接し、鍼によって分泌されたβエンドルフィンがミトコンドリア内に取りこまれ、灸治療によって発現したヒートショックプロテインがマクロファージのTLR4に受容され、指圧によって分泌された一酸化窒素が血管の細胞膜に「結合するから」こそ生体は活性化するのです。

分子レベルにおいて分子同士の「結合」というエビデンスがあったからこそ、鍼灸指圧はホモサピエンス20万年史の人類の身体を優しく慰撫し、迎え、見守り、看取る、ことができたのです。

樹状細胞の細胞膜レセプターに鍼灸指圧を受容するレセプターが発見されるかどうかはまだわかりませんが、もしかしたら本当に鍼灸指圧レセプターがすでにランゲルハンス細胞には存在するかもしれません。

もしも本当にそれが発見されたのなら、その鍼灸指圧受容体は「ハリーレセプター」略して「 H I R 」なんて命名されたら、ハリー今村としては大変に光栄です。

ヴィクトルなみに嗅覚を研ぎ澄まして臨んだ本シリーズ「鍼医の夜明け」全20講、ここにおいて堂々の気血、もとい帰結です。

洒落たホンダレッドで塗装されたHRVもだいぶ色が剥げてしまって、いささかヤレが目立ち「わびさび」の風情が漂いつつありますが、メイドインジャパンの物作り精神で生み出されたこの車は、まだまだ乗れそうです。

さて次ぎに向かうはデボン紀の海底か、はたまた白亜紀の樹林か?

いやいや、人体や細胞の中にもまだ見果てぬ原野が広がっています。

鍼先に、指先に、灸火の火芯に、治療のエッジに、地球史46億年と、生命史38億年の「気」を込める旅はまだまだ続きます。

本気度98%の本シリーズのご精読、まことにありがとうございました。

2014.12.20 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 19

ヒトの細胞にはそれぞれ細胞膜と呼ばれる生体膜があり、この細胞表面を覆う膜はリン脂質とタンパク質で構造化されている。そしてこの細胞膜には糖鎖と呼ばれる多糖体がうぶ毛のようにビッシリと生えており、この糖鎖という分子が標識となり、免疫や受精や情報伝達が行われている。

免疫細胞における論考でしばしば取りざたされるHLA(ヒト白血球抗原)やMHC(主要組織適合性遺伝子複合体)や抗原ペプチドなどと呼ばれる細胞の標識も、この糖鎖領域における免疫系の認識機構である。

さて免疫の語源が「疫病を免れる」にあることは本ブログではこれまで再三にわたり指摘済みであり、これまで本ブログでの免疫論においては免疫の意味もしつこく論考している。免疫とは感染症に一度罹患することによって、リンパ球のB細胞がメモリーB細胞となり、

抗原を記憶することで次ぎに同じ抗原が侵入した際に速やかにメモリーB細胞が形質細胞(プラズマB細胞)に変化して、抗体を産生することで抗原に抗体がくっつき抗原を無毒化してしまう「二度なし現象」を一般には意味し、

この原理を応用したワクチンによって20世紀初頭になりヒトの天然痘が撲滅され、各種の感染症を予防できるワクチンという医療技術が確立されたことは言うまでもない。ワクチンの効用の是非を論ずることは今やトレンドであるが、一応は天然痘が撲滅したことはジェンナーらの功績に負うところが大であるというのが世界の常識である。

実際に天然痘における人痘接種はすでに中国は宋朝(960〜1279)の時代にすでに実施されていたわけだが、本当の意味でワクチンの技術が確立されたのは20世紀に入ってからと言えよう。

免疫はこういったワクチンを含む免疫記憶による獲得免疫の分野がこれまでは主に研究されてきたが、マクロファージをはじめとする自然免疫の分野はものの本によると「自然免疫は免疫にあらず」とまで記述されるまで差別されてきたようである。

この自然免疫だけで免疫を担っている無脊椎動物が地球には大量に棲息し、生命界の覇者と呼ばれる昆虫類もそれに次ぐ規模で繁栄を誇る軟体動物も、みな自然免疫のみで地球上のあらゆる領域を生き抜いていることは特筆に値する。

昆虫はカブトムシの成虫が代表するようにその外殻をクチクラと呼ばれるカッチリとした分泌物でシールドして身を守り、ヤワなイモムシの幼虫時代に、もしもその皮膚が傷つくとそこには限定的にメラニン色素を発現して遺伝子を守ろうとし、またメラニンの中間産物として強力な活性酸素を発生させて侵入してくる大腸菌などの抗原に対処します。

またトールと呼ばれる遺伝子を使って異種抗原に対抗する抗菌ペプチドを数種類も合成できて、またレクチンと呼ばれる糖鎖認識機構を使って体内に侵入した分子を特定し、それに見合った抗菌ペプチドを分泌しています。そして昆虫の体重の30〜50%は共生菌の重さであり、これら常在菌の分泌する抗生物質によっても昆虫の身体は守られているのです。

昆虫が最強なワケはこのようなクチクラシールド、メラニン色素、活性酸素、抗菌ペプチド、抗生物質などの複合的な自然免疫により成り立っています。

イカやタコや貝やウミウシなどの軟体動物はリゾチームなどの加水分解酵素を使い細菌の細胞壁を壊して防御し、凝集素や補体と呼ばれる免疫補助物質を使って異物を取り囲み、マクロファージなどが食べやすいようにオプソニン化して、食細胞を誘導しています。

リゾチームと呼ばれる抗菌物質はヒトの涙や鼻水や母乳にも含まれる液性免疫物質ですが、このリゾチームの発見者はアオカビから抗生物質のペニシリンを発見して、抗生剤の一大発展を引き起こしたイギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングによります。

軟体動物の棲む場所は主に湿気が多かったり、水場であり、その体表も多糖体でヌラヌラと濡れているのでこのような軟体動物に特有の免疫機構が備わったと分析されています。

こうした地球生命史のなかでは古参の脊椎を持たないゆえに獲得免疫を持たない生命種もまたそれぞれが特有の免疫機構を持ち、その遺伝子にはガン抑制遺伝子のP53を保持して、ガンや感染症をその免疫力で未病治しているのです。

そして、これら自然免疫のみで生き抜く種の力強い味方となる免疫細胞こそがロシアの微生物学者メチニコフがヒトデにバラの刺を刺して集まる細胞があることを発見して、食細胞と命名したマクロファージであったのです。

ヒトのマクロファージの細胞膜にはトール・ライク・レセプターと呼ばれるタンパク質で出来た異物認識受容体が10種ほど存在し、そのうちのTLR4と呼ばれるレセプターは抗原として

菌類の多糖体と、細菌の細胞膜成分のリポ多糖と、ウイルスの外殻タンパク質のカプシドと、出血時に血液を凝固する前駆物質のフィブリノーゲンと、ヒートショックプロテインのHSP60とHSP70の、5種類の抗原を認識します。

つまり発酵食品を積極的に摂取し、ネバネバ多糖をレシピに豊富に加え、ヒートショックプロテインを分泌できる鍼灸指圧を励行するようなライフスタイルは、マクロファージのTLR4をよく賦活して、ヒトの免疫力を高めるのです。

体温を上げるとなぜ身体にイイのか?発酵食品を食べるとなぜ免疫力が上がるのか?ヒートショックプロテインがなぜガン治癒とつながるのか?

これらの疑問への解答こそがマクロファージの細胞膜レセプターTLR4の威力であったのです。

マクロファージの真価を知ることでヒト免疫論はさらに進化します。

末期ホモサピエンス存続のために、最後まであきらめずに鍼医は夜明けを目指します。


2014.12.19 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 18

地球生命史においては今から5億4100万年前にそれまではクラゲやカイメンなどの3門しかいなかった海の生物相が、突然38門の現生動物門で満たされていくカンブリア爆発という事件が起こった事は誰もが知るところとなっている。

この時になぜDNAが遺伝子重複を起こして遺伝子プールが拡張したのか?も不明であるし、わたしの仮説としてはDNAの運び屋となる特殊なベクター・ウイルスが異常発生でもして、あらゆる生物のDNAがシャッフルされたことで遺伝子が多様化して複雑化した結果、このような一大エポックが巻き起こったなる予想も可能だ。

または水中のミネラル濃度が高まったことなども一因しているとされる。ミネラルはDNA合成には不可欠な要素ゆえにこれはありうる仮説だ。ちなみに婦人科系のガンに頻用する抗ガン剤のシスプラチンは白金製剤といい、これは白金というミネラルが盛んにDNAに取りこまれる性質を利用したものであることは注目に値する。

ようはガン細胞は細胞分裂が盛んであり、だからこのガン細胞のDNA合成にはミネラルが大量に必要とされる。よって抗ガン剤として白金を取りこませれば、これがガン細胞のDNAを傷害し結果としてガン細胞を死滅に追い込むという理屈でシスプラチンは多用されているのだ。

しかしガン細胞が白金を取りこむのと同様に、すべての細胞分裂が盛んな正常部位である腸上皮や骨髄造血幹細胞や毛根においてもまたシスプラチンはその猛毒性を発揮し傷害する。よって頭髪が抜け落ち、下痢や便秘や食欲不振に陥り、貧血や白血球数の減少が起こるのだ。

このような抗ガン剤の凄まじい恐ろしさを知りながらもいまだにこれら毒性の強い薬物を使用し続ける現代医学と違って、ただただひたすらに気持ちいい温灸や指圧や鍼が、本当の意味での真の抗ガン三大療法として人々の意識にすんなりとガン治療の選択肢に浮かぶ日をわたしは夢見ている。

さて余談はほんの少しにして、どんな理由があったかは知るよしもないが、地球はカンブリア爆発という生命の跳躍が起こって、今の130万種の生命界が誕生した。

それまでの30億年間はほとんどすべてバクテリアとウイルスの世界だった。なぜ単細胞から多細胞に進化したのか?は大きな謎であるが、恐らくはニッチを求める生存戦略の結果だったとわたしは推定している。

単細胞が多細胞になると、色々と困る問題が生じる。例えば細胞同士の連絡だ。これにはリガンドという信号分子を生み出すことで対処しただろう。今で言う神経伝達物質やホルモンやサイトカインだ。

また免疫はどうするか?それまでは単細胞の細胞膜で異物を識別し、有害な異物は分泌物質を噴射して一掃するか、いっそのこと貪食して食べて処理していたが、多細胞になるとそうはいかない。

だから体液中にそのような異物識別と異物貪食の能力を有する食細胞を装備して、口や呼吸や皮膚を通して侵入してくる外来性の異物に対処するシステムを造り上げた。

これこそが免疫の起源なのだ。マクロファージという食細胞は現生のヒトデやウニなどカンブリア爆発以前にもいたであろう非常に古い種族の体液中にも存在し、その免疫をしっかりと担っている。

軟体動物も魚類もまたマクロファージの活性にその免疫を依存している。いわゆるリンパ球と呼ばれT細胞やB細胞と呼称されるマクロファージなどの自然免疫よりも一段高級と目されている獲得免疫の機構をもつ脊椎動物は全動物の中ではわずか4%しかいない。

つまり動物界はもっぱらマクロファージや樹状細胞や好中球などの自然免疫のみで、このバクテリアやウイルスに満ち満ちた地球環境に適応しているのだ。

ヒトの免疫の主役は獲得免疫の、キラーT細胞やB細胞だけだと思ったら大間違い!

実はマクロファージの細胞膜には異物を識別するレセプターが存在し、その体内にはなんとウイルスやバクテリアのDNAすら認識する受容体が存在するのです。

マクロファージはこれらトールライクレセプターと呼ばれる異物弁別機構を使って、異物を判断し、その情報をヘルパーT細胞へと伝達し、

またインターフェロンや腫瘍壊死因子やインターロイキンというサイトカインを分泌して、免疫細胞に免疫活性化の信号を連絡し、全身の細胞を活性化します。

つまり獲得免疫はマクロファージの指示に従う、「自然免疫の下部組織」と言うのが実体なのです。

あるいは自然免疫の単なる補助機構が獲得免疫かもしれません。

私たちは生命史を俯瞰して進化を考察する際に、どうしても外部形態の変化にとらわれてしまいますが、生命の内部でも「変わらなくあるために、変わりつづける」進化がずっと継続して起こってきました。

生命体を守り続けた免疫力の真相へと、いよいよ洒落たSUVでガツンと乗り上げます。

2014.12.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 17

ここ4回ほどのガンに関する集中講義で、いったいガンとは何なのか?、そして、いったいどうしたらガンにならないでいられるのか?、さらにもしも有害無益とされるガンの三大療法を強要された場合にいかにしてバックアップして生命力を回復するか?、の解答をほぼ言い終えてしまったと言える。

ようは正常細胞がガン化するのはミトコンドリアを含む様々な細胞環境の悪化を引き金とした、細胞核ゲノムの自発的な意志による細胞質でのエネルギー産生の亢進というワールブルグ効果を主体としたATP産生機序であり、

だからこそ細胞レベルではガン細胞は決してただのワルモノではなく、ATPという生体にとって絶対に必須のエネルギーを生み出すための細胞という善なる側面をあわせもつ細胞であり、

しかし個体レベルにおいては60兆個の細胞群が動的生理を協調して営む上では、本来は細胞分裂が過剰になっては困る組織や器官が異常な細胞分裂によって増殖することは、これはある部位の反乱と見なせるわけで、だから個体レベルから見るとガン細胞はやはりテロリスト細胞という悪なる側面をもつが、

ホモサピエンスという種のレベルから俯瞰するとガン個体は種を維持していく上では劣性の危険因子と見なせるので、このガン個体が消えていくことは種の維持にとってのアポトーシスと見なせるわけで、そういう視点からはガン個体が発生し消えていく過程はプラスと言えるかもしれないが、

種というものは一定数の数を維持しなければやがて絶滅は真逃れないので、種内の個体数が減っていくことはこれは決して好ましい事態とは言えない。よってガン個体が消えていくことは、種の維持にとってはやはりマイナスと言える。

このようにガンという疾患らしき細胞生理現象は細胞レベルと個体レベルと種レベルの生命3階層から洞察すると、生命にとっては綜合してプラス面が2、マイナス面が2となり、ガンという存在は邪正一如(じゃしょういちにょ)であることがよく理解できてくるのだ。

ガンとは日本の江戸初期に僧であり神官であった鍼医一派が近江は多賀大社で立ち上げた「多賀法印流」の中核思想である、「病は命、命は病」の邪正一如観とまったく合致した命そのものであることが、生命3階層からのガン解読で明らかになったといえよう。

そしてガンにならないためには、日頃からヒートショックプロテインを分泌するようなライフスタイルを実践するアダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)な生き方に努めることでガンは未病治でき、

それは多糖体というヒートショックプロテインを分泌させるような食材を多く含む食養生を意味し、また適時に鍼灸指圧を行うような本当の意味での予防医学を取り入れた生活を言うのであり、

こうしたヒートショックプロテインに満ち満ちた生き方をしていれば、例えガンが日々、体内に3000個から100万個も発生しようとも、ぐっすりとひと晩眠っている間に、マクロファージがガン細胞を貪食してその細胞膜にガン抗原を提示することや、

インターフェロンやインターロイキンや腫瘍壊死因子というサイトカインをマクロファージがガン細胞を食べた後に分泌することで免疫力が活性化して、朝起きた時にはすべてのガン細胞がすっかりきれいに消去されているという、免疫力の高い生き方が実現するのである。

さらにもしも、ガンが見つかった場合に例え三大療法を強要されたとしても、この国には鍼灸指圧という人類発祥からの貴い医学の系譜はいまだに完全に絶滅していないことを想起し、自分で必死になってしかるべき腕の鍼灸師を見つけてかれの治療にしたがいヒートショックプロテイン分泌に励み、

ヒートショックプロテイン60のフォールディング機能の活性化とミトコンドリア賦活と膜輸送の強化と、ヒートショックプロテイン70のDNA修復能力に望みを託すことで、余命を生きる希望が芽生えるだろうことは忘れないで欲しい。

ガン細胞を悪として徹底的に殲滅する医学思想では永遠にガンは撲滅できないだろうと私は考えています。

なぜならガン細胞もまた命そのものだからです。

命とは何なのか?ガンとは何なのか?を問わないから、平気で「ガン戦争」などと口に出来るのです。

命は戦争する相手ではなく、優しくいたわり慰撫(いぶ)し、健(すこ)やかに養(やしな)うものです。

恐らくは多細胞生物が誕生した今から6億年前頃に体液というものが生じたと予測します。この際にマクロファージが動物の体内に共生した。マクロファージのような白血球のない動物はこの地球上には存在しません。

この地球は実はわたしたち生命界の生みの親であり大御所であり大先輩であるウイルスやバクテリアの支配する世界ですから、これらの多様な微生物と共生できなくば命を維持することは不可能です。

ですからこれらのウイルスやバクテリアと共生するシステムは多細胞生物が発生した初期からすでにシステム化されていたと見なせます。このウイルスやバクテリアと共生するシステムこそがマクロファージなどの免疫細胞による免疫システムだったのです。

単細胞生物が多細胞生物に進化する際におこった機能的な変化の一大事件は、この「免疫システムの獲得」にあったと推定します。

マクロファージの細胞膜レセプターTLRはここ5億年の全生命史を記憶し保管して、いまこの瞬間にもヒートショックプロテインHSP60、70を感知し、常在菌や常在ウイルスや多糖体を認識し、全身の免疫細胞を指令しております。

マクロファージを味方に付ければ、免疫を制することができます。

ガン・コンテンツ解読の先には、未開の広大な免疫の森が広がっています。

2014.12.17 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 16

結核菌の菌体成分とくに細胞壁成分であるリポ多糖を使用した丸山ワクチンについてはその効能の賛否がいまだに定まらないのだが、ここ2回のガン免疫に関する集中講義で、すでに勘のいい読者は丸山ワクチンがなぜ効く場合があるのか?の

免疫メカニズムを類推することが可能かと思われる。レンサ球菌による丹毒というある種の感染症候群によって39℃以上の発熱が1週間も続くと、体内に出来ていた2〜3センチ以内の固形ガンが丹毒治癒後に消退した。

「コーリーの毒」と呼ばれる20世紀初頭にニューヨークの外科医ウィリアム・コーリーが行った先駆的なガン免疫治療により、化膿レンサ球菌とセラチア菌の死菌を接種されたガン病巣が縮小し、完治することすらあることが判明した。

この二つのガン治癒の実例からわかることは、つまり病原細菌の体内への侵入によって、もともと身体がもっていた防御機構である免疫力が高まり、

体内に侵入した丹毒の原因菌や人為的に投与された化膿菌やセラチア菌の死菌を免疫細胞の樹状細胞やマクロファージなどの自然免疫で最初に抗原を捕捉する免疫細胞が貪食して認識することで、

樹状細胞やマクロファージはヘルパーT細胞へといったいどんな異物、病原菌、ウイルス、癌細胞が体内にいるのかの敵状報告を、MHCクラスⅠ、MHCクラスⅡ、などの細胞膜による抗原提示という機序で伝え、

ヘルパーT細胞は樹状細胞やマクロファージから受け取ったこれら侵入者の情報を、今度はガン免疫やウイルス処理の主役となるキラーT細胞へと伝え、

また抗原にぴったりマッチした抗体グロブリンを産生するB細胞へも、ヘルパーT細胞はウイルスや細菌の情報を公開し、こうした一連の免疫機構が活性化する中では、

免疫細胞同士が連絡に使う信号分子であるインターロイキンや腫瘍壊死因子やプロスタグランジンやインターフェロンなどのサイトカインと呼ばれるリガンド(信号分子)が盛んに飛び交うことで、

さらに生理的な活性がますます高まり、またインターロイキンやプロスタグランジンなどの分泌によって体温中枢である脳の視床下部が影響されて、体温上昇の指令が脳から全身に発布されると、

60兆個の細胞内の細胞核DNAにあるタンパク質合成をコードする遺伝子が起動して、ヒートショックプロテインを産生する遺伝子が起動すると、この塩基配列の情報がRNAへと翻訳されて転写されて、

この情報が核膜を経由して核外のサイトゾルである細胞質内へと伝達されると、細胞内オルガネラの小胞体に付着したタンパク質製造工場であるリボソームでヒートショックプロテイン合成情報は読み取られて、

小胞体やリボソームでヒートショックプロテインが大量に作られたのちに細胞内の分泌顆粒に溜められて、その後はしかるべく細胞内の器官や細胞膜から細胞外へと分泌放出されると、

血液を介して全身にヒートショックプロテイン60や70が配布されて、ヒートショックプロテイン60はミトコンドリアを賦活し、ヒートショックプロテイン70は強力な細胞保護作用を有し、DNA修復まで行うので、

こうしたヒートショックプロテイン濃度の高まりによっても生体はさらに元気を増していき、このヒートショックプロテイン60と70を抗原提示細胞であるマクロファージはその細胞膜レセプターのTLR4で受容して、

また結核菌の菌体成分である丸山ワクチンも実はマクロファージの細胞膜レセプターTLR4やTLR1やTLR2が受容するからこそ、マクロファージをはじめ免疫機構のすべてが活性化して癌を消退させることができるのだが、

こうしてマクロファージが細胞膜レセプターTLRを使って様々な病原異物を捕捉し認識することで、マクロファージは元気100倍になって、やおらガン細胞もウイルス罹患細胞も古くなって使えなくなった老朽化細胞もどんどんと貪食されていき、

体内からは劣化した細胞が跡形もなく消えていくのがガン免疫ワクチン的な病原異物の効用と言えるのである。

つまりは、このような連続したカスケード(なだれ式)な免疫反応を引き起こせる療法だけが、ガン治癒が可能なのだ。

生理現象とはすべての糸がつながった一連の命のネットワークであり、それは分子レベルではリガンドという信号分子が飛び交う情報戦であります。

そのリガンド情報交換の中においてヒートショックプロテインが果たす命の賦活作用に注目すれば、おのずと自然治癒力の本源が何であるのか?は悟得されるのです。

鍼灸指圧は人類の発祥以来、ヒト族ホミニンを救ってきました。按摩マッサージ指圧の起源は人類よりもさらに遡り、サル時代のノミ取りグルーミングにまで遡れます。

またβエンドルフィンという麻酔性ペプチドの起源は原始哺乳類の恐竜が跋扈していた中生代の原始ネズミの乳汁内にあると見なせます。

鍼を打つと脳内や腸上皮や皮膚から分泌される快感ホルモンであるβエンドルフィンは、ガン免疫の主役であるNK細胞を賦活します。

鍼灸指圧が今後、ガン予防やガン治療で果たす役割は計り知れない程に大きいのです。

ネット上には覚醒者気取りのエセ健康指南番が大量に棲息しています。誰がホンモノで、誰がニセモノか?

ホンモノを見極めるリテラシーを是非に本ブログで養って下さい。

ホンモノは決して安易に「癌を治す」と謳(うた)う言説には飛びつきません。

なぜなら癌とは何なのか?その指をもってこれまで苦悩してきたからです。

命とは何なのか?それは涙を流すような苦悩の中からしか解答を得られません。

たったひとりでも三大療法の渦中にあっても救えないか?

そうした壮絶なる格闘の中で、わたしはヒートショックプロテインの真価をつかみ取りました。

抗ガン剤を投与されようと、放射線を照射されようと、外科手術で女性の大事な部分をすべて抜き取られようと、術前、術後の鍼灸指圧によってQOL(生活の質)を高めれば、余命は伸ばせるはずだ、

との確信でおこなった闘いは見事に実を結び、彼女を職場に現役復帰させる奇跡を生み出しました。

「癌の治療ではなく、癌よりも恐ろしいガン治療との闘い」の結果です。

三大療法を信じる世論との闘いは、いまのところこの一勝のみです。

たったひとりでもヒトを救うことはとてつもないエネルギーが要ります。

ミトコンドリアも細胞も常在菌も、身心のすべてを救って、はじめて治療です。

ヒートショックプロテインに導かれた魂の軌跡を本ブログで、とくとご賞味あれ!

2014.12.16 | | コメント(8) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 15

ガンの三大療法と言えばおなじみの外科手術による当該病巣の切除と放射線照射と抗ガン剤の投与であることは今や誰もが知るところとなっているが、これらの療法の間隙をぬって「ガン免疫治療」なる新しい治療法が行われていることはあまり知られていない。

このガン免疫治療とはいったいどんな治療かというと、早い話しがガン患者の免疫細胞たとえば樹状細胞を採取して、これを特異的に免疫力を強化したタイプに培養して進化させたものを、もう一度、

採取したガン患者に投与して、この人為的にガン抗原を特別に認識するように活性化した樹状細胞が盛んにガン細胞の細胞膜に掲げられたガン抗原ペプチドを認識して樹状細胞がサイトカインを旺盛に分泌することで、

NK細胞もキラーT細胞もマクロファージも活性化してガン細胞が貪食されてアポトーシスが進むというシロモノが、ガン免疫治療のザックリとした概要である。

このガンの三大療法の次ぎに来るトレンドとして期待されるガン免疫治療の原点は20世紀初頭のニューヨークの外科医ウィリアム・コーリーの実験に遡(さかのぼ)る。

コーリーは他の病気にかかって発熱した者の体内のガン病巣が縮小している事を経験から観察して、それならばいっそのことガン患者の体内に直接に病原体を入れて発熱させたらどうか?と考え、

感染したら発熱を起こす病原菌として丹毒を発症させる化膿性レンサ球菌と自然界に常在する敗血症や髄膜炎の原因菌となるセラチア菌の死菌をガン患者の患部に接種してみました。

その結果、ある患者の腫瘍は縮小して、またある患者のガン病巣は完全に消退して完治するものすらありました。しかしこのいささか乱暴な実験的な治療の真の意味での免疫メカニズムが理解されなかったせいで、

この実験的な治療法はのちに「コーリーの毒」という名で語り継がれるのみで、その啓示的で先駆的なガン免疫治療の草分けは、華々しい外科術や放射線治療の影に隠れて医療の歴史の闇に埋没してしまったのです。

では「コーリーの毒」治療がいったいどういう免疫メカニズムでガンを駆逐したのか?と申せば、これは無論、前稿をすでに熟読した本ブログフリークにはすぐにピンと来て、ああアレか、とわかるように

ようは体内に侵入した病原菌を排除せんとする機転である免疫力が高まることで、ついでにガン細胞もこの免疫力の高まりの中でマクロファージに貪食され、NK細胞やキラーT細胞に分解されていったということなのです。

丹毒に罹って39℃以上の熱が1週間も続くと、2〜3センチ以内の固形ガンが消えていく、という厳然たる事実。そして「コーリーの毒」治療によって人為的に病原菌を投与するとやはりガン病巣が縮小して、完治することがあるという事実。

この2つのウソ偽りのないガンが治る実例から読み取れるガン対策は最早、誰の目にも明らかになったといえるだろう。

そう「ヒートショックプロテインによる免疫力の活性化」なのだ。

マクロファージの細胞膜にはトールライクレセプター通称はTLRと呼ばれる受容体が備わり、体内に侵入した病原異物をこの受容体が捕捉して、しかるべき免疫反応を起こして、身体を異物から守っています。

TLRは哺乳類では10種類ほどが発見されていますが、ヒトのマクロファージには細菌を認識するTLR2、TLR4が装備され、さらに細菌のDNAを認識するTLR9も存在します。

また何とTLR4はヒートショックプロテインのヒートショックプロテインHSP60とヒートショックプロテインHSP70を抗原として認識するのです。

これはどういうことかと言えば、ヒートショックプロテインが体内に発動したということは、体内のどこかに細菌やウイルスが侵入して細胞構造が破られて発熱が起こったという経験則が、38億年の長き生命史で積み重なった結果、

マクロファージはヒートショックプロテインの発動に伴ってすぐに緊急免疫反応を引き起こせるまでに進化しているということなのです。

ですから、ヒートショックプロテインを分泌できる鍼灸指圧によって、マクロファージもまた大いに活性化して、ガンをはじめとする免疫低下による疾患のすべてに立ち向かうことができるのです。

鍼灸指圧が世界一の最上の医療だ、とわたしが声高に主張するエビデンスはマクロファージのTLRのヒートショックプロテイン感受性にあると言っても過言ではありません。

さてガンの原因がいったいどこにあるのか?を詮索して、ガンは解糖系を亢進していながらミトコンドリアが機能停止を起こしているので、細胞質にはミトコンドリアのクエン酸回路と水素伝達系が動かないせいで

解糖系の産物である乳酸がピルビン酸に変換されずに大量に蓄積されて溜まってしまい、この乳酸によって細胞内が酸性環境になることで

あらゆる病的な症状が誘導されると、よくチマタでは分析されて、では酸性に傾いた細胞環境をもう一度アルカリ性に戻すためにはクエン酸をはじめとするミトコンドリア刺激剤を食べたり飲んだりしてミトコンドリアを動かして、

水素伝達系が回転していないのだから、水素を補給してあげれば水素伝達系が動きだすはずだと称して、なんらかの水素補給療法なる得体のしれない療法を盛んに推奨する論説もまま見受けられます。

しかしそもそもガン細胞内の乳酸蓄積はガン化した結果であって、これはガンの原因ではないのです。だからいくら結果をどうこうしようとしても、原因にタッチして蛇口を止めていないのだから、これでは何の意味もありません。

あくまで細胞がガン化するのはホストである細胞核DNAが主体となった「細胞の総意」なのです。パラサイトであるミトコンドリア内の呼吸欠損と m t DNA の変異の蓄積が引き金となって、

最終的に細胞核DNAがこれは解糖系を亢進してATPを合成するガン化細胞に進化するしかない、と判断した結果、ガン細胞が生じるのです。

ですからガンの原因とはこれは言ってみれば「細胞の自発的な意志」なのです。なぜ細胞がガン化しなければならなかったのか?これは無論、ミトコンドリアの機能停滞にあるのですが、

細胞の総意でみずからすすんでガン化した後にいかにしてこの自発的ガン化細胞を消去してしまうか?というエッジな局面においては、

ガン化細胞の細胞内の酸性環境をもとに戻すなんていう「結果と原因をはき違えた」チグハグなやり方では絶対にガンが消退しないことなど火を見るよりも明らかです。

ガン化しない環境作りという未病治の視点では細胞内を酸性に傾けない何らかの養生法や療法は、いくらかプラシーボも合わせて効果はあるかもしれません。

しかしいったん細胞がガン化のスイッチを入れた後には、そのような小手先のやり方では絶対にガン細胞を消すことなど不可能です。

ガンが自然治癒するその機序とはいったい何なのか?

それは「ヒートショックプロテインによる生体賦活」しかありません。

ここにこそ、これこそがガン治癒の真実の鍵なのです。

ミトコンドリアでは電子伝達系において4つの呼吸酵素複合体が電子を膜内から膜間腔に抜き取るラインを経て、最後の5つ目のATP合成酵素が

膜間腔から膜内に戻る電子であるところの水素イオンの力で回転してはじめてATPが合成される仕組みになっています。

この呼吸酵素複合体(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)を構成するタンパク質はそれぞれ細胞核DNAとミトコンドリアDNAの2つのDNAからそれぞれコードされ配給されており、その割合はというと圧倒的に細胞核DNAの遺伝子に依存しているのです。

実数にして m t DNA にコードされるタンパク質の総数は5つのラインを合わせて13に対して、細胞核DNAにコードされるタンパク質は何と73以上!

つまり実はミトコンドリアにおけるATP産生の最終ラインの電子伝達系は、すでに細胞核DNAの支配下にあるということなのです。

ミトコンドリアという「命の揺りかご」は、細胞核DNAに頼って生きるパラサイトとしての宿命を帯びているのだろうか。

ミトコンドリアが生命力のすべてを握っている?、などという固定概念もまたある種のミトコンドリアイズムに惑わされたディスインフォメーションが生みだした机上の幻想なのかもしれません。

ミトコンドリアの機能停滞にガン化の原因があるとしても、そのガン化の原因の中には細胞核DNAがセントラルドグマで生み出すミトコンドリアの電子伝達系で使われる呼吸酵素タンパク質が、

小胞体ストレスによって小胞体に「一気の留滞」でストップしてしまって、うまくミトコンドリアに運ばれないという場合もあると予測されます。

もちろん、このような場合にヒートショックプロテインにより「小胞体ストレス応答」を引き起こして、小胞体ストレスを一掃すれば、

ミトコンドリアに必須の呼吸酵素タンパク質がうまくミトコンドリア内にまで運び込まれて、また電子伝達系が再起動してスムースに回転し出しATP産生が促進されることはいうまでもありません。

ようはミトコンドリアの機能不全にはミトコンドリア単体の原因だけでなく、細胞核セントラルドグマや細胞内オルガネラの小胞体に起因するものもある、ということです。

細胞内オルガネラのパラサイトであるミトコンドリアは m t DNA の支配と細胞核DNAの2系統の遺伝子による支配を受けるとともに、ホストである細胞全体もまた m t DNA と細胞核DNAの二重支配を受けるのです。

細胞がなぜガン化するのか?は、だからミトコンドリアだけに原因するようなそんな単純でシンプルな理由だけでは断じてないと言えるのです。

細胞生理は常にすべてがからみあったネットワークのうえに存在します。

からみあった糸のあやをほぐせるのは、たゆまぬ探求心あるのみです。

本稿に関する異論反論、大歓迎!

2014.12.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 14

レンサ球菌に罹患してなる疾患を丹毒と称するが、身体の一部に入りこんだ有害菌であるレンサ球菌を殲滅せんとして身体は自衛作用としての発熱を開始する。

まずマクロファージという免疫細胞がレンサ球菌を貪食するとマクロファージはインターロイキンという信号分子、サイトカインを分泌して脳細胞に有害なバクテリアが体内に侵入したことを知らせる。

すると脳細胞からは鍼治療や灸治療によっても旺盛に分泌されてくる発熱サイトカインであるプロスタグランジンE2が合成されて、プロスタグランジンE2が脳の視床下部に受容されると、

視床下部は体温をコントロールする中枢なので、体温を上げる指令を全身に発布する。体温が39℃以上まで発熱されると身体中の60兆個の細胞内において、細胞核DNAがヒートショックプロテインを合成するセントラルドグマを起動し

小胞体リボソームにおいて盛んにヒートショックプロテインが作られると、それまで「小胞体ストレス」として小胞体に溜まっていた変性タンパク質もこの機会にヒートショックプロテインのHSPユビキチンによって

標識化されて小胞体から細胞質に引っ張り出されて、プロテアソームというガチャピンのようなナリをした分解酵素にスポッと挿入されて、タンパク質を生み出す素材としてアミノ酸に再利用されるまで分解されていく。

この小胞体に溜まった変性タンパク質の凝りである「小胞体ストレス」がヒートショックプロテインのちからで一掃される機序は「小胞体ストレス応答」と呼ばれている。

江戸期の漢方医であった後藤艮山が提唱した「百病は一気の留滞により生じる」の「一気の留滞」こそが「小胞体ストレス」であり、

ヒートショックプロテインにより変性タンパク質を小胞体から一掃する「小胞体ストレス応答」を引き起こせる鍼灸指圧こそが世界一の医療であるとは、ここ最近のわたしのブームであることはすでに本ブログフリークには既知な案件である。

ヒートショックプロテインが発熱機序でたくさん小胞体リボソームで合成されて分泌されてくると、先程言ったユビキチンというヒートショックプロテインが細胞膜に細胞内の変性タンパク質の状況を告知する機序を発動する。

これによりウイルスやバクテリアやレンサ球菌に罹患している細胞は細胞膜に掲げられたHLA標識を目印に、免疫細胞がこれらの細胞を旺盛に貪食し始める。

またガン細胞においてもヒートショックプロテインのユビキチンがガン細胞に特有の標識を細胞膜に掲げるので、標識を掲げたガン細胞を特異的に殺傷するキラーT細胞に発見されパーフォリンとグランザイムとフラグメンチンという分解酵素を噴射されて、ガン細胞はアポトーシスされる。

ヒートショックプロテインが発動するとガン細胞内のつぶれたミトコンドリアが機能を回復することはつとに有名であるが、ミトコンドリア内で活動するヒートショックプロテインとしてはHSP60がよく知られており、

HSP60はタンパク質のフォールディング(折りたたみ)をシャペロン(介添え)するので、ガン細胞内で増えたHSP60がミトコンドリア内の変性タンパク質を修正することでミトコンドリアが復活してくるのだ。

ヒートショックプロテイン濃度が上がればヒトの命を動かすナノマシンである4万から10万種と数えられるすべての機能タンパク質や構造タンパク質が正常化するので、

あらゆる意味で発熱によってヒートショックプロテインが合成分泌されてくることは生体にとって望ましい事態だ。

レンサ球菌による丹毒で39℃以上の熱が1週間も続くと、2〜3センチ以内の固形ガンが丹毒が治った後に消えてしまうガンの自然治癒例が洋の東西を問わずに1970年代から多数報告されていた、ことは無論のこと、本ブログ読者にはすでに常識である。

ようは発熱によるヒートショックプロテイン濃度の上昇によって、上述のようなこれだけの生理的な利得が「棚からぼた餅」ならぬ「セントラルドグマからヒートショックプロテイン」でもたらされるのだから、

ヒートショックプロテインの真価を参照しないガン対策がいかに貧弱で浅いのか、がこうした解説でイヤでもわかるはずなのだ。

これだけくどくヒートショックプロテインの効能を力説しても「いったいそのヒートショックプロテインとやらはどこから、どんな方法で出るのか、まったくわからないから、わかりやすくその旨を教えろ」と

すごむコメントを以前にも頂いたのだが、まったくヒトサマのブログを全部しっかりと読んでから質問なり、コメントなり、感想なりをしてもらいたい。

さて、つまりはミトコンドリアを賦活する最善の方法はと言えば、ガン細胞内のミトコンドリアすら復活する例に見るまでもなく、ヒートショックプロテイン分泌が「ベスト オブ ベスト」、ということが本稿の前半部の要諦と言えよう。

ガン細胞が自然消滅するプログラムは、ガン細胞がみずからの意志でアポトーシス機序を発動してDNAを刻んで細胞を細かく分裂して小胞になり、マクロファージに貪食される方法が通常生理における睡眠時のリモデリングであるが、

その他にはより攻撃的にガン細胞を消滅する方法としてはヒートショックプロテイン濃度を上げることで、すべての免疫細胞の細胞内ミトコンドリアを活性化しつつ、

ガン細胞がみずからヒートショックプロテイン・ユビキチンのちからでHLA標識を掲げるのを助けて、キラーT細胞に発見されやすく誘導する方法や

さらにガン細胞内のミトコンドリアがヒートショックプロテインによって復活して、もうこのガン細胞はこれ以上このまま使い回せないほどに傷んでいると細胞核DNAに判断されると、

ミトコンドリアDNAと協働してミトコンドリアが主導でアポトーシスを起動するチトクロームCという赤いタンパク質を

ミトコンドリアがミトコンドリア外へと漏出することで起こすカスパーゼ・カスケード・アポトーシスを誘導することも可能だ。

このような様々なヒートショックプロテイン発動による優れたガン免疫バックアップシステムによって、標識化されたガン細胞は速やかキラーT細胞に見つけられ分解されていき、

アポトーシス機序で小胞になったガン細胞の断片もマクロファージによって分解されて跡形もなく消えていく。

さらにガン細胞の中でも見つけにくい標識化されていないタイプのガン細胞は、これを専門に扱うNK細胞という免疫細胞が見つけ出してちゃんと消滅させるシステムがヒト免疫には備わっているのだが、

もちろんNK細胞もヒートショックプロテインによって活性化することは言うまでもない。ヒートショックプロテインは何と言ってもミトコンドリアを活性化するのだし、

NK細胞の細胞内ミトコンドリアが賦活されれば、そのNK細胞が元気になるのは当たり前なのだ。

今回はこれでもか、とヒートショックプロテインやミトコンドリアの分子レベルでの関係をそれなりにわかりやすく解説しているつもりだが、専門用語が多用され読むに耐えられない方はこのへんでスルーして、お引き取りしてもらっても結構です。

細胞核DNAは親からそれぞれたった1本づつDNAのコピーをもらい、これをよって二重鎖として大事に核膜というシェルターに仕舞っているが、

ミトコンドリアは母系遺伝で受け継いだ20万年前の原初ホモサピエンスの「アフリカのイブ」のママからずっと大事に使い続けてきた m t DNA のコピーをひとつの細胞内に何と驚きの1000本以上!も常に保持している。

お正月飾りの輪飾りの結び目がほどけて二重鎖の小さなしめ縄が1本ちょろんとある脇に、ちゃんと結び目がくっついた環状の輪飾りが1000個余も高々と積まれている絵図をイメージして頂きたい。

細胞核DNAが生体反応を司る真の意味でのホストであることには異論はないが、この細胞核DNAとパラサイトに過ぎないミトコンドリアDNAの圧倒的な物理量の差をいったいどのように考えたらいいのか?

と途方に暮れる程に、ヒト体内におけるミトコンドリアDNAの量は膨大なのだ。

これだけの大量のミトコンドリアDNAがあるからこそ、寒暖の激変に遭遇しようとも、酸素濃度の上昇に伴う活性酸素の増大が進もうとも、産業毒にまみれた有毒物質だらけの現代文明にあっても、ヒトはたくましく生きられるのだろう。

ミトコンドリアが細胞内で単体の粒子でいることはほとんどなく、常に糸状にネットワークを構成し、お互いの物質を交換し、傷ついたDNAを希釈して修正し、

使えなくなったミトコンドリア粒子はミトコンドリアを専門に分解するオートファジー(自食作用)の一種であるミトファジーを発動することで消滅させていることは注目に値する。

ミトコンドリアはもとは原核生物である好気性光合成細菌というバクテリアであったが、その名残であるのか細胞内オルガネラとして生きる道を選択した真核生物の体内においても、

集合した粘菌のようなネットワーク状のコロニー(群体)を細胞核の周囲に張り巡らせ、細胞核DNAを守り、細胞質の他のオルガネラや細胞膜レセプターからの情報伝達を得て連繋して、ヒートショックプロテインを味方にして、動的生理を営んでいるのだ。

わたしがこれまでに末期のガン患者たちを含め幾ばくかのガンの身体を治療して触った経験から言えば、癌はちょっとやそっとのことで消えるようなそんな生やさしいタマでは断じてないと言いきれる!

もしもガンを本当に完治させようと思うのなら、樹状細胞やNKT細胞をはじめすべての活性化した免疫細胞に貪食されて、はじめて体内から本当にリアルにガンは消えていくものなのだ。

魔法のようにこれがイイだの、あれがイイだのと呪文を唱えていれば、癌が消えるなんてのは免疫細胞の名前のひとつも、免疫細胞の機能のひとつもそらんじていない「免疫の初歩の初歩」すら知らない馬鹿げた脳内妄想に過ぎないのだ。

それなのに、なにを食べれば癌にならないだの、この療法こそが癌を治すだの、と本当にチマタにはくだらないまったく役に立たないバーチャルな幻想に取り憑かれたガンにまつわる雑情報ばかりが流布されている。

癌を予防し、治療する方法を知りたければ、癌が自然治癒した実例を見れば一目瞭然ではないか!

丹毒を発症した者の癌が自然治癒した。それは発熱によって増えたヒートショックプロテインがミトコンドリアを賦活し、白血球の貪食作用を高めたからだ。

この厳然たる事実に頭を下げないガン解読者たちには、ヒートショックプロテインの一撃をガツンと一発喰わせたい!

わたしたちの細胞核DNAは、すでにガンを克服する機能が装備されるまでに進化していたのだ。

セントラルドグマによってヒートショックプロテインを生み出すこと。

これこそがガン予防とガン撲滅の王道だ。

鍼灸指圧はヒートショックプロテインを生み出す医療だ。

末期ホモサピエンス存続の鍵は鍼灸指圧が握っている。

2014.12.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 13

私たちヒトを含む地球生命体の中で多細胞生物として生きるユーカリアの一族はみな細胞核ゲノムの染色体末端にテロメアをもち、細胞分裂の回数が規定されているので寿命が存在し、寿命が尽きれば個体は死滅することは真逃れない。

仏教では生老病死(しょうろうびょうし)を四つの苦しみ、四苦(しく)であると説くのであるが、病気が苦しみであることには異論はないが、生まれ生きることや、老いることや、死ぬこと、が苦しみであるかどうかは各個人のありように任せられているような気がする。

多細胞生物は多細胞のツケとして寿命を規定されたが、種を存続するサバイバル戦略として細胞レベルでは古くなったり、使用不能になったガン細胞やウイルス罹患細胞を

プログラム細胞死させるアポトーシスの機序を発動することで消滅させて、新しい細胞に生まれ変わらせるリモデリング戦術を駆使し、

細胞は常にリニューアルされて新品でいる仕組みを生みだした。また個体レベルでは生殖を介して男女のそれぞれのDNAを1本ずつ組みかえることで、丸ごと1個体を新たに造り替えるという親が子を作るシステムを編み出した。

つまり地球に生きる多細胞生物は細胞レベルでは細胞リモデリングによって、個体レベルでは配偶子を作ることで、種のレベルでは進化することで、それぞれの階層で地球環境にしがみつき生き残るスベを獲得したと言える。

癌という疾病に関してもこの3つの生命階層から俯瞰して解読するとその意味がよりクリアになる。

まず細胞レベルからガン細胞を見ると、これは細胞核DNAにはガン原遺伝子というガン化を促進する遺伝子が最初から組み込まれていることが分かっており、

またガン抑制遺伝子としてはP53遺伝子がプログラムされていることが有名であるが、つまり細胞核DNAにはガン化を促す遺伝子と、ガン化を抑制する遺伝子が最初からセットアップされていることをまず確認したい。

これはどういうことかというと、ガン原遺伝子は通常は正常細胞が細胞分裂を適切に起動するためになくてはならない遺伝子ということであり、

それは古くなった細胞を新しく細胞分裂によってリモデリングしていく多細胞生物には、絶対に必須なリモデリング・ゲノムツールだということなのだ。

ガン化は通常生理において必然のプログラムである。まずこのことをしっかりと認識しなければならない。

さてミトコンドリア研究から判明したガンとの関連事項では、ミトコンドリアDNAの変異によっては細胞はガン化しないという事実は注目に値する。

たしかにミトコンドリア内の呼吸欠損によってATPが作られないと、そのバックアップとして解糖系が亢進して細胞がガン化することはあるのだが、

そうではあってもミトコンドリアDNAの変異と細胞のガン化は関係ないということである。つまり細胞のガン化を主導するのはあくまでも細胞核DNAの変異なのだ。

ミトコンドリアが12億年前に原始真核生物に共生したパラサイト、寄生体であることを思い出せばこのことの意味がよりはっきりするだろう。

ミトコンドリアは宿主、ホストである原始真核生物の体内に寄生する際に自身の m t DNA のほとんどの遺伝子をホストの細胞核DNAに水平遺伝によって移送することで、

酸素濃度が急上昇して有毒物質である活性酸素にさらされる危険性が増していく地球環境の中で生き残る道を選択した。

このミトコンドリアが酸素をエネルギー源として除去しながら、酸素を猛毒として排除したい原始真核生物と共生したことで、真の意味での真核生物、ユーカリア・ドメインが誕生できたのだ。

ミトコンドリアはホストの細胞核DNAに m t DNA のほとんどを疎開避難させてもらったその見返りに、細胞内でミトコンドリアは酸素呼吸をして大量のATPを生み出すことに特化した細胞内オルガネラとなり、

細胞核DNAに移譲した m t DNA の遺伝子と細胞核DNAの遺伝子と、ミトコンドリアに残存した m t DNA の遺伝子による

細胞核遺伝子とミトコンドリア遺伝子の2系統の遺伝子ルートに指令され支配される、いささかややこしい器官になったのだ。

だからこそ細胞のガン化には パラサイトの m t DNA の変異だけが関係するのではなく、あくまでも細胞のガン化はホストの細胞核DNAの変異におけるガン原遺伝子の起動とガン抑制遺伝子の停止が主導すると言えるのだ。

そしてなぜ細胞がガン化するのかは細胞レベルにおいては、ガン化によってミトコンドリアが産生していたATPを解糖系を亢進してまかなうというATP産生バックアップ細胞として生まれ変わるという

非常に貴い使命があることがわかるのであり、もともとガン原遺伝子が細胞核DNAにはプログラミングされていることからもわかるとおり、

細胞が危機的な状況になった時の細胞のガン化は必然なのだ。結論としては細胞レベルにおいては細胞のガン化は善といえよう。

では個体レベルにおいてはどうかと言えば、これは多細胞生物は多細胞が協調して動的生理を営んでいるのが正常なのだから、その中である組織の細胞が特異的に増殖を始めることは

決して好ましい状況とは言えず、無論、これはまるでガン細胞というテロリストのような細胞の異常な反乱と見なせる。

よって個体レベルから見ればガン細胞はやはり悪と言えよう。

さて種のレベルでガン細胞を捉えるとどうなるのだろうか?種が進化を使命として存続を計るものとすると、ガン化した個体は種の存続には適さない変異かもしれない。よってガン化個体がやがて消えていくことは正常な種の維持にとっては善である。

しかし種を維持するためには一定数の個体を常に維持する必要がある。もしも個体数が減っていくと例えばネアンデルタール人が2万4000年前にスペインはジブラルタル海峡を望むゴーラム洞窟で最後の1個体が生を終えたように、

種は数が減っていけば絶滅は真逃れない。よってガン化個体の死は種の維持に必須な個体数がマイナスになることを意味するから悪なる事象と見なせる。

総括すると種にとってガン化個体が発生することは善であり悪であるとなる。

ちまたにはガンの解読を謳った言説が溢れ、ガンを治すインチキ説が横行し、ガンを治さない医者がクローズアップされて、今やガン論争は時の一大トピックになった感がある。

しかし、その中にまともな論争がどれだけあるのか?いや、真面目なガン解読がいかほど存在するのか?わたしにはとてもあぶなっかしく思えるのだ。

ガン細胞は細胞レベルにおいては決して悪ではなく「敵ではなく味方であり仲間である」し、個体レベルにおいては多細胞性の協働を妨げるテロリストのような悪の存在であるし、種レベルにおいては変性個体の消滅は善であると同時に個体数の減少としては悪なる事象と言える。

この生命3階層におけるガンの正しい認識がなくば、ガンの解読などできようがないのだ。

わたしがこれまでに「ガンは敵ではなく味方であり仲間である」と言い切ったのはあくまで細胞レベルでの話しということが、やっと今回の解説で理解できたかと思う。

この革命的な発言は多くの賛同を得るとともに、また多くの反発を招き、少なからぬ予期せぬストレスをリアルな生活に持ち込まれたことすらある。

例え自分と異なる意見があろうとも、その考えを尊重するのならまだしも、ヒトサマに直接会って食って掛かるヤカラまで出現したのだから、自分の突飛な発言が招いたとはいえ、それはそれはまったく恐ろしくも驚いた事件だった。

さて、人間の化石などから判明していることとしては、どうもガンという疾患はここ2000年ほどで出現してきた随分と新しい疾患らしい。つまり人類はここ700万年のあいだ、特にガンなど気にしないで生きてきたようなのだ。

それはやはり過酷な自然界を相手に生き抜いてきたからだろう。地球環境の激変をもろに浴びる生活では細胞核DNAとミトコンドリアDNAをフルに起動してATPを産生しなければならない。

そうある場合にはエヴェンキ族のように m t DNA を少し修正して熱産生に傾けたミトコンドリアを生みだしてまで、氷河期のような極寒な環境に適応しなければならない。

だからガンになどなってるヒマは人類史700万年のあいだにはなかったようなのだ。

そういう意味では現代のガン化もまた現世ホモサピエンスの現代文明への適応の結果なのかもしれない。不死なる細胞であるガンを増やす選択をすることで個体レベルのホストを存続せんとする神なる細胞がガン細胞だろう。

ミトコンドリアはATP産生器官であると共に細胞内の解毒器官だ。有毒物質にまみれた現代の生活において細胞内に毒物が侵入した際に真っ先に被曝するのがミトコンドリアだ。その結果ミトコンドリア内での細胞内呼吸がおかしくなって、

呼吸酵素反応に欠損が生じると、やおらワールブルグ効果が発動して細胞核DNAはガン原遺伝子を起動するのである。

現代において細胞レベルにおいても、個体レベルにおいても、種のレベルにおいてもガンが激増しているのは、有毒文明の必然の結果と言えようか。

明日は選挙だそうだ。ガン文明と共に人類もガン化して共倒れする道を選択するのか?

はたまた環境共生文明に舵を切り、脱病院化社会を目指すのか?

期待はまったくできないが、それなりに重大な選択を私たちは明日しなければならない。

2014.12.13 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 12

ものの本によると私たち人間には「情報食動物」という側面があり、口から食べ物を欲するように大脳が新しい情報を常に求めているという。

新しい情報ということはすでに見聞きした情報では満足しないということなのだ。

外部環境のセンサーとしての嗅覚をはじめ五感の感覚器のすべてを100%動員して、微妙な環境変化を知覚することは自然界においては生き残る上で極めて重要な機能なのだが、

この生命体としてのサバイバル体質が、やがて変化を楽しむ好奇心のベクトルへと移行したのが特異的にメガ容量の情報処理デバイスである大脳をもつ人間ということになりそうだ。

私も本ブログでは実は常に新しい情報を提供することをこれまで試みてきたつもりだ。むろん読者に対するサービスでもあったのだが、なにしろ私自身がまさに常に新しい情報を欲しており、以前に書いた内容と同じでは飽き足りないので、

必然的にそうなったまでである。本シリーズもまた新しい側面を見せる試みとなっております。

アクセス解析ページがまた見られるようになりまして、ここのところのアクセス数の動向から意外にもマニアックな本シリーズにおいて読者数が増えてきていることが判明いたしました。

ということで、前記事で触れたミトコンドリアに関する新しい知見をもう少し公開してみたく思います。

ミトコンドリアは12億年前に原始真核生物に共生した際に自身のミトコンドリアDNAを活性酸素や有害物質から守るために、核膜というシェルターにパックされたホストの細胞核内に疎開避難させる措置をしたという話しを前記事ではしました。

しかしすべての m t DNA をその疎開の際に細胞核に水平遺伝したのではなく、少しだけATP産生に必須の遺伝子を含む m t DNA をミトコンドリアは疎開させずにミトコンドリア内にとっておきました。

これによってミトコンドリアという原始バクテリアを祖先にもつ原核生物は完全にホストである宿主細胞の細胞内小器官、オルガネラの一部になったのです。

ミトコンドリアの祖先はスノーボールアースという地球まるごとが凍り付いた後に酸素濃度が急上昇するようなとてつもない地球環境の激変を生き抜くために、未病治の措置としてみずからを変化させて、真核生物の体内で生きるという共生の道を選択したのです。

ミトコンドリアの祖先がこのような共生的な生きる道を選択したことで、わたしたちユーカリア・ドメインというミトコンドリアや葉緑体という共生オルガネラを含む動植物界が誕生し、進化し発展できたのです。

面白いことにどういうわけかミトコンドリアは不死身のようです。ホストである個体が絶命した生命体からパラサイトであるミトコンドリアだけを採取して培養すると条件が良ければ、このミトコンドリアは永遠に生きるようなのです。

それもそのはず m t DNA の形状は二重鎖のリングであり、末端がなく輪としてつながっているからなのです。ヒト細胞核DNAには染色体末端が存在し、そこには細胞分裂の回数を決めるテロメアという塩基配列があり、

このテロメアによって細胞の分裂回数が決定されており、細胞分裂の限界に達するときにホストもまたこの世を去る仕組みができあがっています。

これがヒトではだいたい120歳の寿命というところです。ところがミトコンドリアDNAは環状でテロメアはありませんから、永遠に細胞分裂が可能であり、よって永遠の生を得ていると言えるのです。

あるいはHela細胞と呼ばれる子宮癌由来のガン細胞もまた不死であることはよく知られています。

ガン細胞は通常はテロメアが機能不全を起こしてずっと細胞分裂できる状態になってしまっているのですが、果たしてガン細胞というものそれ自体は不死身になることで

悪化した環境で生き残ろうとしただけだと、ここでもガン細胞は正常細胞のバックアップ細胞という側面が見られるようです。

ミトコンドリアが機能不全に陥った際にワールブルグ効果を得てガン細胞が誕生するのも、不死のミトコンドリアが死滅したからその身代わりにホストの細胞がガン化することで、不死身のガン細胞になってミトコンドリア分のATP産生をまかなうのかもしれません。

生命体にはそれぞれ寿命があります。それはそれぞれの染色体末端にあるテロメアによって規定されています。

上手に養生をしてゆっくりと細胞分裂をしながら過ごせば寿命マックスを生きることができて、その生命体は大往生します。

しかし生前のどこかでテロメアを激しく使い切り、細胞分裂をし過ぎるような過酷な労働をしいたり、過度な精神的ストレスを受けると細胞分裂というリモデリングカードを使い果たしてしまい、寿命いっぱいは生きられません。

もしも寿命が尽きなくとも、余命を生きることが許される場合にはやはり何らかのエイジング的な症状が付随してしまいます。

癌や変性疾患に罹ってしまう方の生き方とはテロメアを大事にしないで、どこかで使い果たしてしまったのではないのか?と最近扱った患者さんから「気づき」をもらいました。

例え生まれつき身体が弱くても命を大事にするライフスタイルを実践すれば、決して早死にはしません。

ネアンデルタール人の寿命はだいたい35歳前後だったと推定されています。彼らの生活は身体を酷使するそれはそれは余りに過酷な生き様だったということです。

「つよき人は、つよきをたのみてつつしまざる故に、よわき人よりかえって早く死す。体気よわく、飲食すくなく、常に病多くして、短命ならんと思う人、かえって長生きする人多し」貝原益軒『養生訓』

不死のガン細胞を手に入れることなく、ミトコンドリアをめいっぱい活用する生き方を選択することで、わたしたちは120歳の大往生を獲得できるのです。

ガン細胞は私たちの不死への憧れが生み出した細胞なのかもしれません。

ホモサピエンスはネアンデルタール人よりも体が弱かったから、ここまで絶滅しないで生き延びたのだろうか?

現生人類は弱かったからこそ鍼灸指圧を獲得し、ミトコンドリアを滋養できたのだ。

2014.12.11 | | コメント(7) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 11

今更ながらではあるが、少しだけ我らユーカリアドメインの生命力の本源とも呼べるミトコンドリアの復習をしておくが、これまで本ブログでは言及していない部分に焦点を当てたい。

さてユーカリアとは真核生物のことを指すのだが、真核とはDNAが核膜でパックされて守られた状態になっている生命種を言い表すことはすでにご存知かと思う。これとは違ってより原始的なDNAが細胞質内にむきだしで漂っているタイプの生命種は原核生物と呼ばれる。

ミトコンドリアはもともとは好気性光合成細菌のαプロテオバクテリアを祖先にもつとされるが、バクテリアはもちろん原核生物だ。つまりミトコンドリアの祖先は今から12億年前頃に真核生物の体内に共生する形でもぐりこんだウイルスのような存在であった。

なぜウイルスのような存在なのかというと、共生と同時にみずからのDNAをホストである宿主の真核生物の核DNAに「ウイルス水平遺伝」と同じ機序で遺伝子を移送してしまったと推定されている。

これはある意味、ミトコンドリアが激烈な環境変化が起こる地球で生き残るためのサバイバル戦略であり、ミトコンドリアDNAの大半を核膜に守られた核DNAの中に挿入することで m t DNAを守る仕組みを獲得したと分析されている。

こうしてはるか昔の原核生物と真核生物の共生によって、無酸素でも有酸素でも、高温でも寒冷でも適応できるユーカリアドメインが誕生したのだ。

ミトコンドリアDNAの遺伝子は今ではたった13種類のタンパク質しかコードせずに、そのタンパク質はすべてミトコンドリア内で作られて呼吸酵素として利用されているが、ミトコンドリア内での酸化還元酵素の反応に使われるタンパク質は実はかなりの部分はかつて核DNAに移行した遺伝子でコードされており、

むしろ核DNAの指示によって小胞体リボソームで作られるタンパク質が無ければ、ミトコンドリア内での呼吸酵素反応は進行しない。つまりミトコンドリアは単独でATPを生み出したり、骨成分である炭酸カルシウムの合成を行ったり、ホルモン合成をおこなったりできるのではなく、

常に宿主ホストの細胞核DNAとの連繋協調によって細胞生理に必須なエネルギーや物質を生みだしているのだ。

だから、もしも例えば癌や免疫病や慢性的な不調の原因を探る場合には常にミトコンドリアDNAと細胞核DNAの両者の具合を鑑みるという視点は欠かせない。

ちまたの病因分析トレンドはミトコンドリアさえ活性化できればそれで事足れりと思える論調も多々見受けられるが、決してそれほど細胞生理は単純な現象ではなく、常にミトコンドリアと細胞と細胞膜はインタラクティブな関連性をもっていることは忘れてはならない。

ワールブルグ効果とは、ミトコンドリア内の呼吸酵素が欠損してミトコンドリアでのATP産生がストップした際に、細胞質の解糖系でバックアップとしてATP産生が亢進するガン細胞に特有の現象を言うことは常識であるが、

これはすべてのガン細胞に見られる現象ではなく、それゆえにミトコンドリア研究者からはワールブルグ効果と癌の関連性に疑問を呈する者がいることも事実だ。わたしもまたワールブルグ効果から癌を解読するセオリーに従った理論をこれまで展開してきたが、

今後はより慎重に論説を展開する所存である。とはいえワールブルグ効果と癌の関連から細胞生理のインタラクティブな側面が眼前に表出していることも事実なのだから、これまで通りワールブルグ効果にも言及する予定である。

ようは細胞システムとは常に何重ものバックアップシステムを有する非常に柔軟なエピゲノムな世界であるわけで、こっちがダメなら、あっちで行こう、という仕組みには改めて驚嘆する次第です。

ワールブルグ効果がそもそもなぜ起きるのか?と言えば、ガン細胞内のミトコンドリアの呼吸酵素反応がうまくいかない事に起因する、ということは呼吸酵素反応に必須のタンパク質酵素が供給できていないからで、この呼吸酵素反応に必須のタンパク質酵素はミトコンドリア内と小胞体リボソームで合成された二つのルートから供給されている。

このルートのどこかに「つまり」が生じているから必須呼吸酵素が供給されないのか?

「百病は一気の留滞による生じる」

やはり鍵は小胞体ストレスをヒートショックプロテインによる小胞体ストレス応答で一気に流すことにあるのかもしれない。

ミトコンドリアも細胞も「変わらなくあるために、変わりつづける」には、小胞体に変性タンパク質を溜めないこと。

もしも溜まってしまったら、鍼灸指圧によるヒートショックプロテイン旋風を巻き起こし、変性タンパク質をHSPユビキチンを使って小胞体から引っ張り出して分解酵素プロテアソームで分解してアミノ酸に砕いてしまう。

なぜ鍼がこれほど効くのか?の機序はすでにこのように「小胞体ストレス応答」という言葉を使用することで、ここまで明確に表現できるようになりました。

ユーカリアドメインは変性タンパク質を克服しながらここまで進化しました。

そして人類は鍼を手に入れたことで、さらに進化して変性タンパク質を制御できるようになったのです。

鍼灸指圧はヒートショックプロテインを分泌することで、変性タンパク質を取り除き、ミトコンドリアの呼吸酵素反応を正常化することで、ATP産生をスムースにして癌を予防してきたのだ。

鍼灸指圧こそが究極の予防医学です。

ヒトは鍼を打ち、灸を据え、指圧することで気や経絡やヒートショックプロテインや一酸化窒素やβエンドルフィンを獲得し、健康を手に入れることができる。

人類史と共にある鍼灸指圧のポテンシャルをどこまで引き出せるか?

いよいよ「鍼医の夜明け」第二部です。

2014.12.10 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 10

冬の気温が摂氏マイナス70℃以下にまで下がる北シベリアに住むエヴェンキ族はトナカイを飼い慣らし、トナカイを食料にし、皮革製品にし、ソリを引く動力源にすることで生計を立てる現生ホモサピエンスの一族である。

彼らは通常は増えすぎた野生のトナカイを狩ることで、このトナカイを食するのだが、もしも野生のトナカイ肉が手に入らないと自分達が飼っているトナカイを屠り食用に供する。

トナカイは優しく押し倒されて心臓をひと突きにされて殺されると、即座に解体が始まる。コップをもっていき内臓から溢れる温かい血を注ぎこれを飲み干し、脳味噌は刺身で頂き、目も肝臓も美味しいと舌鼓を打つ。肉は茹でて食卓に上るが、その他には刻んだ脂や凍らせた乳もレシピにあがるという。

ホモサピエンスが経験した氷河期の生活の一端が垣間見られるようなエヴェンキ族の生活は実に興味深い。恐らくは欧州はオーリニャック文化を華開かせた初期ホモサピエンスもまたエヴェンキ族と同じく狩りで仕留めた

ケブカサイやマンモスやレイヨウやアカシカやオーロックスやバイソンやイノシシやウサギやライチョウやカモをその場で生で食し、あるいは遠赤外線を発する石のフライパンで焼いて

ステーキやソテーにして頂き、干し肉や生ハムにして貯蔵したかどうかは定かではないが、骨も腱も皮もみな余すことなくすべての素材を「もったいない精神」で使い尽くしたことだろう。

カリフォルニア大学の遺伝学者ダグラス・ウォレスの調査によれば、エヴェンキ族のミトコンドリアDNAは寒冷地に適応した変異をすでに有しており、熱帯地方では効率良く回転して熱をほとんど発生させないミトコンドリアが、北極圏では mt DNAの変異によってエネルギー産生効率を下げて、熱を発生させるようになっていることを突き止めた。

mt DNAの遺伝子は13種類のタンパク質しかコードしておらず、そのタンパク質のすべてはATP産生に特化しているのだが、つまりはエヴェンキ族のミトコンドリアはATP生産量を減らすことで、熱産生に比重を向けた進化をすでに遂げているというのだ。

またトナカイ肉ばかりを食べるような食習慣はエヴェンキ族の甲状腺ホルモンの合成を促進することで、全身の新陳代謝が活発になり、寒冷地における体温低下を未然に防止しているとも分析されている。甲状腺や副甲状腺においてサイロキシンや、パラトルモンやカルシトニンを生み出すのもその細胞内ミトコンドリアであることは言うまでもない。

エヴェンキ族の寒冷地適応なエピゲノムな mt DNA変異において、ここにもやはり私は「 ヒト m t M 進化 」のエビデンスをヴィクトルよりは60%ほど鈍麻した嗅覚受容体で嗅ぎ取った。

ミトコンドリアという直系1ミクロンの細胞内共生体は普通は名称のミト(糸)のイメージよりも、むしろコンドリオン(粒子)で思い描かれることが多く、生物の教科書などの挿絵はほとんどが繭(まゆ)のような俵型のイモムシである。

しかし実際には単独で粒子でいることはほとんどなく、文字通りミトの糸状なネットワークを形成し、細胞核の周囲にまるで細胞核DNAを守る砦(とりで)を築くように毛細血管か神経網のような網目を張り巡らして存在し、

ダイナミックな地底マグマのマントルプルームと同じ細胞質の原形質流動に伴って糸がほつれては分裂し、また糸がくっついては融合する動的平衡な連繋的生理を営むことで、細胞活動に必須のATPを産生し、熱を生みだし、鉄イオンを介した解毒や酸化還元反応を正しく執り行っている。

さて、ここまで足早に人類史700万年の足跡を追いつつ、鍼の起源を探る旅を進めてきた。じつは思っていた以上に旅路での収穫が多く、本来なら10回で終了する予定であったが、まだまだ洒落たSUVのガソリンが充分にありそうだ。

よってさらに10回の旅を続行し、人類史と鍼との「 m t M 」なる関係を探っていきたい。

ウィキペディアによれば今から3000余年前に栄えた中国は伝説の王朝である殷の時代の遺跡から石や骨や竹や陶土で作成された鍼が発見されているという。現存する中医が使用した鍼のエビデンスとしてはこの辺りが最古の物件と言えそうである。

わたしは大胆にも、鍼の起源をホモサピエンス発祥の20万年前にまで巻き戻した。荒唐無稽であったか、革命的な発想であったかはこの旅が終わる頃には大勢が判明しているであろう。

「ヒトは鍼を打つことで気や経絡を獲得していったのだ」

何もしないでただボンヤリとしていただけでは気も経絡も実在の領域には姿を見せない。わざわざ鍼を打ち、灸を据えて、指圧をするからこそ、

ヒトの皮膚や mtDNAはそのエピジェネティクスな刺激に反応して、気や経絡というものをその肌や細胞に顕在化するのだ。

「まるでミトコンドリアの網目状のネットワークをなぞるような経絡が、ヒトの皮膚や全身にまとわりつくには人類史20万年が必要だったのだ」、とこれまた大胆な仮説をここに提示する。

気や経絡は誰にも等しくそこにあるものではなく、鍼灸指圧をしたり、されたりを通して、はじめて認識され出現するものである事をここに強調しておきたい。

鍼灸指圧を通して気や経絡を認識できる身体に変えていくこと。これこそが鍼灸指圧を通した真の「変わらなくあるために、変わりつづける」医療の醍醐味なのです。

魔法のような鍼灸指圧の健康効果も、継続治療により気や経絡を患者が体感し、気の実在を認識獲得した先にあるものなのです。

では、美しいサンゴにウミガメも泳ぐ有数のダイビングスポット紅海の入り口はバブ・エル・マンデブ海峡からリスタートです。見晴らしのいいフロントウィンドウからは朝日を写したペルシャ湾が金色に輝いています。

エンジン全開、アクセルはフルスロットルで!

2014.12.08 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 9

わたしたちは今ではよく知られているように、今から20万年前にアフリカにいたミトコンドリア・イブという母親と、今から5万年前にアフリカにいたY染色体・アダムという父親の子である。よって人類はみなアフリカの父と母に起源をもつ子孫であり、兄弟姉妹なのだ。

今から5万年前にアフリカを旅だった150人のホモサピエンス小集団は食料が豊富なマングローブの森を住み家にできる海岸沿いを移動ルートに選び、定住しては人数を増やしてそこが手狭になるとニッチ(生態的地位)な新しい居住地を求めてまた旅支度を整えて洒落たSUVに乗るわけにもいかず、

また徒歩で旅立つ集団がやおら歩き出しを繰り返しながら、冒険心溢れる者は遠くに見える島を目指して豪華なクルーザーに匹敵するような大きな筏(いかだ)をマングローブの林から選んだ良質な木材で組んでハイエルダールよろしく実験航海の旅に出て、

やがて東南アジアやスンダ大陸やサフル大陸へと到達し、ニューギニアや太平洋諸島やオーストラリアの原住民になっていった。

まず東アフリカをスタートしたノアの一群は紅海を経由してアラビア半島を抜けてペルシャ湾岸のオアシスへと達し、そこからインドへ、そしてスンダやサフルへと拡散し、今度は東南アジアから沿岸沿いに中国東部沿岸を上り、

アリューシャン列島にまで北上して当時はベーリング海峡は海水面が今よりも低かったのでベーリング陸橋だったのでここを徒歩で通過してユーラシア大陸から北米大陸へと渡橋して、

北米上部はまだほとんどが氷床に閉ざされていたが海沿いには湿地帯が広がっていたのでそこへとニッチを見つけて、そこから南下してゴールである南米へと到達した。恐らくはアフリカを出立してから南米まで来るのに何とわずか最速の2万年というところだろうか。

また最初の拡散地であった紅海付近ではチグリス・ユーフラテス川を遡上する第2のルートをニッチに選んだ一群があり、彼らが欧州の先住民となってやがてオーリニャック文化を華開かせて、かのラスコーやショーベやアルタミラの見事な壁画を描くことになる。

そして東南アジアルートからは中央アジアや北シベリアへと向かう一群もあり、またインド経由でも西側の欧州やロシアや北欧と、東側の東アジアへの二手に別れる拡散ルートが生じたようだ。

これら5万年前からの人類の足跡は現生人類であるわたしたちの口腔内の頬の内側の細胞を綿棒のようなもので採取して、その細胞内に棲むミトコンドリアのDNAの微細な変異をたどることで判明した決定的と言える人類の旅行ルートなのだ。

ミトコンドリアDNAは略してmtDNAと呼称される。

今から12億年前の原生代にプロチスト(原核生物)の体内に共生した好気性光合成細菌であったミトコンドリアのmtDNAから判明した人類の真実とは、ちまたで不用意に使用されている人種という概念など本当に単なる妄想でしかなく、わたしたちは今ではたった一種類しか存在しない貴重なヒト族ホミニンの末裔であり、

細胞核DNAの現す表現型が異なろうとも、人類はみな兄弟であるという厳然とした事実であった。

わたしたちのご先祖150人集団がアフリカから地球全土へと拡散していくその時にはすでにホミニンの別の種族が先発隊として世界中に散っていたというショッキングな事実もまた記憶しておくと良いかもしれない。

先輩格であるホモ・エレクトスたちは何と200万年前にはどうも世界中に住み家を拡大していたようだ。またホモ・ハイデルベルゲンシスという種族もそれに次ぐ古さでそこかしこにすでに棲まっていた。このホモ・ハイデルベルゲンシスの進化バージョンがホモ・ネアンデルタレンシスいわゆるネアンデルタール人であり、

わたしたちホモサピエンスの祖先が欧州に進出した際にはまだネアンデルタール人はご存命であり、どうもネアンデルタール人のイケメンとホモサピエンスのシャンがロミオとジュリエットになって目出度くご成婚とか、あるいはネアンデルタール人のジェーンとホモサピエンスのターちゃんが旺盛に繁殖に励んだとか、

そんな事があった事がわたしたちのDNA記憶から読み取れるのだ。ホモサピエンスが世界中に拡散して行く際にはまだ絶滅を真逃れたホモ・エレクトスの末裔とも交雑が行われたのかもしれない。一説によるとインドネシアのフローレンス島にかつて住んでいた小人型人類「ホモ・フロレシエンシス」は生き残っており、

現地民からはエブ・ゴゴと呼ばれて、時折、目撃されているとも言う。あるいは雪男イエティやビッグフッドすら巨人型人類「ギガントピテクス」の末裔かもしれず、うっかり交雑した名残(なごり)として故・ジャイアント馬場のような表現型が唐突に出現するのかもしれない。

今現在、判明している27種のホミニン以外にもまだ化石として発見されていない多くの人類がかつては存在したようだ。いつかそんな見知らぬ人類種の化石と共に精巧な骨製の鍼が出土する日が来るのだろうか?

いやそんな日を待ってはいられない。我がmtDNAの記憶をみずからの力で紐解けば、鍼の起源はわかるはずだ。

46億年前に地球は誕生し、38億年前に生命は誕生した。まだ当時は酸素などなかったが、やがて27億年前ころに酸素を放出するシアノバクテリアが発生し、地球環境は大きく変貌していった。

海中に放出された酸素はすでにそこに溶け出していた鉄イオンと結びつき酸化鉄となって海底に沈殿した。16万4000年前のホモサピエンスが手にした赤鉄鉱石も27億年前に発生したシアノバクテリアが放出した酸素があったからできた「石ころ」だったのだ。

鉄イオンを取りこむからこそヒトは赤血球ヘモグロビンに酸素を吸着することができて、それを血行性に全身のミトコンドリアに配り細胞内呼吸が出来るのだ。そしてこの酸素を利用して細胞内でATPを合成しているのがミトコンドリアであり、またミトコンドリア内部には鉄イオンが充満しており、鉄イオンのキレート作用により解毒処理や酸化還元反応など旺盛に行われている。

アフリカ大陸南端のピナクルポイントでホモサピエンスのご先祖様がふと赤鉄鉱石を舐めたくなったのは、もしかすると内なる生命力の本源であるミトコンドリアのmtDNAから指示だったのかもしれない。

ミトコンドリアは脳や肝臓や筋肉に多く存在する。つまりこれらの器官が発達するためにはここに棲むミトコンドリアが増えるのは必須条件だ。

ヒトの大脳が肥大できたのも、ヒトの肝臓が500の仕事をこなす化学プラントになったのも、ヒトの600の筋肉がこれだけ発達したのも、ヒトの骨構造がヒドロキシアパタイトで構造化されたのも、ヒト細胞60兆個に平均で300匹からのミトコンドリアが棲息しているのも、

すべてはmtDNAからの命令だったのか?私は壮大なるテーマで取り組んだこの「鍼灸創世46億年記」というシリーズの初期にミトコンドリアと共生するユーカリア・ドメイン(真核生物グループ)は、

ミトコンドリアを最大限に生かす進化をたどるとし、その法則を「ミトマックス適応」と命名した。これでは何となく映画「マッドマックス」に近いのでここで少しヒネリを加えてみたい。

ユーカリアがmtDNAの指示で進化することを「mtDNAマックス適応」とし、略して「mtM適応」としたらどうだろうか?いや最後の「適応」という文字も略して単に「mtM」の方がスッキリしていていいかもしれない。

人類史700万年もまた「mtM」の導きで進化した。

ここにまた新たな学説「ヒトmtM進化論」が世界初公開された。

2014.12.07 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 8

現代人は今では消化器からそれに適応する消化液も出ない人工的な化学製剤の薬物でも平気で口にするまで身体感覚が鈍磨しきっているのだが、

アヴェロンの野生児ヴィクトルやカスパー・ハウザー並みの嗅覚や聴覚や視覚や触覚や味覚を保持していたであろうホミニン(ヒト族)700万年史においては、口にしていいものとそうでないものの区別は日常的に正確に弁別されていたはずだ。

ヴィクトルは現代人の我々には無臭と思える小石の臭いを嗅いでも驚喜したというが、同じく初期ホモサピエンスもまた石の香りを嗅いだのかもしれない。

南アフリカ共和国の海岸岩礁ピナクルポイントから発見された今から16万4000年前の人類の遺跡の中からは、今から3万2000年前頃にフランスはショーベ洞窟壁画の絵の具に使用されたオーカー(赤鉄鉱石)の小片が57個も発見された。この小石は摩耗して円形になり、よく見ると掻き傷のようなものも見える。

小石の表面をなにかで削って粉末にしたものを皿のようにした貝の上に落として、少し水気を足して本当に絵の具のようにして使用したのだろうか?そして絵の具はいったいどこに絵を描くために使用されたのか?キャンバスは石か貝か樹皮かヒトの皮膚か、はたまた洞窟の壁か?

オーカーは確かにショーベやラスコーやアルタミラでは壁画の絵の具として使用されたが、いかにせんこのピナクルポイントで使用されていた時代からは13万年も経過した後で、しかもアフリカ南端と西ヨーロッパという地理的な隔たりも相当ある。時間も空間も随分と異なるのに同じような素材が同じように使用されていたとしたら、

まだ記録媒体も文字も発明されていない先史時代にいったいどのようにして情報が伝達されていったのか?の経緯を探ることはまた興味深い事案だが、わたしは鍼灸師であり、生薬にもいささか興味があるので、16万4000年前のオーカーを顔料として使用していたという考古人類学者の意見とは異なる見解を今回は提示したい。

漢方薬は何種類もの生薬を組み合わせて患者の症候群に適応する薬方(やっぽう)を編み出すものだが、その素材となる薬物には今日の常識からすると少し突飛と思えるものも多数存在する。

草根木皮これ生薬、が基本ではあるのだが例えば生薬名が黄土(おうど)と言えば、これは古い竈(かまど)の土を意味し、効能は嘔吐を鎮め、出血を止めて、利尿の効果があるとされる。

世界には土を食べる土食(どしょく)という習慣が見られることが近年になりクローズアップされ、それは土に含まれるミネラルや土壌バクテリアを摂取しようとする生得的な本能から起こった習性であろうとの分析を聞く。

まさに漢方製剤の黄土などは土食トレンドの先端を行っていると見なせようか。さてその他にはイシガメの甲羅の生薬名・亀板(きばん)には補血強壮作用があるとされるし、酸化鉄を含む陶土である生薬名が赤石脂(しゃくせきし)には収斂作用があり、出血を治し、下痢を止める効果があるとされる。

漢方薬には随分と奇妙な食べ物と呼べないものまで多数含まれていることのほんの一端がこれでおわかり頂けたかと思う。

ヴィクトルなみの嗅覚や味覚をもってして万物の気味(きみ)を弁別し、この世に薬にならざるものはなし、の精神であらゆる自然素材を縦横に薬物に応用した中医たちの身体感覚には尊敬を抱かざるを得ない。

生薬名を代赭石(だいしゃせき)と呼ぶこの薬剤の効能は貧血を治し、止血の効能があり、気分がすぐれない時に摂取すると良いとされる。この生薬の実体はというと「天然の赤鉄鉱石」なのだ。

ピナクルポイントで発見された57個の赤鉄鉱石はまるでキャンデーのようになめられたかのように円形に摩耗し、傷が付けられていた。まさか本当に鉄分を補給するために飴玉のように舐めて噛み、貝の口を開ける際に誤って傷つけて出血した指先の傷口を止血するためにツバで練った赤鉄鉱石の粉末が使用されていたとしたら?

そうもしかするとピナクルポイントで発見されたオーカーの小石は漢方薬の代赭石(だいしゃせき)と同じように薬物的な方法で利用されていたのかもしれない。生薬の知識がなければ読み取れない考古物件がまだまだ埋もれている可能性がある。

ヒトがオーカーを手にした始まりは、あくまで鉄分の摂取と止血が目的だった。傷口に塗るために赤鉄鉱石を口に含んで噛み砕いた黄褐色のヨダレが皮膚にしみ込むと、それはまるで入れ墨をしたようにクールに見えた。ヒトの装飾への欲求は根源的なのですぐにオーカーを顔料や染料に応用する習慣が広まっていった。

そんな物語りが果たして本当にあったのか。体内においては鉄元素は酸素を運ぶ赤血球のタンパク質ヘモグロビンの中心元素であり、細胞内で鉄元素を利用して酸化還元反応を展開し、チトクロム系酵素による酵素反応によって細胞内に侵入した異物を処理しているオルガネラは何とミトコンドリアなのだ。酸素を光エネルギーと糖やアミノ酸や脂肪酸を利用してATPに変換するのも無論ミトコンドリアの役目だ。

ミトコンドリア内は鉄元素が充満し、真っ赤だという。脳や肝臓や筋肉にミトコンドリアは多数棲息している。これらの器官の発達には鉄元素の補給が欠かせない。

人体に必須のミネラルである鉄元素が補給できて、マキロンも赤チンも絆創膏も無い時代にもっともホミニンを悩ました切り傷や怪我による出血を治すことができた赤鉄鉱石は、それはそれは人類にとってかけがえのないダイヤモンドに勝る「石ころ」だったのだ。

人類は今から16万4000年前にすでに生薬名・代赭石(だいしゃせき)なる小石を手に入れた。オーリニャック文化の洞窟壁画に見られるクロマニヨン人の手形はエアブラシのように口に含んだ顔料をツバと共に壁に吹き付ける「吹き墨」の手法で描かれたと推定されている。

鉄分サプリの小石は13万年が経過した後に晴れて壁画の絵の具になったのだ。クロマニヨンのミケランジェロのヘモグロビン濃度は正常値に収まり、その体内のミトコンドリアも元気ピンピンであっただろう。

5300年前のアイスマンの入れ墨は鍼治療の出血を止めるための止血の煤(すす)が着色したものとされるが、ヒトの頭髪の黒焼きである生薬名・乱髪霜(らんぱつそう)なども止血の効能があるとされるので大いに利用されたかもしれない。

出血があった際に頭の毛を切って火打ち石で起こした火で焼いて頓服すればいいのだから、これは実に便利だ。

ヴィクトルやカスパーのような身体感覚があったからこそ生薬医療も鍼灸術も発展したのだ。

「ピナクルポイントで使用されたオーカーは顔料ではなく、鉄分補給と止血のための生薬だった」

これまた「ヒト海藻進化論」と同じく、世界初の新説です。

2014.12.06 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 7

純粋に哺乳類の中で直立二足歩行をする動物はいないが、鳥類はそのほとんどがある意味、二足歩行である。といっても歩くのを専門にしているのはダチョウやニワトリやエミューなどであり、その身体のプロポーションは見ての通り頭部は非常に小さく軽量化されており、その替わりにダチョウなどの下肢の筋肉の発達は見る者を圧倒する程に重厚で力強い。

なぜヒトだけが直立二足歩行に踏み出したのかという命題には通説では、これまで住み家としていた森林にエサがなくなったので、やおらサバンナへと歩き出した、というサバンナ説が一般にはよく知られている。

しかしかつてのサバンナにはサーベルタイガーのたぐいの猛獣がうろうろと徘徊しており、うっかりサバンナにおぼつかない二足歩行で迷い込めば即座にこれらの猛獣の消化管の消化産物に成り果てたことは容易に想像できる。よってサバンナ説は一蹴されている。

他の類人猿を見ても完全な二足歩行を達成している種はいないのだが、マングローブという水辺の森を住み家とするテングザルは時折、二足歩行をする事が確認されている。水中を歩く際には両手を上に挙げて歩き、赤ん坊のテングザルは親の胸にしがみつき顔は水面に出た状態で移動する。もしも人間ならば肩車をするだろう。

さてヒトの全体重の上の部分の65%は骨盤を構成する仙骨の第2仙骨孔に負荷されているのだが、この自重を支えるという作業がいかにストレスになるかは少しいつもより長く歩いたり、立ったりするだけで簡単に実感できる。

わたしたち地球に生きる生命種はすべからく地球1Gの重力負荷ストレスに常にさらされているので、加齢により脊椎のあいだが徐々に狭くなり、ついには脊柱管狭窄症になるのは誰も避けられないと言える。

わたしは鍼灸師なので日々扱う症状のほとんどは首凝りや肩凝り、背中の痛み、四十肩、腰痛、坐骨神経痛、股関節痛、膝や足首の痛み、とすべてこれらの不定愁訴は自重に耐えている骨や筋肉や関節の悲鳴と言っても間違いないと確信している。

四つ足で脊椎を物干し竿にして内臓を吊っていたのなら、自重の負荷はバランス良く四肢に分散され、もちろんのこと脊椎の間が縮まる事もないし、それほど腰痛や肩凝りや首凝りに悩まされる事もなかっただろうが、

しかしどういうわけかヒトだけが直立二足歩行という荒技に打って出たのだ。その引き金となった原因や動機とはいったい何だったのだろうか?実はなぜヒトだけが直立二足歩行を始めたのかはいまだに謎なのだ。

イギリスの科学ジャーナリストのエレイン・モーガン女史は独自の解読により、ヒトがなぜ直立二足歩行ができるようになったかの謎を解明してしまった。もっともエレイン女史の説はいまだに一般化もしていないし、アカデミズムからはバッシングに遭っているのだが、

わたしは彼女の説には賛同している。その詳細は彼女の著書にゆずり、ここでは概要のみに触れるが、かいつまんで言うと、ヒトはかつてアフリカにいた幼年期にプレートテクトニクスの動きによって海が陸地に流れ込んで大きな湖が形成された時に、そこに閉じこめられた。そしてやむを得ずにヒトの祖先はその湖畔の環境に適応して半水生生活を送った。

その際にまるでマングローブの森で暮らすテングザルのように二足歩行の訓練をして次第に二足歩行が自然に出来るようになり、また水中生活に適応して体毛の多くを消失して、また水中から食料である魚や海藻や貝類を食べることを覚えた。

この自重による関節負荷から少し解放されて半水生生活を100万年か200万年送ったホモサピエンスの祖先が、後に二足歩行を始めたアウストラロピテクス・アファレンシスたちに進化していった、とする水生類人猿仮説「アクア説」である。

この水中の食料資源に依存した時期に大脳の発育に必須の脂肪酸やアミノ酸やミネラルやビタミンなどが貝類や海藻や魚から摂取されたことで、脳神経ニューロンが飛躍的に増大し、大容量の情報処理をこなす事ができるようになり、結果として400ccほどしかなかった脳容量が1400〜1600ccにまで増大したとエレイン女史は喝破している。

また体毛のほとんどは水生においては特に必要なく、イルカやアシカやクジラの表皮を見てもわかるように、むしろ体毛は泳ぐ際には水流を乱して邪魔になるので自然に消失したと分析している。もしかするとカバやブタやハダカデバネズミもまた東アフリカのオアシスの我々の仲間だったのかもしれない。

やがて氷期が訪れてアフリカは乾燥と冷気に包まれて、この広大なエデンの園は跡形もなくなくなったのだろうか?あるいは大洪水が起こり、水生類人猿の痕跡はすべて海中に没したのか?

もしもすでに直立二足歩行が可能になっていたのなら、住み家とした湖が干上がった際に、徒歩で水辺を求めて海岸や川岸へとアドベンチャーの旅に出ることは可能だ。少なくとも森林から降りたばかりの拳歩行(ナックルウォーキング)しかできないサルよりは、はるかにバランスのいい歩き方ができたはずだ。しかしサーベルタイガーに狙われる危険は常につきまとっただろう。

なんとか東アフリカの海岸沿いにかつての故郷と同じようなマングローブの森に囲まれたオアシスの海浜を探し当てた半水生類人猿は、そこに定住して海の幸をたっぷりと堪能する楽園生活を長く送るうちに、大脳が肥大して歩きも素晴らしくうまくなり見た目も機能もヒトらしく進化していった。

東アフリカの海岸沿いのダナキル地塁に閉ざされた水辺の楽園から、直近の同じ東アフリカの沿岸沿いの新しいエデンの園に引っ越したホモサピエンスの祖先は、今から7万年前のインドネシアはスマトラ島のトバ大噴火のあおりで成層圏にまで巻き上げられた火山灰による地球寒冷化の急速な進行により、

南アジア全土とインド、アラビア半島、アフリカが大規模な生態系の激変に見舞われた影響を直接こうむり、エデンの園は危機的な食料の不足に見舞われて人口が激減していったのか?

アヴェロンの野生児やカスパーなみの嗅覚をもっていた初期ホモサピエンスはここで一気に賭けに出たのだ。そう住み慣れたエデンの故郷を捨てて、海藻や貝の香りを頼りに新天地を求める旅に出る決意を固める。

それはなんとたった150人の小さなノアの一群だったという。今から5万年前にわたしたちホモサピエンス直系のご先祖様たちがアフリカ大陸を後にして、ついに海岸沿いに紅海を目指して歩き出した。

この150人の中に鍼医はいただろうか?わたしはいたと思っている。いや150人の全員がすでに鍼を自在に操れたかもしれない。貝の口を開き、魚の血抜きをし、皮膚を染色しボディーアートに興じる。

日常的に彼らホモサピエンスのご先祖様たちは鍼をスマホの如くに使いこなしていただろう。すでに痛みのある部位に鍼を刺して染色すれば、痛みが緩和されるということすら認識していたかもしれない。

我が身を養生できる最強集団がわたしたちホモサピエンスのご先祖150人集団だったと仮説を立てるのも面白い。

マングローブの森に誘(いざな)われ、鍼を手にした一群はそれからわずか5万年で地球のほとんどすべての大陸を踏破する。柔軟にして最強の環境適応能力を見せた人類。

その壮絶にして素晴らしき人類のグレートジャーニーを影で支えた立役者とは、ヒートショックプロテインという生体防御タンパク質と、血流をうながす一酸化窒素と、NK細胞と脳細胞とミトコンドリアを賦活するβエンドルフィンの3大リガンドを自在に操れる鍼治療だった?

5万年いや20万年の鍼の歴史はダテじゃない。

2014.12.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 6

ヒトがチンパンジーとの共通祖先から500万年前に分岐して、何故(なにゆえ)にヒトだけがチンパンジーやゴリラやボノボなどの他の類人猿種にはできなかった文化を生みだし、文明まで築き上げることができたのか?

通説で常識的に語られるヒトがヒトに進化した原動力として挙げられるのがその体型の変化であり、形態的な変化としては直立二足歩行を可能にした足の親指がまっすぐに伸びたこと、股関節が内転して傾斜したこと、踵骨を含む足裏がラバーソールのようにクッションになるアーチ構造に変化したことや、

胸郭がトウモロコシ型から樽型になったこと、骨盤が皿型からお椀型になったこと、手の親指がその他の四本の指と向き合う拇指対向性を備えて器用に手が使えるようになったこと、などが挙げられる。

また容量も機能もチンパンジーとは格段にレベルアップしたのがヒトの大脳であることは論を待たない。だがしかしニワトリやダチョウやエミューの頭部と全身のプロポーションバランスを一目見ればわかるように、

実は脳容量が嵩(かさ)を増すことは決して直立二足歩行に適応した進化とは言えないのだ。上屋が重ければ地球1Gの負荷はいやという程に下半身や脊椎に集中してくる。首凝り、肩凝り、腰痛、脊柱管狭窄症の増大はすべて直立二足歩行による弊害と言える。

つまりなぜヒトの脳だけがプロポーションバランス的には余りに不格好にこれほどまで大きくなったのか?という問題はやはり常につきまとうヒトの進化における迷宮と言えよう。

南米は最南端に位置し太平洋を望むチリの小さな町プエルトモントにあるモンテ・ヴェルデ遺跡からは今から1万3000年前のホモサピエンスの生活の痕跡が多数発見されており、これらの発見により近年になり考古人類学の既存のパラダイムも修正されてこれまでの通説よりも

かなり早く2万年前にはアフリカを出立したホモサピエンスはゴールに当たる南米大陸の南端に到達していた事が判明している。

モンテ・ヴェルデ遺跡からはヒトが食べたであろう最古のジャガイモの残骸も見つかっており実に興味深いし、やはりその土地の環境で採れるあらゆるモノを人間は食べてその土地に適合していった様がつぶさに見て取れる。

この南米最南端のホモサピエンスの遺跡から発見されたもので私が最も興味を惹かれたのが海藻を食べていたことだ。その食べ方は他の薬草と共に口に含んで噛んだ後に吐き出すようなまるでイソジンのようなやり方であったようだが、いわゆる海藻に含まれる豊富なヨウ素やカルシウムなどのミネラルや、ネバネバ多糖体の摂取が目的だったと私は推定した。

天然のヨウ素はヒトの甲状腺で作られるサイロキシンというホルモンの構成材料であるので、ヨウ素をよく摂取するとサイロキシンが活発に合成される。サイロキシンは新陳代謝のかなめとなるホルモンであり、体内の生合成はまさにサイロキシンによって調整されていると言っても過言では無いほどに重要なホルモンだ。

そしてカルシトニンというホルモンも副甲状腺で合成されるが、これは体内のカルシウム調節を行うホルモンである。海藻に含まれる豊富なヨウ素とカルシウムはヒト族の甲状腺をよく滋養して、新陳代謝を促進しヒトをよりヒトらしく進化させる原動力となっただろう。

実はホルモンというリガンドは細胞内小器官のミトコンドリアで合成され、体内を血行性に巡りまたミトコンドリアによって利用されている。つまりサイロキシンもカルシトニンも甲状腺や副甲状腺のミトコンドリアで作られて、全身に内分泌されたあとに脳や肝臓や筋肉などのミトコンドリアが多数棲息している部位へと配給されて利用されているのだ。

ヒトの脳容積が爆発的に増大した本当の原因とはもしかすると初期ホモサピエンスが「海藻を口にした」という他の類人猿には見られない食習慣にあったのでは?

南アフリカのピナクルポイントのホモサピエンスの遺跡からはすでに今から16万4000年前の初期ホモサピエンスが海洋資源に適応した食事を摂っていたことがわかっている。また12万5000年前にはアフリカ大陸の東の海岸沿いにホモサピエンスが住んでいた痕跡となる貝塚や石器が見つかっている。

もしかすると初期の人類は狩猟採集型ホモサピエンスではなく「海洋漁労型ホモサピエンス」だったのかもしれない。

海のミネラルを取りこんだことで、ヒトはヒトらしく進化したのか?

貝に小さな穴を開けたビーズは世界中のそこかしこのホモサピエンスの遺跡から出土している。

ビーズを作る錐(きり)のような道具が、鍼治療の鍼として使い回されていたとしても何の不思議もない。

「ヒトは海藻によって進化した」

本邦初、いや世界初の新説です。

2014.12.04 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 5

南アフリカはケープタウンの美しい海岸線の先にあるピナクルポイントには、初期ホモサピエンスが住んだ遺跡が20あり、そのうち18箇所は洞窟である。

洞窟の入口から見えるかなたの海は見知らぬ世界へと誘(いざな)うに充分な景観で魅了するが、この洞窟内から発見された人骨を調べると今から16万4000年前の非常に古いホモサピエンスのものであることが判明し、遺跡の数々の人工物からは当時のホモサピエンスの生活やライフスタイルが垣間見られ実に興味深い。

洞窟には炉跡らしきものが発見されていることからすでに火が使われていたことがわかっている。また食べられる貝類のほとんどすべての貝殻が見つかっていることから、人類がはじめて陸上の植物や昆虫の食性から海洋資源を食料にする適応を見せていた証拠であろうと推定されている。

貝類や魚や海生哺乳類のアザラシ肉などに含まれる豊富な脂肪酸は脳の発達にとても有効な栄養素であり、またイカやタコやエビや貝類のアミノ酸・タウリンもヒトの脳の情報伝達には必須である。もしかすると海洋資源に適応することで、ホモサピエンスの大脳はいっそう大型化して、より知的に創造的に進化したのかもしれない。

そして実は魚や貝の味をしめたことで、海岸や川岸の水辺を拡散ルートに選びホモサピエンスは今から5万年前にいよいよアフリカとアラビア半島の接点、紅海の河口バブ・エル・マンデブ海峡を泳いでか、舟で渡りついに世界へと旅だったのか?

他にはピナクルポイントの洞窟から発見されたものの中には表面が摩耗したり、傷か付いたオーカー(赤鉄鉱)の小石が57個発見されている。この時代からはかなり後になるが西ヨーロッパのラスコーやショーベ、アルタミラなどの洞窟壁画もレッドオーカーなどを多用して描かれたものである。

ボティペインティングの顔料や壁画のクレヨンか絵の具に向いたオーカーを使って最初期のホモサピエンスのご先祖様はいったい何を着色したのだろうか?錐(きり)のようなものはすでに使用していたようだ。もしかすると入れ墨のような風習がすでにあったのだろうか。

私は本シリーズの始まりにあたって、まず鍼治療が最初にあって、鍼の出血を止めるために煤(すす)を塗り込んだ習慣がやがて入れ墨のファッションへと移行したのでは?という民俗学者の意見を踏襲したのだが、

この最初期ホモサピエンス遺跡の顔料の発見から、実はボディアートとしての入れ墨ファッションが先に起こり、入れ墨を通して鍼のようなものを身体に刺すことに慣れていたから、自然に鍼治療という発想が生まれたとの逆パラダイムの発想がふと思い浮かんだのだ。

もしも本当に入れ墨のためにこのレッドオーカーが使用されていたのなら、幾ばくかの鉄分が血液中に溶け込むことで鉄分の補給になり、彼ら最初期のホモサピエンスの赤血球中のヘモグロビンのヘム鉄を供給し貧血の予防にもなったかもしれない。

入れ墨のために錐(きり)か針のようなもので皮膚に穴を開ければ痛みの拮抗ホルモンとしてβエンドルフィンが分泌されてくる。その他には血管壁を拡げて血流を促進する一酸化窒素や、生体防御タンパク質のヒートショックプロテインが分泌され、

マクロファージの細胞膜レセプターTLRがヒートショックプロテインHSP60や70を受容することでマクロファージからはインターフェロンなどが誘発されて免疫細胞のすべてが賦活される。

βエンドルフィンは脳内オピオイドであるゆえに、よく脳細胞を刺激し、またガン免疫の要の免疫細胞であるNK細胞もβエンドルフィンによって活性化する。

続いて皮膚を染めるために赤鉄鉱石の顔料がその鍼穴(はりあな)へと注入されると鉄分を含むミネラルが経皮吸収されて、全身に血行性に必須ミネラルが供給されることで細胞内ミネラル変換器であるミトコンドリアが滋養されて、ATP産生を始めとするミトコンドリアの機能が活性化する。

60兆個の細胞と1京8000兆個のミトコンドリアを養うリガンド(信号分子)の分泌を増大し、必須ミネラルをも補給できる養生法としては優れて一石二鳥の鍼治療的な入れ墨ファッションにより、最初期ホモサピエンスの大脳や全機能はより発達し強化されたのか。

ホモサピエンスは入れ墨を通した鍼治療を手に入れたことで、無敵な免疫力を手にして、やがてアフリカを旅発ったのだろうか?

鍼の起源は約3万年前の欧州オーリニャック文化からさらに遡(さかのぼ)り、ついにホモサピエンスの最初期16万4000年前にタイムスリップした。

2014.12.03 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

The dawn of Harii 4

初期ホモサピエンスが棲息していたとされる洞窟は今のところ西ヨーロッパで150箇所以上が発見されているが、その中のフランスのラスコーやショーベ、スペインのアルタミラなどの洞窟に見られる今から3万年ほど前からの我々の祖先クロマニヨン人が描いた壁画の素晴らしさは、現代を生きる彼らの子孫である末期ホモサピエンスの心を揺り動かさずにはおかない。

しかし彼らクロマニヨンのミケランジェロやダヴィンチや葛飾北斎や伊藤若冲がその絵の動物にどんな思いを込めたのか?またいったいこの壁画は当時の仲間のクロマニヨン人にどんな風に観賞されていたのか?を知ることはなかなか困難である。

ショーベ洞窟壁画においてはホラアナライオンの群れが描かれているのだが、ライオンの顔はほとんどが横顔で少しづつずらして描かれているので、これはパラパラ漫画のようなアニメーションの原点ではないか、と分析されている。

本当にこの分析の如くアニメのように観賞していたのかは定かではないが、洞窟の暗闇の中でライオンの鼻面に松の枝に火を灯して掲げたライトを移動しながら見れば、もしかすると本当に DVD「野生の王国」のようにライオンが動いている様がありありと見えたかもしれない。

こういった分析もそもそもは私たち現代人の世界観での解釈ということになるので、嗅覚受容体遺伝子が100%機能していたであろう初期ホモサピエンスの芸術家が果たしてどんな思いでこれらの動物を描き、どんな観賞がされていたのかは、やはり鈍磨しきった感覚しか持たない私たちでは真にわかることなどできないのだろう。

確かにあの有名なアルタミラのバイソンなど今にも動き出しそうで、その皮膚上には経絡や血脈すら浮いているように見えて、息を呑むほどに美しい。

しかし例えば純粋にアーティストの情念が発露したこれらの絵図が、実は非常に実用的に活用されていたという可能性は無いのか。

つまりシューティングゲームやダーツのように、壁に描かれたモチーフとなった動物をイメージトレーニングで仕留めるという、いわゆる狩猟のためのシミュレーションとしての動物壁画という解読である。

あるいは狩りの際に誤ってサイの角に刺されて亡くなった仲間への報復を、壁に描かれたサイを見ることで誓い、次の狩りへのモチベーションを高めたディスプレイか。

はたまた次世代の子ども達、ハンター候補者たちに動物の名前や種類や生態を教える壁画学校のような役目すら果たしていたかもしれない。

いや苦労の末に射止めた獲物を魚拓のようにして後世のわたしたち子孫に見せたかったのか。

アカデミズムの上品な解釈ではうっかりその絵の素晴らしさに高尚な分析をしてしまうのだが、わたしのような野人の分析にかかると、このようにかなり実用的な使われ方をされていたのではないか、なる解読すら可能だ。

横アングルで首から上ばかりを描いたホラアナライオンの群れの絵は、実は槍(やり)を打ち込んで一発で仕留めるには「この首のここの部位を狙え」という非常に実践的なアドバイスのために描かれたとしたら、養生法の探求的には実に面白い。

いまだ貨幣など発明されずに、生きるためには食べ物を獲得することであり、その食べ物を獲得することのみに一生のほとんどを費やしたであろう700万年前から1万年前までの700万年の人類史において、人生に芸術を楽しむ余裕などほとんどなかったのか?

いや、オーリニャック文化ではすでにマンモスの牙を加工してフルートのような笛が作成されていた。中空にしたものを半分ずつに分けて、ご丁寧に松ヤニで接着するという手の込んだフルートは、現代の名手が奏でればかなり美しい音色が聞けるだろうと予想されている。

ネアンデルタール人とホモサピエンスを別(わ)けた一線とは、実は音楽や絵画などの芸術を保有したかどうかの違いだったのではとの解読も聞く。二足歩行が可能なヒトのみが足を使って音を出し、ステップを踏むことができる。口笛も吹いただろう。ネアンデルタール人とホモサピエンスの両者ともにすでに言語は獲得していた。

ネアンデルタール人の声帯はホモサピエンスとは異なるため、お互いが同じような言葉を発してはいなかったようだが、ネアンデルタール人はよりボディランゲージの割合が高かったとも言われる。ネアンデルタール人が言葉を交わす様はまるでバレリーナや歌舞伎役者のパフォーマンスのように見えたのだろうか。

ラスコーの洞窟からは打楽器のバチ、横笛、うなり板という先史時代の楽器が見つかっている。ライオンやバイソンやサイのイメージと共に奏でられたベースや笛やドラムの勇壮なうねりは、クロマニヨン人たちの丹田を低周波音でマッサージし、

全身の気血を活性化し、ステップを踏ませ、有酸素運動のダンスによりミトコンドリアの熱産生を促進し、氷河期の身体をよく温めて免疫力を賦活し、彼らクロマニヨンの一族の身心を統合し、ひとつにまとめたのだ。

中国は太極拳のルーツは凄腕の鍼医であったイラン人と目される華陀(かだ)が開発した5種の動物を真似たエクササイズである五禽戯(ごきんぎ)であるが、

オーリニャック文化人たちは華陀よりも3万年ほど早く、サイや馬が疾駆するステップを真似て、太極拳ならぬクロマニヨンダンスに汗を流していたとすると、養生の歴史もまた3万年の長き歴史を有すると思えてくる。

ヒトのこころとからだを癒す音楽やダンスこそが医療の原点かもしれない。

3万年前にすでに音楽や絵画芸術が開花していたのなら、恐らくは原始的な医療も芽吹いていたであろう。北シベリアに住むエヴェンキ族によれば、トナカイの腱を引き抜いて干したものは強靱な糸になり、ブーツを縫うのにもってこいなのだ。

末期ホモサピエンスの脳量よりも10%増しであった優秀な脳科学なホモサピエンスのご先祖様が工夫して加工すれば、このトナカイから生みだした糸のように細い「セイリン」製の鍼かと見まごうような立派な鍼が開発され、使用されていたかもしれない。

分解されてしまう有機物は化石に残らない。どんな鍼がクロマニヨン人たちには使用されていたのか?

ロマン溢れる原始鍼灸への考察は、わが60兆個のDNA螺旋の記憶をたどる時空を越えた細胞内インナートリップである。

2014.12.01 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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