フロンティア スピリット 4

「行く水はかくの如く昼夜を分かたず」

イタリアの奇才レオナルド・ダヴィンチは終生、自然界の水の循環に魅せられたひとりであったという。アルノ川のふもとに立ち、ベッキオ橋の柱に当たる流水が描く螺旋模様を飽くことなく見つめ、そのスパイラルな流線が女性の髪の毛にも見いだせることを発見し、

オーミオ、バッビーノ!

とダヴィンチが叫んだかどうかは定かではないが、

ヒトの髪の毛もタンパク分子で出来ており、ダヴィンチが今の時代に生まれ変わり、ヒトの身体構造を構成するコラーゲン繊維が三重らせんを形成し、地球生命種の自己保存データであるDNAが二重らせんで構造化されていることを知れば欣喜雀躍することは間違いない。

恵那峡の石の博物館に見た恐竜の糞便もまたラセン模様にとぐろを巻いていた。

この宇宙の森羅万象には「らせん」なるキネティクス(動力学)がすべからくインストールされるようである。

ヒトの受精卵が卵割を開始して卵細胞が細胞数を増やしていくと、やがて3胚葉の区別が生じて、受精から16日を経て中胚葉が形成され、20日〜21日になると外側の皮膚になる外胚葉の一部が厚くなり内側にくぼみ、溝を形成し神経溝となり、これがやがて脊髄神経となり膨らんだ先端が脳となる。皮膚と神経と脳は同じく外胚葉由来の器官であり、脳は皮膚がもとであることがここに確認できるのだ。

脳科学が派手に喧伝されて久しいが、脳を活性化したくば皮膚を刺激すれば良いというのは、一般化することはなくとも私にとっては常識である。鍼灸院における日常診療こそが脳活であり脳トレなのであり、皮膚を治療点とする鍼灸指圧術こそが脳神経細胞内の変性タンパク質の蓄積を予防するヒートショックプロテイン分泌療法であることは強調してもし過ぎることはない。

さて、地球が誕生してすでに46億年が経過し、はや地球寿命も半分が過ぎようとしている。地球人生は半ば地点を通過しつつある。アラフィフな地球は地球創成時の残熱と地底内部の核反応による余熱でようやく体熱を維持しているが、これからも地球の体温が上がる要素はなく、徐々に地球は冷え続ける。

二酸化炭素の排出量が増すことでいわゆるウォームルーム・エフェクト、温室効果が生じて地球大気が太陽からの熱を閉じこめてくれるお陰でやっと平均15℃の地表温度が保たれているのである。

恐竜が跋扈した中生代は今の二酸化炭素濃度の10倍の温室効果が維持され、温暖な地上は恐竜たちにとって楽園であっただろう。二酸化炭素が多ければ光合成による炭酸同化作用が盛んに行える恩恵で植物も繁茂できる。今の地球の二酸化炭素濃度0.04%では植物にとっては二酸化炭素が不足しているのだ。

いったい地球温暖化を悪く言う理由などどこにあろうか?温暖化ばん万歳である!もしも地球が現時点で温暖化できなくば、1万年続いた「短い春」である間氷期がすぐに過ぎ去り、「長い冬」である10万年続く氷期が速攻で迫り来るだろう。寒いのはホントにイヤだね。

今から27億年前に島と呼べるシロモノがポツポツと地球の海上に出現し、19億年前の超大陸ヌーナの出現を機に大陸はプレートテクトニクスに従い飴細工のように伸縮変遷しながら3億年前にはゴンドワナ大陸が生まれ、2億3000年前には超大陸パンゲアが出来て、ティラノサウルスは9000万年前のローラシア超大陸を二足歩行で駆け抜けながら時速40キロで走れた体長9メートルになるトリケラトプスを追いかけ、

300万年前のつい最近にいたり南北アメリカ大陸がつながると、南米側に棲息し食物連鎖の頂点にいた巨大な鳥パレオラマも北米から侵入したジャガーなどに襲われて姿を消し、

ユーラシア大陸とアフリカ大陸がつながったユーラフラシア超大陸の出現をもって、人類の祖先がボツボツと旅に出る準備をして、180万年前あたりから少しづつアフリカからユーラシアへと歩き出す勇み足でせっかちで好奇心旺盛な原人が現れて、やがて本格的に人類の祖先はアフリカから五大陸へのグレートジャーニーに臨み、

ミトコンドリアDNAの解析からアフリカを出立した人類の祖先はアジア大陸を東に東に進み、まずはアメリカ先住民とアイヌが分岐し、アメリカ先住民グループは3万年前にはベーリング海峡を渡りアメリカ大陸を横断し、1万年前には南アメリカに到達した模様だ。

アイヌは日本の北の大地に住居を構え、中国大陸でアイヌと別れた者が中国人となり、そこから南の琉球に移動した者が琉球人になり、朝鮮半島を経由して韓国人が生まれ、そこから日本へと入ってきた者たちが本土日本人になったというモロモロが盛んに起こったのが今から数十万年前からの出来事であり、

3000年前以前の縄文時代に育まれた日本人の自然と共生する大和心(やまとごころ)が開花した日本の江戸期には奇跡的な持続型環境共生文明が華開いたが、明治維新にいたり欧米列強の侵蝕をもって我が日本の風土はメチャクチャに汚染されるにいたり、

今や大規模な核分裂による放射性同位元素の拡散という未曾有の人災を招来し、エンヴァイロメンタル・レイシズムはウラン採掘抗近隣住民への差別的処遇を超えて、全地球生命種への内部被曝をもって、悪魔的な近代文明の腐った歯牙の先端が生命保持データを有するDNAを噛み砕いている最中である。

竜脚類と呼ばれた長い首と尾を持ちダックスフントのようなナリをしたブロントサウルスという呼称が人口に膾炙している恐竜の巨大なフン化石を触る機会に恵まれた今回の気晴らし旅行は、フン化石を触った感触から否応なく私のDNAデータ内の中生代、古生代の記憶が呼び覚まされ、新生代第四紀、完新生末期における原発事故への内省を反芻させずにおかない。

地球という惑星における生命たちのすべてにとって、原発という発電形態は不要なのであり、いや、不要などという甘い言葉ではなく、絶対に跡形もなく無くさなければならないグロテスクで醜悪な地表に出現した悪性腫瘍が原発なのだ。

ヒト体内に生じるガン細胞は必然があって生ずる高度に進化した細胞であるが、地表に埋め込まれた原子力プラントはまるで遺伝子操作された細胞の如く、あってはならない攪乱分子に過ぎない。

一刻も早く宇宙の自然な妙なる「らせんキネティクス」なプロセスを変性させる原発プラントを除去し、高レベル放射性廃棄物を無毒化するテクノロジーを発明し、地表と海洋の放射能汚染を0ベクレルに戻し、人々の健康を回復する養生法を提言しなければいけない。

ダヴィンチが現今の惨状を見て何と思うだろうか?

ホモ・スツルツス(愚かなヒト)という呼称を返上し、ホモ・サピエンス(知恵のあるヒト)になるため、

外胚葉の思惟は留まることなくラセンを描きます。

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2014.03.31 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

フロンティア スピリット 3

ヒト細胞内の原形質は水分が85%で、ついで多いのがタンパク質10%、残りは脂質2%、無機物質1.5%、核酸1%、糖質・有機酸0.4%となっている。

このように細胞内の構成成分のほとんどは水で満たされているので、原形質はサラサラとしているかと思いきや、識者が申すには肉や魚を煮込んだドロドロのスープのような形状であり、液状なゾルと、凝結したゲルの二相を行き来し、原形質は動的恒常性(ホメオダイナミクス)を保持しているという。

原形質のゾルとゲルの可逆的な往来がストップし、一方向に留まると細胞は死の転帰を迎える。

「一気の留滞」とは、まさに原形質流動の「よどみ」なのであり、原形質が「流水は腐らず」であり続ければヒトはずっと健康でいられるのである。

原形質を固形化させる要因とは、細胞質に変性タンパク質が蓄積することであり、細胞質内が変性タンパク質で充満してくると解糖系の産物である乳酸と結合した乳酸タンパク質が大量に形成されてくる。

この乳酸タンパク質こそがいわゆる「凝り」であり、癌患者やパーキンソン症候群においては特有の強い凝りが出現することは、日常診療において私もよく触知している。

病気の原因はそれぞれ様々に分析されており、もっともな原因も多かろうが、こと私が触れてわかる病因のボスキャラに名指しできるものは、やはり「凝り」であって、この「凝り」という変性タンパク質の蓄積こそが万病の原因であろうと推定している。

日本医道の流れの中では実証派、科学派の先駆けとも言える名古屋玄医に始まる古方派の雄である後藤艮山は「百病は一気の留滞により生じる」とする「一気留滞論」を展開し、その治療には、温泉を推奨し湯治を勧め、灸治療を多用し、唐辛子の摂取をも励行させたが、これらどの療法も、一気の留滞、つまり変性タンパク質の分解を促す療法であったと言えよう。

通常生理において、細胞内に生じた変性タンパク質はヒートショックプロテインというシャペロン分子により分解されアミノ酸に低分子化され、また新たなタンパク分子に再編集されている。

であるのだから、つまりはヒートショックプロテイン力を落とさなければ、細胞内に変性タンパク質が溜(た)まることはなく、「原形質ゾルゲル流動」も止まることなく進行する。

「変わらなくあるために、変わり続ける」

60兆個の細胞内で毎秒100京個のタンパク分子が変わり続けるからこそ、ヒトは変わりなく昨日も今日も明日も生命現象を営める。

ヒートショックプロテインこそ身体宇宙の指揮者である。

2014.03.30 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

フロンティア スピリット 2

ギリシャの哲人ヘラクレイトスは「パンタレイ(万物は流転す)」と言い、中国古典「呂氏春秋」中には有名な「流水は腐らず、戸枢はむしばまれず」の言葉を見いだす。

古来よりヒトは宇宙の陰陽転換なダイナミックな動きそのものの中に、健やかな営為の香りを嗅ぎ取ってきた。

ヒト細胞は60兆個あり、そのうち毎秒1000万個の細胞が新旧交代し、古い細胞がミトコンドリアのアポトーシス誘導やヒートショックプロテインの補助でマクロファージやNK細胞により貪食されて新たな細胞にリモデリングし、ひと晩ぐっすり眠ると、ひと晩では1兆個、肉塊にして1キロもの細胞がリモデリングされている。

身体が健康であるとは、つまりはリモデリングがうまくいっていることを言うのであり、リモデリングに関わる免疫細胞や細胞内小器官やDNAセントラルドグマがうまく回転し、細胞質浄化機構のオートファジー、HSPユビキチン・プロテアソーム式タンパク質浄化機構、はたまた細胞内胃袋のリソソームの消化能力などの分解浄化機構もスムースに回転し、体タンパク質のシャペロン分子ヒートショックプロテインHSPが滞ることなく働いていることで、ヒトは健やかな生を維持しているのである。

ヒト細胞1個の中には80億個ものタンパク分子がドロドロとひしめいており、毎秒数万個もの新たなタンパク質がセントラルドグマによって生み出され、出来上がったタンパク分子は早いものではわずか15秒以内に解体されアミノ酸に単量化され、また新たなタンパク分子に再構成されている。

ヒトの身体全体では毎秒100京個ものタンパク分子が生み出され、同じ数のタンパク分子が分解されている計算になる。

まさにヒトの生理現象とは冒頭ヘラクレイトスの言葉通り、一時も休むことなく流転している。

もしもこの高速な流れが止まったらどうなるのか?

それこそが不調の原因なのであり、それを称して江戸中期の漢方医であり古方派の泰斗・後藤艮山は「百病は一気の留滞(るたい)により生ずる」と申したのだ。

「一気の留滞(いっきのるたい)」とは細胞内の10%の成分、80億個のタンパク分子の幾つかが変性タンパク質になることを指す。

細胞内に生じた変性タンパク質というゴミ・タンパク分子は細胞内の解糖系の産物である乳酸と容易に結合して乳酸タンパク質という分子を形成する。

この乳酸タンパク質こそが鍼灸指圧師が日常診療において立ち向かう「一気の留滞」つまり「凝り」なのである。

身体宇宙を凝りという害虫から守るために日夜活動するのが、わたくしこと、ハリキュウ戦隊ミトレンジャーの役割なのだ。

「健康であるとは細胞内に変性タンパク質がないということ」

すこやかな原形質流動こそが命の妙なるせせらぎである。

2014.03.29 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

「3.11福島原発事故後の『養生法』とはなにか」

山﨑農業研究所


「3.11福島原発事故後の『養生法』とはなにか」 ←ここをクリック!


こちら↑山﨑農業研究所のホームページから、自分が投稿したタイトル「3.11福島原発事故後の『養生法』とはなにか」の10ページの文章がすべて読めます。

132号の特集「養生の時代」では、髙味充日児さんの「腐植前駆物質で土と体を守る」、吉田俊道さんの「元気な身体は、生ごみリサイクル元気野菜作りから」も必読ですので、あわせてお読み頂きたく思います。

また「里山再生と食の安全 放射能汚染と戦う原木しいたけ栽培」については、今回の3.11放射能被害が日本の農村に与えた真の苦悩を知るうえで、すべての日本人が読むべき特集となっております。

こちらも襟を正してお読み頂きたく思っております。

以上、どうぞよろしくお願い申しあげます。

2014.03.28 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 「耕」寄稿文

フロンティア スピリット

湖面に近づくごとに鼻腔内の嗅細胞レセプターが特定の分子を多数受容すると、脳内へと嗅神経を介して化学分子が電気信号に変換され伝播し、大脳が何万種類もの臭い分子の棚から弁別し「あっ、潮の香り!」と判定をくだす。

浜名湖の景色はいつ見てもデボン紀の郷愁をそそる。1億年にわたるカレドニアン造山運動の結果、当時4億1920万年前から始まったデボン紀の地球上には、淡水と海水が混じったこの浜名湖のような汽水で形成された干潟や湖やラグーンがそこかしこに存在し、すでに四肢を備えた地球最初の四つ足動物であり、地上への上陸をついに成し遂げたイクチオステガが湖畔でモジモジと蠢いていた。

チャプチャプと静かに寄せては返す波頭の合間に、両生類のご先祖様が顔を出しそうな午後の一時。一泊旅行の帰路、旅程を8分ほど終え、浜名湖サービスエリアに隣接した公園から見た湖の美しさ、潮の香りは私の古生代のDNA記憶を呼び覚ましていった。

日の光を反射する水面はキラキラと金色に輝く。江戸期のアヴァンギャルドな絵師、曾我簫白(そがしょうはく)は「富士・三保の松原図」において雨上がりの虹を画中の主題に持ち込み、湿気を含んだ大気が太陽の光に照らされて輝く様を金泥を使い表現した。

まさに自然界には金色が満ちている。

エルドラド、ジパング!

人工的な汚物など一切ないデボン紀の自然界はどれほどゴールドでゴージャスで綺麗だっただろうか。

岐阜は恵那峡にある石のテーマパークのおみやげ屋で手に入れたデボン紀のアンモナイト化石。

この手の平におさまるわずか直径1センチのアンモナイトは、地球最初の脊椎動物の上陸劇の目撃者だったかもしれない。

この脊椎動物の上陸から4億年以上が経過したのちに、ようやく人類の祖先が四つ足から二本足で立ち上がり歩き出す。

なぜヒトは四つ足を捨てて、立ち上がったのだろうか?

二足で立ち上がったばっかりに、仙骨第2仙骨孔に上体65%の重量が負荷されて、脊柱管が狭窄するハメに陥り、人類は腰痛を宿痾とする事になったのだ。

メリットはそれほどでもなく、むしろデメリットははるかに大きかったのに、なにゆえにヒトは二本足で歩き出したのだろう。

ヒトの歩行形式は、手に道具を持つという必然から生じたのかもしれない。

手を自由に扱える器用さが、大脳をより発達させて、手が地から離れたからこそ、自然に後ろ肢だけで歩けるようになったかどうかは定かではない。

どこかへ行きたい、という衝動に駆られてヒトは歩き出した?

二足歩行になったヒトは、どういうわけかまた四つ足ならぬ四輪車に乗り、旅に出る。

旅の渦中で様々な文物に巡り会い、前頭葉が刺激される。

ヒトが健康であるとは「細胞内の原形質が正常に流動していること」

パンタレイ、万物流転。

「フロンティア スピリット」と題し、流れる思惟を記録していきます。

2014.03.27 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

迎え人 2

「あの少し御無沙汰していて、先月も先々月も治療に伺わなかったのですが、実は妊娠しまして、先日、母子手帳も頂いて、きのうかな?11週を経過したところで・・」

「えっ、ホント!良かったねー、おめでとう!ちょっとアレから来ないから心配してたんだけど、いやぁ、良かった!つわりは大丈夫?」

「今、食べつわりみたいなのがあって、食べると少し気持ち悪くなるけど、なんとか普通に過ごしてます。ただ、肩こりがキツクなってきて、近くの鍼灸院に行きたいんだけど、揉んだりしても大丈夫ですか?」

「もしもお腹に影響があるかもって心配するなら、もう少ししてからの方がいいかもね。レンジでチンタオル作って、肩こり部位にホットパックしたり、手をグッパ、グッパしたり、手首をブラブラ、腕全体を上げたり回したりして、肩首の血流を改善することをまずやってみて。それでも、肩こりが軽くならなければ、またその時に相談して」

「はい、じゃあ、まずそのへんを試してみます」

「カルシウムが豊富な食事だと賢い子ができるって言うから、胡麻なんかイイし、アーモンドとレーズンは・・」

「あっ、アーモンドとレーズンは妊娠前からまだずっと続けてます」

「そう、それなら大丈夫だね。安定期に入れば、安産の灸とか色々できるから、またその頃になったらおいでよ」

「うん、時々、実家に帰省するから、またお世話になります」

「でも、ホント良かったね」


↑昨日、治療院の電話口で交わした会話です。わすか3回の温灸治療で妊娠に成功です。まだ若いということもあるけど、卵巣膿腫の摘出手術後ということもあり、それなりに精神的に辛い時期を経たあとだけに、こちらの嬉しさもひとしおです。

卵巣や子宮に器質的、機能的に問題のない場合で、どうしても妊娠できないケースにおいて、仙骨周囲への温灸治療は不妊体質の改善に劇的なまでに有効であると経験上、確信しています。

わたしの不妊治療はイタイ、コワイ、ハズカシイなる感情はいっさい生じることはなく、ただただ気持ちイイ、温かい、ホンワカ、スヤスヤ、グッスリと、ほとんどの女性は治療中に寝てしまいます。

だって、温灸器から照射される棒灸40℃〜のお日様のような輻射熱と、棒灸に含まれる16種類の生薬のかぐわしいアロマに包まれては、恍惚のうちに愉悦の仙境へと導かれ、睡魔に勝てる者などおりません。

こんな気持ちが良くて、身体が温まって、軽くなって、そのうえで妊娠できる。

この気持ちイイ温灸による東洋医学の不妊治療の真価は、まだいっさい世間様には知られておりません。

さて、温灸にしろ、直接灸にしろ、古来より日本では「子宝の灸」と呼ばれ、灸治療が不妊体質を改善することは以前より知られておりました。

昭和の名灸師と言われた深谷伊三郎氏の著書などにも、灸治療で子供を授かった事例が多数載っています。

深谷が申すには「灸熱が気持ちよく深部まで通じる」と妊娠に成功するとのメモがございます。

わたしもまた深谷メモに類する手応えを感じておりまして、あっ、これはうまくいく、という確信があった場合、いまのところ100%の確率で成功しております。

こういう手の内の感覚を、言葉に変換するのはムツカシイですね。

腎臓という臓器は血液を濾過する装置ですが、通常と異なり腎臓を通過する血液量が減少すると貧血体質になったと危機反応し、エリスロポエチンという赤血球産生を促すホルモンを産生することで全身の血液量を上げる機序を発動します。全身の細胞を養う血液量の管理はこのようにエリスロポエチンという赤血球産生ホルモンによってコントロールされています。

ヒトの皮膚上で灸治療が行われモグサが燃焼されると、皮膚細胞は皮膚上の酸素濃度の低下を知覚して、酸素濃度の低下した外部環境におけるバックアップ体制として、皮膚細胞がエリスロポエチンを分泌することで、赤血球の数を増して、少ない酸素環境においても的確に60兆個の細胞に酸素を運ぶメカニズムを起動します。

灸治療後にエリスロポエチンが皮膚細胞で産生されることで、赤血球の数が増えて貧血体質が改善されて妊娠体質になります。

赤血球産生ホルモンであるエリスロポエチンは灸治療で皮膚から分泌できるのです。

妊娠とは「自己複製」つまりは新たな個体の創成です。その新たな個体という胎児の造成になくてはならない素材とは母親の血液、赤血球なのです。母親の赤血球が胎児の体細胞に変じていくのが妊娠による胎児育成期なのです。千島学説に準拠すれば、母親の赤血球が胎児の体細胞になる、は自明です。

でありますから、妊娠するための絶対条件とは「貧血でない」です。

古来より灸治療が子授けの療法として語り継がれた分子レベルの証拠として最も有力な分子は、わたしがみるところエリスロポエチンの効能だろうと確信しております。

灸治療により皮膚からエリスロポエチンという赤血球産生ホルモンが分泌され妊娠に適した環境がととのうことで、自然に妊娠が可能となるのです。

また新たな個体を構成する分子はやはりタンパク質であり、胎児のタンパク質が次々に変貌することでヒトらしいナリにまで胎児は成長するのです。

タンパク分子の変化を介添えするシャペロン分子とはヒートショックプロテインであり、妊娠後に母体が高体温を維持するのは、つまりはヒートショックプロテインを旺盛に分泌し続けることで、盛んに胎児タンパク質の変化を介添えしようとする自発的発熱によるヒートショックプロテイン産生機序であったといえます。

灸治療はもちろんヒートショックプロテインを旺盛に分泌促進します。

妊娠している時の女性は得も言われぬ美しさを醸す、と言いますが、その輝きとは、まさにヒートショックプロテインの介添えのお陰でありましょう。

からだを冷やさない、青い葉っぱ、味噌汁、胡麻、アーモンド、レーズンなどを食べて貧血を改善する、灸治療などを行ってエリスロポエチンやヒートショックプロテインを分泌させる。

こんな簡単な方法で、苦しまずに、気持ちよく妊娠できるのが東洋医学による不妊治療なのです。

万物化醇(ばんぶつかじゅん)、いのちの誕生、に関われるのはやはり、鍼灸師冥利です。

2014.03.22 | | コメント(5) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

ルーツ ⑩

「正しい食物を取ることが人間を健康に発育させる唯一の方法です。また正しくない食物を取ることが病気の原因です」                                      『チャラカ・サンヒター(アーユル・べーダの聖典)』



放射性同位元素の大規模拡散に見舞われるという3.11後にあって、このインドの伝統医学の言葉は非常に重い。

例え正しい食物を取っているとしても、その食材に放射性同位元素が含まれていれば、もはや、正しいという言葉は意味を成さない。

この時代における正しい食物とは、例え放射性同位元素が含まれているものを食べたとしても、それを無毒化しデトックスできる食べ物、と言える。

正しくない放射性同位元素を含む食物を食べても病気にならない唯一の方法を伝授する。

これが3.11後の医療者に課せられた使命であった。

この度、山﨑農業研究所の年4回発行される季刊紙『耕』の「2014年 春号 No.132」にて組まれた特集「養生の時代」に、拙文が記事となりました。

昨年末にご丁寧な原稿依頼を封書で頂き、編集担当様とメールにて交流を重ねて、原稿を練り、ようやく先日3月11日に日の目をみることができました。

わたし自身は紙媒体への原稿執筆は初めての事でしたので、最初はどうなるかと不安でしたが、温かいご指導で、読み応えのある文に仕上がりましたことを、編集担当様に、この場にて重ねて深くお礼申しあげます。

本特集「養生の時代」は三人のそれぞれの立場で養生とは何かを語るという構成で、①私が鍼灸師としての立場から「3.11福島原発事故後の『養生法』とはなにか」と題し、ミトコンドリアが生命現象の中心にあるとの中核理論をベースに内部被曝をいかに防ぐかの実践的アドバイスを見開き10ページ担当し、

次ぎに②(株)T&G代表の髙味充日児(たかみみつひこ)様が土壌生成のエンジニアとしてのお立場から「腐植前駆物質で土と体を守る」のタイトルで土壌バクテリアが産生する腐植前駆物質であるフルボ酸やフマル酸がもたらす有益な作用を実践的データを交えて紹介し、腐植前駆物質に富む豊かな土壌が健康な作物を生成することで、それを食べる人間もまた健康になっていく、という食薬一如の視点が提示され、

最後に③「NPO法人 大地といのちの会理事長」の吉田俊道(よしだとしみち)様が、幼稚園や小学校、中学校での食改善により子供達の赤血球像の劇的な好転、低体温児が激減し高体温児童が増えたこと、インフルエンザ罹患率に顕著な効果が発揮され子供達の欠席日数が激減していく様など、の実際のデータを示しての、食と健康の密接なつながりの実験的証明の成功報告、名づけて「元気な身体は、生ごみリサイクル元気野菜作りから」のタイトルで、畑作り(土壌菌)と身体作り(腸内常在菌)は同じ原理であるとの立場から、土と食と農と健康が切っても切れない関係にあることをわかりやすく論述されております。

三人のそれぞれの養生観、キーワードがそこかしこでリンクして、一度通読しただけでは味わえない「発酵熟成環境」が二度、三度と読み込んでいくことで脳内に醸成されます。

特に圧巻は吉田様のご提供された4週間の食改善で中学生の血液が劇的に好転する2点のビフォーアフター顕微鏡写真です。食の改善前は赤血球のカタチが悪く、くっついて変形しドロドロの状態だった血液像が、旬の野菜を皮や芯まで食べ、小魚まるごと、野菜たっぷり味噌汁に発酵食品、ご飯は一口30回噛んで、をたった4週間励行することで、ふたりの血液像は、見事なまでに赤血球のカタチはプリップリのまん丸になって、それぞれがちゃんと間隔をもって凝集せず変形せずにくっつきあっている姿は、見る者の全身を感動で包むほどに美しい!

小学校児童たちへの食改善の実践では、学力の向上や素行の改善なども見られています。

正しい食物がいかに人の身心にとって大切か、という冒頭アーユルべーダの聖典の言葉は、吉田さんたちの取り組みで完全に証明されました。

自然界は「廃」も「要」も区別せずに、すべては無駄なく自然に循環しているという髙味さんのお言葉からは、日本鍼灸が打ち立てた生理現象における「邪正一如」観を想起し、フラクタルな宇宙の理にあらためて目が覚める思いです。

わたしの今回の「耕」記事投稿文中に込めたメッセージのすべては、記事文に挿入した安藤昌益の次ぎの言葉に集約されています。

「寿(イノチ)とは飯(イイ)の中(ウチ)なり」

わたしたちの命のルーツは腸にあり、食にあり、農にあり、土にあり、腐植前駆物質にあり、バクテリアにあり、原始地球にあり、原始太陽系にあり、始原宇宙にあるのです。

かけがえのない命をそのまま自然に養う文化が3.11後に華開くため、これからも養生法の探求に励みます。

読者様、皆様方の変わりないご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

2014.03.21 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ⑨

ルーツと題して、世界の医学体系の源を探りつつ、生命誕生や、わたしたちは水穀の気(栄養素)を受けて先天の気(セントラルドグマ)を補充して生きる存在なので、後天の精である食べ物は、土壌があってはじめて出来るから土壌菌を含むバクテリアや真菌類などの微生物についても触れつつ、地球が誕生した46億年前の世界である「天地氤氳、万物化醇(てんちいんうん、ばんぶつかじゅん)」な星間ガスに満たされた太陽系誕生のルーツまで足早に追ってみた。

さまざまなルーツが溶け合い、融合して今の生がある。

原始バクテリアに始まる地球環境ストレスとの闘いにおいて、生命がいつも気にしていたことは、いかに正常な「代謝」を維持し、自己複製をうまくおこない次世代を遺すか、ということであった。

生命の代謝の主役はタンパク質、プロテインであるので、生命はタンパク質の変性には人一倍気をつかう。つまりタンパク質の変性を治し続けることで、生命は正常な代謝を維持し、子孫を繁栄させてきたのである。

ヒト細胞内には80億個ものタンパク分子がつまっている。

ヒト細胞の大きさは平均0.01ミリメートルであるが、その中に80億個ものタンパク分子がつまっていることは驚異的である。

この細胞質にあるタンパク分子のうちの10種が協働して細胞質内のグルコースを分解すると、アセチルCoAに変換されて、アセチル基がミトコンドリアのクエン酸回路に取りこまれることで電子伝達系において膨大なATPが産生され、このATPを利用することで細胞は動的ホメオスタシスを保っている。

もしも80億個の細胞内タンパク質が変性して乳酸とくっついて乳酸タンパク質になってしまったりすると、細胞内はただでさえ粘調な状態なのだが、さらに細胞質は原形質の流動性を失ってしまう。

細胞内を「流水は腐らず」状態にしておく秘訣は、つまりは変性タンパク質を作らないということである。

変性タンパク質がたとえできても、ヒートショックプロテインというストレス防御タンパク質が修復してくれる。

病原菌や病原ウイルスに罹患されて発熱するのは、発熱によりヒートショックプロテインを多く産生し、ウイルスや病原菌で傷つき変性した細胞内外タンパク分子を治すためであったのです。

伝統医学とは自然治癒力を賦活するヒートショックプロテインを味方につける医療でありました。

鍼灸指圧こそHSP医学の王道です。

2014.03.20 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ⑧

健胃整腸作用のある生薬オウレンの根を掘り採って、お腹をクダした仲間のサルを救うため病猿の口中にその根を押し込む。

仲むつまじくグルーミングをし、毛づくろいをしながらノミ取りに勤しむ。

手当医療の原点はサルにあるのかもしれない。

ヒトは500万年前に現生チンパンジーの祖先と進路を異とし、やがてヒトはホモサピエンスになったが、現生チンパンジーとヒトのDNA解析の結果、ヒトとチンパンジーのDNA塩基配列はたった0.5%しか違わないことがわかった。

そのわずか0.5%の違いによりチンパンジーはヒトの8倍も強化された筋力を維持し、毛むくじゃらなボディに身を包むかわりに、ヒトの筋力は懸垂のやり過ぎでスグに肘を痛める程に筋力が低下して軟弱になり、体毛が一部を除きすべて剥落して裸同然になったが、文明を築き快適な機器に囲まれて、雨風をしのぐ家屋で文化生活を享受している。

DNAのわすかな違いが、ヒト文明を開化させたのだろうか?

野生のサルたちはそれぞれ生薬の叡智を有しているようで、アフリカのチンパンジーなども調子を崩した際には、狭心症の際にヒトが飲む舌下錠ニトログリセリンの飲み方そっくりに、特定の葉を噛まずに口に含み、そのまま呑み込むという。数日後には調子がスッカリと戻る姿が観察されている。

60億個の塩基がつながった2メートルのヒトDNAには地球生命史38億年の全記憶がデータとして記録されているというが、チンパンジーの祖先と別れる前の、サル時代の医療の記憶もまたヒトDNAには刻まれているのだろうし、サルになる前の白亜紀、まだネズミのような生き物だった時代に、母ネズミが哺乳時に敵である恐竜に見つからないためにグッスリと赤ん坊ネズミを眠らせるために母乳に含ませた麻酔性ペプチドを産生した遺伝子も、ヒトDNAのセントラルドグマに装備されており、その進化バージョンが脳や腸や皮膚から分泌されるβエンドルフィンになっており、またネズミよりも前の爬虫類や両生類の記憶も、それ以前の魚類時代の記憶も、魚類の前の海綿動物の頃も、エディアカラ生物群の前のバクテリア、そして地球で最初に誕生した生命体コモノートの記憶すらヒトDNAに刻まれている。

生命史38億年の膨大な記憶をもとに次世紀の新たな環境共生文明を生み出すこと。

これが現生人類に課せられた使命である。

養生文明の夜明けは東アフリカのダナキル地塁ではなく、ここ東洋はジャパンの牧之原市細江の茶畑の合間から始まる。

2014.03.19 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ⑦

人間のからだを四肢百骸(ししひゃくがい)とも表現しますが、人体の駆動系である筋肉は400〜600個あり、骨は207個とされる。

この体壁筋肉系がミトコンドリアが1日に体重の1.4倍量を産生するそのATP供給により、筋繊維のアクチンとミオシンという蛋白質の繊維を滑らせると、筋肉が収縮弛緩して、横断筋が骨と骨をつなぎ、筋と筋をまたぎ動かして、たとえば前腕と上腕が協調すると、米漫画「ポパイ」の主人公ポパイがガールフレンドの危機において、缶詰めのホウレン草を口に放り込んだ後に、錨のタトゥーが刻印されたおのれの強さを誇示する上腕二頭筋のプックリ!どや決めポーズになり、全身600の筋肉が協働してのイチロー選手のような忍者の如き柔軟なスライディングが生み出される。

ヒトの感情は大脳ではなく「はらわた」にあるというのは、本当に「腹が立つ」と「はらわたが煮えくり返る」という慣用句からも知られた事実であり、食と性の二相のために生命は動き続けるわけで、食と性の二相を司る部位とはまさに腸管内臓系なので、「はらわた」の命令に、筋骨格系は忠実に従う。

よさげなニョショウが道を歩いていれば野郎どもの目はそこへ吸い寄せられて電柱にぶつかるし、美味しいものの香りは胃腸の蠕動運動を促進し、パブロフの犬よろしく口腔内を唾液で充満させる。

臓腑の欲求にはヒトは逆らえない。

中国医学は西洋医学と区別して中医学とも祖国医学とも漢医学とも言うが、現代中国では西洋医学を西医学と呼ぶ手前、中国伝統医学は中医学と一般に呼ばれる。

この中医学の医学体系は西洋医学とその思想基盤を異にすると思われがちだが、実際には世界の3大伝統医学とはギリシャ医学、インド医学、中国医学であり、現代文明に君臨し今や再生医療のiPS、ES、STAPで花火を上げ続けてブイブイ言わせている西洋医学というヨーロッパ伝統医学の母体も、もとはアラブ医学であり、

アラブ医学は古代オリエント医学(メソポタミア、シリア、エジプト、ペルシャなど)とギリシャ医学が融合しインド医学の一部も取りこんだハイブリッドな医学であったわけで、アラブ医学はまたの名をイスラム医学ともユナニ医学とも呼び、ユナニとは「イオニア(ギリシャ風)」という意味のペルシャ語であるが、アラブ医学とはまさに西域医学をすべからく包含したフュージョン系医学であったのです。

インド医学はアーユルベーダと呼ばれアユスは生命、べーダは学問あるいは聖典という意味で、直訳すれば「生命の学問、命の聖典」となりましょう。

西暦1世紀から2世紀に編纂された「チャラカ・サンヒター」「スシュルタ・サンヒター」が二大聖典であり、いわゆる仏教医学とも兄弟関係になる。インド医学はチベットやモンゴルにも伝播しその地で現在も様々な処方がなされ、インドネシアでジャムウと呼ばれる伝統薬はアーユルベーダとも深く関連しているという。

インド医学とギリシャ医学もまたそれぞれに影響し合っていた。

中国医学はアラブ医学の影響をシルクロードを介して受けながら独自の発展を遂げ、やがて韓国へと伝わり「チャングムの誓い」の韓医学へと昇華し、韓国から日本の大阪に渡来した金武(こんむ)なる僧侶あたりを嚆矢に西暦450年頃から日本に中国医学が伝わりはじめ、安土桃山、室町時代などに中国の明との交易のなかで、日本の僧侶が明国へと留学して本場の中国医学をマスターし帰国して日本に中医学の叡智をもたらし、また中国から鑑真和尚が来日し、やはり中国医学の生薬の精髄などを伝え、また日本からは、かの弘法大師・空海が仏教留学のおりに中医学を学んで帰国し、日本のいたるところに「弘法の灸」や、大師流の鍼術のタネを播いて現在もその火が幾ばくか灯り続けている。

このように日本の伝統医学である日本鍼灸や日本漢方の背景には、西域医学の精華であるアラブ医学の叡智もまたそこかしこにスピリットとして香り、西洋医学の母体がアラブ医学であることを考慮すると、西洋医学と東洋医学という対立絵図の馬鹿らしさが一層身に染みてくる。

さて、それはともかくも、中医学は脳脊髄神経を中枢とする医学体系ではなく、五臓六腑と皮膚筋肉系を重んじる臓腑経絡系(ぞうふけいらくけい)の医学体系であることが特徴的である。

つまり冒頭の言の如く、食と性の二相の欲求に忠実な筋骨格系という視点をルーツに展開した医学体系が中医学でありました。インド医学にはチャクラなるツボに相当する概念があり、それは脊髄中心に位置する内分泌腺に相当するようでもありますが、ここには皮膚筋肉系からの情報が脊髄に集中し、脳へと情報伝達がされるという、神経伝達理論の萌芽が垣間見えます。

仏教医学では、地水火風空の5つの要素を下から積み上げる空間把握思考が随所に見られ、その影響で仏教医学においては、早くから脳脊髄を中心とし、それらと周辺部位が連絡し合う今で言う脳脊髄神経系に近い思考が展開しており、江戸期前の室町時代の日本鍼灸においては、すでにこの仏教的な中枢理論を咀嚼吸収しての医学論の展開も見られましたが、江戸期に入るとまた従来の中医学の伝統的な臓腑経絡論へと回帰します。

ヒトは腸管内臓の欲求を満たすために筋骨格系を動かし続ける存在であるのですが、このヒトのナリ、身体は二足で直立し歩行するには、あまりに構造的な欠陥が多すぎるので、その弊害たるやが、年間40兆円の医療費となって日本を傾国の断崖へと押し込んでいるのです。

全体重の65%が腰部の脊柱を支える仙骨・第2仙骨孔にかかってきます。つまり腰に重力負荷がかかるのが人体構造の欠陥ともいえるのであり、腰部付近の疲れを取ることで、全身の不調を改善できる可能性が見えてきます。

また肩関節は鎖骨と肩甲骨と上腕骨で構成されていますが、腕1本の重さは3キロ〜の重さであり、頭1個の重さが6キロ近くになることも合わせれば、肩や首にはとてつもない重さが常に加わっていることになります。

ようは腰と肩首の疲労を除去できれば、身体構造の欠陥から来る疲労感が減殺できるのです。

医学体系は様々ですが、病因は意外にシンプルです。

ヒトの身体には常に地球1Gの重力が加算され続ける。

その重力負荷がかかり続けて疲弊したその部位のミトコンドリアを活性化できれば、もとの正気(せいき)、もとのき、元気(げんき)が戻ってくる。

そのことに気づいたのが「操体法」の創始者であった故・橋本敬三先生でした。

身体の歪みを調整し、四肢百骸を整える養生法の探求は今後も必須です!

2014.03.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ⑥

現代文明に根本的に欠けているものは、生命に対する敬意だと思う。

もしも、この自分の命だけでなく、地球に棲むバクテリア(原核生物)、アーキア(古細菌)、ユーカリア(真核生物)のすべての種族が、奇跡の星「地球」に38億年前に誕生した地球最初の生命体コモノートの末裔であると知れば、すべての生き物が愛おしくてしょうがなくなるはずなのだが。

その地球最初の生命体が無酸素、低温の地球や、マイナス40℃に地球全土が覆われた時代や、酸素が急上昇して酸化毒で死滅しかけた時期を経て、単細胞から多細胞化を果たし、海綿動物のような動きの少ないエディアカラ生物が、5億4100万年前のカンブリア爆発をきっかけに一気に能動的な生き物に変わり、盛んに動き回り毒でしかなかった酸素をエネルギー源としATPを生み出すミトコンドリアを味方に付け、やがて2センチ長の原始魚類が1メートル余まで大きく進化し、ヒレに四肢の原器である肉と骨が付着して後に、ついにデボン紀後期に陸上へと進出を果たすと、恐竜の獣脚類の代表はティラノサウルスだが彼らの二足歩行やその子孫の鳥類のダチョウなどを除けば、二足で直立できる種族は340万年前のアファール猿人まで出現しなかった。

人類は二足で直立し、二足で歩行できるというとてつもない革命的な身体操作法を獲得したが、重力負荷は四つ足時代の比ではなく、否応なく身体を直立させていれば脊柱間の椎間板が圧迫され加齢により脊柱管狭窄症が勃発し、腰痛は人類の宿痾と化し、肩甲骨と鎖骨で上肢を吊り上げる肩関節には常に腕の重さ3〜5キロが負荷され、肩こりもまた人類の宿命的な疾患となっている。

「筋骨格系の歪みが万病のもとである」と喝破したのは、東北の医師である故・橋本敬三氏その人であるが、彼は民間の治療師や、鍼灸師などに頭を下げて治術の奥義を教わり、ついに人体の秘密のベールの一端を開示することに成功した。

四つ足が二足になったことは、手の自由を生みだし、その手を使う作業が大脳を活性化し、それゆえにやがて人類だけが文明を築くことができたのだが、文明の利器は両刃の剣であることは、いまや放射性同位元素の拡散によって、人類60億余人のすべてが知る事態となりつつある。

手の内の文化文明を離れた巨大プラントなど、やはり文字通りヒトの手には負えないのだ。

クラフトやアートな文明をもう一度取り戻すにはどうしたらいいのか?

それはまずは、じっと手を見ることからはじめるのがいいのではなかろうか。

じっと手を見なさい、とショーヴェ洞窟壁画の手形が叫んでいるような気がするのは私だけだろうか。

しっかりと四つ足の平で地球表面と接触していた頃は、それほど傲慢になることもなかったが、骨を武器にできると知り、手が地から離れたあたりから、どうも様子がおかしくなったのだろうか。

映画「2001年 宇宙の旅」の冒頭シーン「人類の夜明け」のあの象徴的なシーンが想起される。

高らかな「ツァラトゥストラはかく語りき」のファンファーレで、次世代の子供たちの鼓膜を振るわせる役目をわたしたち大人は負っている。

人類の負の遺産をすべて解毒し、現代文明の歪んだ筋骨格系を補正し、命を守る事を最優先にした文明をスタートさせねばならない。

次世紀の文明のルーツは、養生法の探求からである。

2014.03.17 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ⑤

「なんだかものすごく現代人は、傲慢で醜く、いや見苦しい存在に成り果てている気がするね。今回のSTAP細胞発見を持ち上げてのお祭り騒ぎのあとの、マスコミの手の平を返しての猛烈なバッシング、その叩きっぷりもほんと尋常じゃないほど醜悪だけどね。でも、この万能細胞がどうの、再生医療が何チャラの話題に決定的に欠けているのが、じゃあ、そういう技術、テクノロジーを得たからと言って、生命を自由に操作していいのか?という倫理の視点。このへんがね、全然、話題にならないでしょ?ただワーワー騒ぐだけで、ちっとも生命の叡智が深まるプロセスが生まれない。これはね、俺たち医療者の啓蒙不足というかね、医療者がちゃんと総括して言うべきことだと思う。原発再稼働は論外だけど、今回の山口県周囲に来た地震を見てもわかるけど、別に断層どうこうじゃあない。活断層あるなしに関わらず、必ず地震が来ればそこら中が揺れる。なのに原発の直下に活断層が無ければオッケーという発想がそもそもムチャクチャなわけ。ふたことめには活断層が、って、活断層フェチとでも呼びたいね。なんかね、やっぱ哲学というかね、そのへんが劣化し続けた結果かもね」

昨日も気のおけない常連さんとの会話で、こんな風に喋った。

宇宙が誕生したのが137億年前で、地球が誕生したのが46億年前であり、その時に太陽も誕生していて、太陽の中心では水素とヘリウムが核融合して、膨大な光エネルギーと熱エネルギーを放出するお陰で地球は温められて、それは地球表面に大気層があるからこそ熱が閉じこめられて温室効果で保温されていて、もしも大気による保温ができないと、地表温度はマイナス40℃にまで冷えてしまって、とてもじゃあないがスノーボールな製氷機地球じゃあヒトは生きるに耐えられない。

大気という「先天の気」があって、はじめてヒトは生を養うことができるんです。中医学では肺でキャッチする気を宗気(そうき)とも呼びますが、呼吸により取りこんだ酸素や窒素や二酸化炭素を赤血球のヘモグロビン蛋白質の分子構造内にある鉄元素が吸着することで、血行性に全身のミトコンドリアに酸素を届けて、その酸素を利用して酸化的リン酸化により「後天の気」であるATPを産生できるのであるから、ヒトは大気という「先天の気」を、1京8000兆個のミトコンドリアという「気コンデンサー」でアデノシン三リン酸に変換して「後天の気」とし、生命活動を維持していると言える。

ミトコンドリアの酸化的リン酸化には酸素だけでなく、太陽光線のソーレー帯という波長も利用されるし、その他には口から摂取する栄養素のグルコース、アミノ酸、脂肪酸やミネラル、ビタミンも必須であり、ミトコンドリアがうまく機能するためにも酵素反応に適した体内温度37℃が必要となる。

太陽のような自分で核融合して光り輝き周囲にエネルギーを放出する星は恒星と呼ばれるが、恒星にも寿命があり、わたしたちの命を育む太陽の寿命は100億年である。すでに46億年が経過したのだから、太陽も50代手前、アラフィフ世代と言えようか。

地球が太陽との距離において、生命体にとって適切な環境を維持できるゾーンをハビタブルゾーン(生命生存可能領域)と言うが、太陽がこのまま年老いて肥大していくと、15〜25億年後には地球はハビタブルゾーンの内側限界を超えて、生存「不可能」領域に入りこんでしまい、そのままいけば「暴走温室限界」を迎え、地表の水分はすべて揮発し蒸発し、やがて溶岩まで溶け出し、46億年前の原始地球の地表と同じく灼熱の真っ赤な溶岩の海、マグマオーシャンが再来する。

100億年の太陽寿命の真ん中の、地球生命史38億年後の今という生、そしてハビタブルな地球の未来はたった残り15億年。

「地球生命物語」はすでに5章のうちの3章を読み終えている。

あと2億5000万年もすれば地表はプレートテクトニクスで移動して、現在の三大洋五大陸の様相も一変し、またひとつの大陸パンゲア・ウルティマとひとつの海が出現するという。

大きなタイムスケールで俯瞰すれば、地球の1日は限りなく貴重だ。

かけがえのない生命をわたしたちは先天から賜り、後天の気をミトコンドリアから与えられ、生きている。

2014.03.16 | | コメント(3) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ④

「生命の基礎現象は感覚と能動的な運動であり、身体の各部にそれぞれの固有生命 Vita propria がある。固有生命をおこすものは自然の力すなわち生気であって、生命力は物理学や機械学の範囲に属しない」ボルデュー(1722〜1776)

いわゆる西洋医学はルネ・デカルトが唱えた「心身二元論」つまり、心と身体を別個のものとする思潮が勃興した後に、身体だけを分離してその詳細を分析する「人間機械論」的な医学が先鋭化し、臓器をパーツとして移植可能なものとし、細胞核に仕舞われたDNA上の遺伝子を操作することも厭わなくなり、今やiPS細胞やES細胞を利用して、あらゆる臓器を再生する神をも恐れぬ領域にまで踏み込み始めている。

映画「スター・ウォーズ」の新シリーズ中には「クローンの逆襲」なるタイトルが付された回がある。兵隊として量産された甲冑のような装具に包まれた人身は、すべてもとはひとりの人間の細胞を遺伝子操作して生み出したクローン人間である。孫悟空は自分の毛をむしり、フーッと息を吹きかけて自分の分身をばらまき妖怪達に立ち向かったが、今や実際にヒトの髪の毛の細胞を利用して万能細胞を生み出せる段階にまで到達した。

まさに渦中の騒動はSTAP細胞なのだが、この一件に関しては私は巷間さわがれているような疑惑とは別な視点で冷めて俯瞰している。まさかあれほど騒がれた背景に何らかの手違いはなかろう。いや、憶測でものを言うのは避けた方がいいのだろうが、あえて言えば、この一件は生命科学の虎の尾を踏んでしまったということに尽きる。もしもSTAP細胞のニュースがなければ、千島学説の再考などしなかっただろうから、私的にはこれまでの騒動に感謝している。この発見により、さらに細胞の神秘な力に接近することができたのだ。恐らくは万能細胞利権の主導権争いなのではなかろうか?

余談はともかく、生命はもはや精密機械なみに操作し自由に加工できるシロモノに成り下がったのだろうか?もしも、原発で働く者が減り続けたら、クローン人間を量産してそれに従事させればいいなる計画までありそうである。そんなことにでもなったら、さらに原発は推進されるだろう。

中医学の根底には易の思想があり、易の思想とは、世界を把握する方法である。一なる根源が、共生と排斥(相生相克)の2のフラクタルパターンを生みだしたことで、万物が回転しだしたとする陰陽論。この一なる根源の生命力がすべてを養っているのであり、この妙なる流れを道(タオ)や無(む)とも言う。

オーストラリア先住民のアボリジニーたちの宇宙創生哲学には、ドリームタイムなる概念があり、循環し連環する連続した時間軸の中で宇宙は進化するようで、いて、ねじれてまた元に戻るような螺旋な世界観が描出されている。まだ文字もない時代にヒトはどのように外部宇宙を把握していったのだろうか?

仏ショーヴェ洞窟壁画は3万2千年前のクロマニヨン人が炭で描いたものだが、300点にのぼるというその描かれた動物たちは実にダイナミックに活き活きと活写されている。連続したライオンの顔からはアニメーションの原点が見て取れ、暗い洞窟の中で絵に掲げた灯火を次々に移動して、もしかすると本当にアニメのように観賞していたのではとも分析されている。ユーチューブの動画を楽しむ現代人と彼ら旧石器人類に、どれほどの差があるというのだろう。

共生という言葉は仏教に由来する言葉のようであるが「ともいき」と読むのが本筋らしい。ショーヴェ壁画のタッチからは、「ともに地球に生きる」仲間である動物たちを心底尊敬し、いや崇拝すらしていたのではと思えてくるほどに、その筆先はやさしい。

ジェダイマスターのヨーダは「ほれ、そこにも、あそこにもフォースはある」と若きジェダイの騎士ルークに諭したが、内分泌学の先駆者であり、生気論の創始者であるフランスのボルデューは、冒頭の言の通り人体のそこかしこに固有の生命力が宿るとし、それは一なる道(タオ)から生まれた生気であり、人智が及ばない不可侵な領域であると、箴言を遺してくれている。

デカルトは実は心身を分離して分析したのちに、もう一度、統合する作業をするつもりだったのだが、心身一元論に到達する前にこの世を去ってしまったようである。もしも彼がもう少し養生法の探求に努め、自己実現が達成されていたら、西洋医学が人間機械論に傾倒することを防げただろうか?

DNAのらせん構造が解明され、その遺伝子の発現により生命現象が営まれていることがわかったとしても、これら「DNA→mRNA→タンパク質」のセントラルドグマそれ自体を推進する原動力はいまだに判明していないし、なぜ38億年の地球生命史の全データをすべての生き物がそのDNAに保持していながら、乳酸菌は乳酸菌になり、チンパンジーはチンパンジーになり、唐辛子は唐辛子になり、カブトムシはカブトムシになり、トマトはトマトになり、ヒトはヒトになるのか?もわからないし、ヒトの身体は60兆個もの細胞が集積した高次構造であるが、なぜ熱力学第2法則・エントロピー増大とは反対のベクトルで恒常的に60兆個の細胞の熱量が維持できていくのか?その動的ホメオスタシスの統合力もまた理解しがたい世界なのだ。

人間機械論でわかる範囲は知れていて、実は背後には生気論でしか読み解けないタオの世界が拡がっているのが、身体宇宙なのではなかろうか?

天の川銀河の片隅で、ある恒星に死が訪れて、その超新星の爆発から星間物質が周囲に拡散し、やがて重たい元素を中心に回転する場が生じ、真ん中に新たな恒星である原始太陽が生まれ、周囲に生じた20個ほどの小惑星が次々にぶつかり融合し、その中に地球も誕生した。

この身心の構成成分は、もともとは星間ガスだったのだ。いや恒星の破片だったのか?

星間ミストから生まれ、太陽光線に育まれるヒト。細胞内オルガネラであるミトコンドリアが、光エネルギーと酸素を利用して栄養素を酸化的リン酸化することで生み出す膨大なATP。このアデノシン三リン酸によってヒトは生命活動を維持している。

固有生命とはミトコンドリアで、ミトコンドリアを生かすものが太陽光線や酸素、温度、ミネラル、ビタミン、グルコース、アミノ酸、脂肪酸。

わたしたちはタオなるエネルギーをミトコンドリアを通じて得ているようである。

ミトコンドリアが集積したわたしたちという存在は、光り輝く生気そのものである。

2014.03.15 | | コメント(5) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ③

「とうとは、ちっちゃいころに、なりたかったものはなに?」

「パン屋とパイロットと絵描き」

「そのなかで、いちばん、なりたかったのは?」

「パン屋」

「なんでじゃあ指圧師なんかになったの?」

「なんでかねぇ〜、でもパン屋みたいじゃん、指圧って。こうやってコネコネとひとの身体をさわって揉んでこねるわけだから」

「ぜ〜んぜんちがうよ!パンは生地をこねるんだから、ひとの身体はパン生地じゃないもん!

とうとは馬鹿だねぇ〜」

「・・・」

ひとにはそれぞれ、何らかのルーツがありますが、

さて、なぜ私が鍼灸指圧師になったのか?

は「天のみぞ知る」。




民間の動物学者の観察によれば、野生のサルが病気になると、仲間のサルが近くに生えている黄連(おうれん)の根を掘り採って、その具合の悪くなったサルの口の中に、その黄連(おうれん)の根を押し込む姿が目撃されているという。

黄連(おうれん) キンポウゲ科オウレンの根茎。オウレンにも種類があり、オウレン、キクバオウレン、ホソバオウレン、ナカバオウレン、セリバオウレン、オオバオウレンなど、いずれも生薬に用いられる。

「味苦寒。熱気、腸澼、腹痛、下痢、煩躁を主どり、血を止め、口瘡を療す」
                             『古方薬議』

味は苦くて、身体の熱気を取り去る作用がある生薬がオウレンの根であり、その効能は、火照った身体をクールダウンさせて、胃腸の調子をととのえて、ハラが痛いとか、下痢とか、腸の動きが悪いなんて時の有効な健胃整腸剤であり、その他には、なんだか胸がザワザワするような気分が落ち着かないのも治してくれるし、出血があれば止血作用をもたらし、口のでき物なんかもこれで治してしまう。

むろん、野生のサルたちは『傷寒論』なんて言う漢方薬のバイブルを読み込んで、仲間が病気になった時に、そのサルの脈を診て、腹を按じ、声を聞き、臭いを嗅ぎ、背中のツボを触って、フムフム、これならオウレンが適薬だね、ヨッシャ、いっちょ、あそこに植わってるから、あれを掘って、こいつの口ん中に根っこを放り込んでやりゃあ、なんだか食欲が湧かないだの、下痢っぽいだのとグズグズ言ってたのがスグに治って元気になるだろ!なんて言ってるかどうかは、さすがに、知恵のあるサルを自認するホモ・サピエンスでもわかりかねます。

そう、自然界には病院など存在しませんが、野生の動物たちはだいたい元気に過ごしております。昆虫など、どんな過酷な環境にも生息圏を伸ばしており、地上における覇者はヒトではなく、昆虫たちだというのはよく知られた話しです。

なんでも昆虫の体重の30%〜50%は共生菌の重さだと言いますし、その共生菌が放つ抗生物質のお陰で病原菌の侵入を許さない無敵の免疫力を昆虫は手にしているようです。

昨夏、私は娘のためにカブトムシを捕獲しようとして、大失態をし、スズメバチに左頸部を刺されるというハプニングを演じたのですが、それもこれもカブトムシが土中に逃げてしまったのを、もう一度、見つけようとしたのがよくなかったのです。

でも、あんな土壌菌だらけの土中で昼寝できるなんて、考えてみればカブトムシもかなりの「最強免疫体」だな、と今更ながら想起されてきます。

バクテリアたちがホルモンのようなオートインデューサーという分子を細胞壁の外へと分泌して、仲間とコミュニケーションをしているのは良くは知られてはいませんが、少しは知られた事実でして、それで自分たちの命の危機を感じたり、仲間が増えたことを感じたりすると、バクテリア群はいっせいに別な分子を産生分泌して、外部環境にそれを放出し新たな適応をすると言います。

これが病原菌の発する毒素によって発生する症状であり、腸チフス菌の産生する毒素で腸内がかく乱され正常な生理機能が後退した事で、一族の3分の2が絶滅し、一念発起して医者になり漢方薬の精髄をつかんでそれを記したのが、漢の時代の末期に張仲景(ちょうちゅうけい)が著した漢方薬処方マニュアルのバイブル『傷寒論』であり、その急性熱性伝染病対策の処方から、昨今ひとびとを恐れさせている新型インフルエンザに麻黄湯(まおうとう)が有効であるとの発見がもたらされているのです。

この『傷寒論』(しょうかんろん)とは、傷寒(しょうかん)を論じたという意味であり、では傷寒(しょうかん)とはどんな意味かと言うと、「寒邪(かんじゃ)に傷(やぶ)られる」と単純に解釈するならば、何か寒気(さむけ)をもたらす何者か(病原菌、病原ウイルスなど)に侵入された、でイイと思われます。

ようはブルブルと寒気がした後に、高熱が出る疾患を扱ったものが『傷寒論』で、この実践的薬物処方マニュアルはその後、2000年後の今の日本漢方にあっても、新型インフルエンザに麻黄湯の如く、いまだにその精華が巧みに応用されているのです。

人智はこうして言葉、文字を介して2000年後まで重要な命を守る医療コンテンツを伝播できるのですから、たしかに素晴らしいのですが、野生のサルもまた仲間を救うためにオウレンを掘り採ることを普通にシレッと実行しているのだし、バクテリアはオートインデューサーという分子言語を介して養生法の探求みたいな事をしているのです。

ヒトが健康でありたいと願い、その探求の精華を文字にしたためて大勢の仲間とコミュニケーションする原点は、バクテリアの分子言語オートインデューサーにあるのかもしれません。

2014.03.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ ②

1929年、イギリスの細菌学者であるアレキサンダー・フレミングはブドウ球菌を無菌的に培養するのに失敗し、シャーレ内にアオカビを発生させてしまう。しかし、この失敗によりアオカビ周囲にのみ阻止円というブドウ球菌が入り込めない同心円がある事に気づいた事が、のちに抗生物質の革命的な発見へとつながっていく。そうこれが抗生剤ペニシリン発見の経緯である。

アオカビの産生する分泌物には他の細菌を殺す作用があるが、真核生物であるカビ類である真菌類も、原核生物であるバクテリアも自前の代謝産物でみずからを防衛して、自己の繁殖圏を確保し、この世の生を謳歌しているのである。

自然農を実践されている農家の方達によれば、土壌菌の世界はまさにこれら微生物、バクテリアの代謝産物により、「非」腐敗環境が成立することで、栽培植物の根毛にとっての好環境が生まれると言う。

バクテリアよりも大きさが小さい「生物と無生物の中間的な存在」と言われるウイルスは亜種を含めて現在5000万種が判明しており、そのうちヒトに危害をもたらすのは数百種であり、細菌と言われるバクテリアは未発見なものも含めると100万種が存在し、そのうちで病原菌のたぐいはペスト菌や赤痢菌、チフス菌やコレラ菌、大腸菌O157、ヘリコバクター・ピロリ、破傷風菌など50種類が知られており、真菌類のカビ類は8万種が確認され、アスペルギルス・フラバスや白癬菌、マラセチア、カンジダなどは一般にも幾らか知られている病毒性のカビと言えよう。

このように、これら微生物にはヒトに害を及ぼす種が存在することは確かであるが、ウイルスは数百種、バクテリアは50種、カビ類の幾ばくかが、有害というだけの事であり、それ以外の微生物たちは無害か、むしろヒトに有益な作用をもたらし、腸内常在菌や皮膚常在菌、発酵食品を生み出す発酵菌、土の中で植物の根毛に窒素を供給する根粒菌などの土壌菌などはよく知悉された有益な微生物であるが、自然界の元素循環に寄与する土壌菌の作用などは意外に知られていないが、これら自然環境の元素循環を促進する微生物類がいなければ、地球環境は即座に動物の死骸や植物の落ち葉やで埋まり、腐敗した堆積物で満たされてしまう事は容易に想像できる。地球環境は微生物によりホメオスタシスを保っているのである。

ロベルト・コッホ(1843~1910)による炭疽菌、結核菌、コレラ菌の相次ぐ発見、コッホ門下の北里柴三郎(1852〜1931)による破傷風菌の純培養の成功と破傷風菌をウサギに注射して抗毒素(抗体)を産生させるに端を発し、ジフテリア菌の血清療法をベーリングと共同開発するに到る「血清療法」開発の快挙、北里門下の志賀潔(1871〜1957)による赤痢菌の志賀菌の発見、フレミングによる抗生物質ペニシリンの発見1929、化学抗生剤のサルファ剤の開発、阿片からモルヒネ(1805)、キナ皮からキニーネ(1820)、煙草葉からニコチン(1821)、コーヒー豆からカフェイン(1821)、麻黄からエフェドリン1887(長井長義1845~1929)、ヤナギ樹皮からサリシンを発見(1825)し、1838年にサリシンからサリチル酸を精製し(イタリア)し、1860年にサリチル酸の合成に成功し、1897年にアセチルサリチル酸が合成され、1899年にドイツバイエル社から鎮痛剤アスピリンが販売される。

つまり、18、19世紀以降の医薬産業の発展とは、コッホや北里柴三郎らに始まる「疾病における細菌原因説」の確立と、これら病原細菌に対抗する抗生剤の開発、ならびに生薬の有効成分の単離、人工合成の恩恵に負うところが大であることは確かであろう。

現代人が崇拝してやまない西洋医学とは、18、19世紀以降の細菌学や免疫学、薬理学が発展したのちの近代医学を漠然と指すのであり、さらに20世紀に入ってのテクノロジーの進歩によるCTスキャン、MRIなど各種精密検査機器の発展をもって、白い巨塔の神話が造成されたと見なせる。

西洋医学への傾斜はここ100年ほどの思潮なのであり、それ以前の医療とは伝統医学であったのであり、1500万年前にチンパンジーと分岐し、猿人が人類の歩みを始めてからは、ヒトはみずからの本能で養生法を実践し、氷河期の寒さがゆるみ間氷期に入った1万2千年前からは定住生活を営み、文化文明を発達させながら伝統医学を発展させていったのである。

世界の三大伝統医学とはギリシャ医学、インド医学、中国医学を言う。

欧州で19世紀以降に華開いた西洋医学のもとはアラブ医学であり、アラブ医学はギリシャ医学の影響を受けている。グローバルな支配層が忌み嫌うイスラム文化によりアラブ医学が生まれ、そのアラブ医学の発展のお陰で「EU圏医学」が産声をあげることができたのだ。

中国医学はインド医学やアラブ医学の叡智を包含しつつ独自の発展を遂げて、やがて韓医学となり、日本漢方、日本鍼灸へとその中医学の遺伝子が転写される。

西洋医学と東洋医学という二項対立の図式からは決して見えない、原始医学、人類医学の「集合→融合→分化発展」のプロセスが、伝統医学の伝承を追うと見えてくる。

私たちは明治維新前の前近代の日本の、世界の医学史など何も知らないのだ。

それなのに、簡単に鍼灸指圧を「胡散臭い」とイメージする。

無知ほど罪なものはなく、無知ほど損なものはない。

無知なりに、ルーツに迫ります。

2014.03.13 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

ルーツ

「余の祖は聶久吾先生の教えを承け、種痘箕裘、すでに数代を経りぬ」
(『種痘新書』張琰・撰 清時代1741年)

この文言は、

「よのそはジョウキュウゴせんせいのおしえをうけ、しゅとうききゅう、すでにすうだいをへりぬ」と読み下せて、

意味は

「天然痘ウイルスの感染によって罹患する疾患が天然痘であり、かつて18世紀まで、世界中で猛威を振るっていたウイルス性疾患が天然痘であり、このウイルスは気道分泌物の飛沫感染でヒトからヒトへと伝播するほかに、水疱やカサブタとの直接接触でも感染し、この天然痘ウイルスに感染すると、頭痛や発熱、腰痛が起こり、その後に発疹が現れて、発疹は大きく水疱化して瘡(かさ)になり、やがて呼吸器の細胞内にまで天然痘ウイルスが侵蝕すると重篤な呼吸不全が起こり死に至る、ほど恐ろしいのが痘瘡(とうそう)や疱瘡(ほうそう)とも呼ばれる天然痘というウイルス性疾患であるが、

私の祖先は聶久吾先生から天然痘をあらかじめ防ぐための方法、つまりは、ヒトではないが牛に感染する牛痘ウイルスに感染した牛の世話などをしていて、うっかりそのウシから牛痘ウイルスに感染してしまった牛飼いが、その後になってヒトに感染する天然痘ウイルスに感染して天然痘になった場合に症状が軽く死ぬことはないことを知ったイギリスの医師ジェンナーが、1796年になってようやく開発に成功し天然痘ウイルスの撲滅に成功したあの牛痘ウイルスを含むウシの膿(うみ)をヒトに接種する種痘接種法、牛痘ウイルスはワクシニアウイルスと呼び、この言葉がワクチンの語源であるのだが、ようは現代で言う天然痘ワクチン療法を聶久吾先生から教えてもらい、すでに種痘箕裘(しゅとうききゅう)つまり、すでに数代に渡ってウチらの祖先がこの天然痘ワクチン療法で人々を救ってきたのだ」

となりましょう。

世界保険機構(WHO)が天然痘の根絶を宣言したのが1980年。

そのグローバルな世界宣言をさかのぼる239年前に書かれた『種痘新書』という中医学の書物の言葉が冒頭の言。

私たちはいったいこの事実から何を学ぶのか?

近代化された後の日本において、いつも文化文物は西洋からもたらされるものと洗脳されてきた。

明治維新をいまだに文明開化と思いこんでいるお目出度い日本人がいまの時代にどのくらいいるのか?は知るよしもないが、明治以前にも日本には世界に誇る文明があったのは、ほんの少しの想像力を働かせればわかることであり、いや、明治以前のほうがよほど質の高い文明が日本に栄えていたことは、それなりの書物に触れれば簡単に理解できてくる。

明治16年(西暦1883年)頃を境に、日本の医療制度は大幅に改悪され、西洋医学を学んだ者のみが医師と標榜できるとする法律の整備をもって、西暦450年頃に渡来して以降1500年間、わが国の民の身心を、はぐくみ救い看取ってきた日本鍼灸、日本漢方、日本按摩、日本指圧は、医療の埒外であるパラメディカルの領域へと堕落させられ、今に至る。

明治維新の医療制度改悪の後の130年間の日本医学界の迷走は、年々かさみ今や年間医療費が40兆円にも迫る事実をもって推して知るべしであろう。

自治的な医療が剥奪され、「知らしむべからずよらしむべし」の他力本願な専門家依存の市場原理主義マーケティング医療の席巻によって、日本に伝承された「自分のからだは自分でまもる」養生(ようじょう、ようせい)の文化も枯渇して久しい。

巷間イメージされる鍼灸指圧とは「胡散臭い医療」であるそうだ。

私たちの祖先は確実に労苦で生じた筋肉痛を鍼治療で取り除き、酒の飲み過ぎで患った肝障害を漢方薬で治し、逆子は「逆子返しの鍼灸」で正位に復し、難産は「難産の鍼灸」で安産となり、松尾芭蕉は奥の細道へと向かう前にあらかじめ足の三里に灸を据えてヒートショックプロテインによるアダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)なボディへと変身し、江戸からのお伊勢参りの道中で旅人たちは、そこかしこの旅籠(はたご)に常駐する按摩(あんま)の手に揉みしだかれて疲れを癒し、「てはふるう あしはよろける ははぬける みみはきこえず めはうとくなる」老人となっても寿命が尽くるまでは、鍼灸指圧、漢方薬で看取られて健やかな大往生を遂げたのである。

日本民族を愛しその身心を治療し続けた日本の東洋医学は、現代においてほとんどの日本人からソッポを向かれ、ツバを吐きかけられる存在に成り果てている。

愛がないよね、いまの日本人って!

明治以前の自分たち祖先が、中国、韓国を経由して伝来しその後わが国で洗練された日本の鍼灸指圧治療でどれだけ救われてきたのか?

いままでまったくそんな事、思いもよらなかったでしょ?

でもね、俺たち祖先は、ずっと日本の東洋医学で救われ、癒されてきたの。

もっと足元を見ようよ!

ルーツと題し、思いの丈を打ち込みます。

2014.03.11 | | コメント(5) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

エンタングル ⑳

「気・キ」とは何か?という命題をネタに、エンタングルというタイトルのシリーズを始めて、今回で20回目です。

後半は中医学の書物から幾つかの言葉を引用したので、私的には少し手抜きというか、楽(らく)をしてしまった感じがありまして、それゆえに前記事では、自分の世界観を全面に押し出してみました。

さて、私がこの鍼灸業という仕事に就いて、20年余の間、様々な体験をし、しみじみ思うのは、なぜ、これほどまでに日本の東洋医学は蔑視され、鍼灸師は社会的地位が低く見られるのか?ということでした。

世の中はいつも現代医学を崇拝する一方、東洋医学はいつも二番手で、いや二番手でもない医療コミュニティーのピラミッドの最底辺、いや最底辺ですらなく、むしろ医療の周辺、パラメディカルと位置づけられ、それに甘んじている業界が、日本の東洋医学界の真の姿でありました。

このような感想は屈折したコンプレックスから来る感情ではなく、冷静にクールに客観的に分析したうえで、やはりそう思わざるを得ません。

先日も、昨年から常連さんになってくれた患者さんとこんな会話をしました。

「こうやって定期的に鍼灸治療をやってみれば、あの痛くてここまでしか上がらなかった四十肩の腕がわずか数回の治療で、痛みもなくスッと完全に上まで上がるようになって、それからずっと痛くなることがない。ほんとスゲエ効くのに、それまでは整形行ったりして時間の浪費をして、もしも親戚筋になるココを知らなかったら、今もまだ医者巡りをしてたと思う。でもね、やっぱ、鍼灸のことなんかなんにも知らなかったから、最初はどうも胡散臭いと思ってた」

「それね、絶対に、その通りなの!別に胡散臭いに反発するわけでもなんでもなくてね、むしろ、うちら業界人はさ、そういう声を真摯に受け止めるべきなの。ようはね、今の普通の日本人の99.9%の人はね、鍼灸の何たるか?とか、日本の明治維新前の医療が何であったのか?とか、いったいいつ頃から鍼灸医療が日本で行われていたのか?とかね、そういう前近代の医療の記憶を完全に喪失してるし、鍼灸のイメージと言えば、古くさい医学で、なにやってるのかサッパリわかんなくて、その治効メカニズムたるや、まったく人口に膾炙していないという現実があってね。じゃあ、この『マイナス10000レベル東洋医学コンテンツ欠落脳状態』をね、いかに『プラス1兆鍼灸ラブだぜ脳状態』までもっていくかという闘争をね、じゃあ誰かこの業界の人間がやってるか?というとね、どうも誰もやっていないような気がするわけ。でね、自分はもう完全にこの業界に見切りをつけて、個人戦と開き直って、ブログで好き勝手にガンガン言いたいこと、言ってるんだけど、意外に受けがイイというか、実は鍼灸院に行きだした、なんて言ってくれる読者も出て来てね、俺的にはけっこう革命だと思ってる」

実は「気」という用語にまとわりつく胡散臭さを払拭したかったのが本シリーズでした。この気という言葉によって、どれほど自分達は貶(おとし)められてきたのか?そして、どれほど救われてきたのか?

安易に中医学をまったく知らない詐欺師の連中が「気」という言葉をもてあそぶばかりに、これまでどれほど東洋医学の信用が地に堕ち、踏みにじられてきたのか!

気というワードには私の率直な好悪相半ばするアンヴィヴァレントな感情が渦巻いているのでした。

このシリーズを始めた当初はね、気の科学的側面を紹介して、今までの気に対する胡散臭いイメージをひっくり返そうと思ってたの。でもね、何でか書き進めるうちに、そんな事はもうどうでも良くなって、気という言葉の秘める豊穣な世界観に魅了されていく自分がいたのです。

もしかしたら気という言葉を通して、現代文明を批判し、新たな価値観すら提言できるのではないか?そんな可能性すら見えてきてしまったのです。

そう私の中に醸成されていた気という言葉を嫌悪する幾ばくかの思いは、本シリーズを通してキレイに解毒されました。

気は巷間イメージされる、ヒトを触れずして飛ばす得体の知れない物理エネルギーではないのです。それは、ほんの「客寄せパンダ」な大道芸に過ぎません。

中医学において、気という言葉はあらゆる領域に登場します。それは今の生理学用語に変換すれば、ミトコンドリアそのものであったり、ミトコンドリアが産生するATPであったり、あるいは腸内常在菌の仕事を表現している場合もあり、またホルモンやサイトカインや情報伝達物質やの生理活性物質と呼ばれるリガンド(シグナル分子)を気と表現している場合もあるし、DNAの遺伝子機能であるセントラルドグマ、DNAそのもの、赤血球や白血球、血小板、ヒートショックプロテインというストレス防御タンパク質、セントラルドグマで生み出されるすべてのタンパク質もまた気の部類に属し、細胞内浄化機構のオートファジー、皮膚常在菌のバリア機構、細胞のイオンレベルでの電気現象を気の作用と表現していることもあろうし、60兆個の細胞による高次構造を維持する統合的働きそのものを真気(しんき)あるいは、元気(げんき)などと呼んでいる節も見られます。

ようはヒトの生命現象をすべて気という用語を用いて説明しているのが、中医学と言えるのです。

解剖学はむろん発達していましたが、まだ電子顕微鏡などない時代の中国古代の鍼医たちは、死体解剖ではなく生身の生きた人間の生理現象、病理現象に立ち向かい、3500年ほどかけて中医学体系を創り上げました。

そこには、まだ命をカネに変換する市場原理主義のマネー医学の影など微塵も見られず、ただ、ありのままに素直に生きたヒトの生理を捉えていった医学が中医学であったのであり、それはインド医学も、アラブ医学も、ギリシャ医学も、ウイグル医学もまた同様に、真っ正直な医学だったのです。

伝統医学こそが、真にヒトを健康にする叡智を擁した医学でありました。

何気なく近所のパパ友が「なんか胡散臭いもんね」と放ったその言葉、また、ある特養施設で99歳の老婆の肩をさすりながら「生まれてはじめてこういう治療を受ける」と耳にしたあの言葉、この2つの言葉が私の鼓膜を振るわせた振動は電気信号となって脳内へと伝達され、私の前頭葉で培養された後にひとつの決心へと発酵が進みました。

「完全に枯れてしまった日本の養生文化をいかにして復活させ、もう一度芽吹かせ、花を咲かせ、実を結ばせるか?」

この思いが、わたしの原点、原動力となっています。

日本の医療が崩壊の危機を迎えているとは良く耳にする言葉ですが、とっくに日本の養生文化は危機を迎え、いや完全に死滅しておりました。

しか〜し、しかし、それではイカン!と、たったひとりで闘争を始めたドンキホーテこそが、わたくしハリィ〜今村ことアヴァンギャルド鍼灸師であったのです。

3.11後の医療とは、自力で自分の健康を勝ち取る養生法を実践する、に尽きます。

そのための提言をして、はや3年。

ついに200余名ものフォロワーの皆様が味方になる運動へと昇華されました。

ここまでの本ブログのご愛読に多大なる感謝を申しあげます。

今後とも、日本の東洋医学の啓蒙と、養生法の探求の提言に邁進しますので、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。

「気は何なのか?」って?

それは、人類すべてへの古代中医たちからの宿題でしょう。

ひとり、ひとりで、自分の答えを見つける楽しみを私が奪うわけにはまいりません。

そっ、気は気なのです。

月にウサギがいると思っていた時代の方がむしろ、ヒトはヒトに、いや、すべてに優しかった気がします。

気の何たるか?が完全に科学的に解明されれば、もっともっとヒトは傲慢になり増長し、我が物顔で地球環境を破壊するイヤな存在になってしまうのかもしれません。

気は未知なる神秘のエネルギーでも、いいじゃないですか。

フォースと共に。

気はあなたのすべてです。

2014.03.10 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑲

嫌気性バクテリアの性格を帯び、その頭部と尾部のあいだ中片部に数百匹しか棲息しないミトコンドリアが生み出すATPを利用して子宮内を全速力で疾走していく精子が、卵管に放出され、まろまろとたゆとう好気性バクテリアの性質をもつミトコンドリア10万個を抱えた巨大な卵子と、卵管においてランデブーしドッキングすると、受精した精子のミトコンドリアは卵子の分解酵素ですべて分解されてしまい、その後は卵子のミトコンドリアが元となり胎児のミトコンドリアが産生されていく。これがミトコンドリアの母系遺伝であり、つまりは、ヒトの真気(しんき)、先天の精とは母なる一気、母の受精卵ミトコンドリアによって生み出されていく、と言えようか。

中医学が設定した人体の「気」構造の基本ユニットは、まず、父と母から受け継いだ先天の気(せんてんのき)が合わさって元気(げんき)である真気(しんき)が凝結して、胎児の原初の気、原気(げんき)が生じるとする。

受精卵の中心で、父と母のDNA鎖がそれぞれ1本ずつ螺旋状に絡み合い、二本鎖のDNAとなって胎児のDNAがセットアップされる事には依存はないが、冒頭の通り、ミトコンドリアに関して言えば、ヒトミトコンドリアは、母から子へと、母のミトコンドリアが継承されていくのである。

子宮の微絨毛の絨毯のうえで母の腸管造血で生み出された赤血球を養分として育まれた胎児は、やがて出産されて外界へ放たれると、肺においてみずからの赤血球のヘモグロビンタンパク質の鉄元素に酸素を付着させるため、肺呼吸を開始する。

この最初の外呼吸こそがあの「おぎゃ〜、おぎゃ〜」と泣く、呱々(ここ)の声なのである。妻の出産に立ち合い、鼓膜をジーンと振るわせた我が子の産声、まるで自分が出産でもしたように安堵したあの声を聞いた感動は、今も私の全細胞の細胞膜に深く刻まれている。

赤血球を構成するタンパク分子であるヘモグロビンの中心元素である鉄元素が、酸素を吸着するキレート剤となることで、赤血球に酸素が乗せられ、赤血球が肺で酸素を受け取り心臓の左心室を飛び出して、毛細血管51億本を含む地球2周半9万6000キロを約22秒間で駆け巡りながら、全身60兆個の細胞内に棲む母から母へと受け継がれた貴いミトコンドリア1京8000兆個へと酸素を渡すと、

ミトコンドリア宇宙内においては、細胞質の解糖系で10の酵素反応を経てグルコースが分解されたアセチルCoAのアセチル基がミトコンドリア内のクエン酸回路に入りクエン酸に変換されてTCA回路が回転しだし、そこで電子伝達系の酸化還元反応の燃料であるNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やFADH2(フラビンアデニンジヌクレオチド)などが産生され、

ようやく電子伝達系の酸化的リン酸化(内呼吸)が始まり、ミトコンドリアに取りこまれた酸素の電子もここで回収されて、イオン化した1個の酸素は2個の水素と結合して水が生じ、最終的にミトコンドリア内膜外側の廊下に立たされて勢揃いしていたプロトン(水素イオン)の子供たちは、電位差によってまた教室内である内膜中心部へ戻りたくなって「ワーッ」とプロトンが駆け出す力でATP合成酵素がクルクルと回転すると、

1秒間に40回転して、毎秒120分子のATPがひとつのATP合成酵素でポンポンポンッと生み出され、全身のミトコンドリアからは1日量では体重の1.4倍量ものATPが産生され、毎瞬間、筋運動や脳神経活動に利用されることで、健やかな生が養われる。

つまりヒトとはミトコンドリアが生み出すATP宇宙の回転力により成り立つ存在なのだ。

重力負荷が軽い母体宇宙の羊水に浮かび、母の丹田付近でまどろみながら、形態学者エルンスト・ヘッケルが言う「個体発生は系統発生を繰り返す」地球生命史38億年をなぞる280日のグレートジャーニーを経て、宇宙の収縮と弛緩の動力学(キネティクス)の旋律に導かれ、産道の浜辺から地上の岸辺へと到達した1個のヒトタンパク宇宙。

私たち人間とはまさに重層宇宙の狭間における一瞬の動的ゆらめきなのかもしれない。

気の力とは、宇宙の織りなす無限なる営みのすべて、ではなかろうか。

2014.03.09 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑱

いわゆる病気を引き起こす原因を病因(びょういん)と言うが、中医学では同じ意味を、致病素因(ちびょうそいん)とか病原(びょうげん)とも表現する。

中医学で病因とするものは、①六淫(風寒暑湿燥熱)、②疫癘(疫病)、③七情(喜怒憂思悲恐驚)、④飲食不適(飢餓と過食)、⑤労逸失当(労苦と安逸の乱れ)、⑥外傷及び痰飲と瘀血(病的生理の産物であるが病原ともなる代謝産物の痰などの分泌物と、変性した血液成分)とされ、

⑥の痰飲(たんいん)と瘀血(おけつ)を除いたものが原発性の病因、つまり直接的な致病素因ということになる。

ただ思いだして欲しいのは、これらの病的要因がたとえ多くあって、邪気(じゃき)がこれでもかと攻め込んできても、こちらの正気(せいき)が充実していれば病(やまい)には到らないということである。

①六淫(ろくいん)の淫(いん)とはイヤラシイという意味ではなく、通常とは違うイレギュラーな状態というくらいの意味であり、例えば季節はずれの冷たい風に当たって風邪をひいた、という場合の風が六淫の邪気に相当する、などと説明できましょう。

②疫癘は「えきれい」と読み、疫病(えきびょう)つまりは「はやりやまい」、流行病、感染症のことで、今で言えばインフルエンザとかマラリアとかコレラとかペストとかチフスとかノロなど、微生物の媒介によって多数の者が同時に同じ症状を発症するタイプの疾患を、すでに古代の中医たちは、普通の風邪などとは別種の疾病であると認識しており、

「それ温疫(おんえき・うんえき)の邪の病を為すは、風に非ず、暑に非ず、湿に非ず、すなわち天地の間、別に一種の異気ありて感ずる所、邪は口鼻より入る」
              『温疫論』(呉有性・著 明時代1642年)

と分析し、さらに同じ書において

「この気の来るや、労少強弱を論ずるなく、これに触れる者はすなわち病む、邪の着く所、天受あり、伝染あり、感ずる所は殊(こと)なるといえども、其病は則ち一つなり」と言い、

「衆人これに触れるものは、各々其気に随って諸病を為す」と記述されている。

まだ電子顕微鏡などなかった時代に、すでにウイルス性疾患を区別して分類していた中医学の先見性、そして、それぞれの微生物性疾患の呈する症候に適応する処方を独自に編み出していった中医たちの治病への熱意には、今更ながら頭が下がります。

近年、季節性インフルエンザに生薬(しょうやく)の一つである麻黄(まおう)を含む麻黄湯(まおうとう)が有効であるとの報告が見られましたが、この発見などは中医学2000年の叡智のほんのピンハネと言わねばならないでしょう。

その麻黄の有効成分エフェドリンがもたらす発汗解熱の効能により、古代中国の民衆もまたインフル的疫癘(えきれい)から救われてきたのです。

ある中国の書によれば、16世紀当時すでに中国では種痘の人工接種が普通に行われており、もしもこれが事実なら、英医師エドワード・ジェンナー(1749〜1823)に先駆ける200年早いワクチン療法が、中医学において先行していたことになります。

とかく、古くさく、胡散臭いと思われる東洋医学ですが、このようにつぶさに歴史的な事実を拾い上げれば、決して巷間イメージされる古色蒼然とした雰囲気は払拭されるでしょう。

わたしたちは、いつもグローバルな洗脳の網の目に絡め取られているのです。

西洋医学だけがメインではありません。いな、アジアに棲まう民にとって、東洋医学こそがメインであるはずなのです。

近代化の名のもとに、前近代の医の宝を捨ててしまった近代人は、そろそろ自分たちの愚かさを反省する時期が来ているのではないでしょうか。

最悪の疫癘病(えきれいびょう)こそが放射性同位元素による内部被曝です。

さて、麻黄ならぬ多糖で体内に正気(ヒートショックプロテイン)を満たし、内部被曝疫癘病に打ち勝っていきます。

2014.03.08 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑰

「現職官僚と話す機会があって、なぜこの国は被曝防御の体制を敷かないのか?と質問したら、返ってきた言葉が「年金対策」で、早い話しが、年寄りがドンドン死滅すれば、年金を支給しなくて済むから例え税収が減り続けても、自分達の給料分くらいは国庫に確保できると。で、子供たちから先に死んでいくぞ、と言い返したら、「上の連中はそこまで気にしてはいない」と返答されて、唖然とした」

先日、こんな感じの情報がツイッターに流れた。腹が立つというよりも、実に合点がいく問答であると感心した。あの3.11直後にラジオでは時の現役大臣が「なぜ被爆地の子供達を疎開避難させないのか?」と問いただされ、うっかり「カネがないから」と本音で答えたのと、まったく同じ心理構造である。実はカネなど無尽蔵とはいえないまでも、まだ探せばいくらでもあるのだが、それはさておき、ようはこの国はすでに「命よりカネ」の国家体制にシフトしてしまっているということなのだ。

私は3月12日の福島第一原発1号機の水蒸気爆発の瞬間映像を見た時に、脊髄から手先まで冷たくなる戦慄を覚え、「国家非常事態宣言」を発布し、直ちにすべての国民の命を放射能から守る体制へと国家の総力を挙げよ!と友人のブログへとメッセージを刻んだが、もちろん、こんな底辺の庶民のうめき声が国家中枢に届くことはなく、あろうことか、この国の時の首相は、そのまさにその時、まず避難させるべき国民を自衛隊や民間の輸送機で輸送すべき最中に、放射能が噴き上げる原発の真上へとヘリコプターで遊覧飛行と洒落込んでいたのだ。

わが国の先人達が丹誠を込めて守ってきた自然豊かな国土と、江戸期に育まれた情愛の深い国民性は、まさに2011年、3月11日をもって消滅終焉し、国土は焼け野原ならぬ放射能汚染地帯と化し、国家の上の連中は守銭奴と化し、国家の底辺に生きる者は見ざる、言わざる、聞かざるの羊の群れと成り果ててしまったように見える。

この国を破滅に追い込んだ汚染戦犯は20人をくだらないそうだが、某電力会社の首魁たちは中東はドバイで悠々自適な脱走ライフを楽しみ、時の政治家や官僚は何食わぬ顔で今も嬉々として生を謳歌しているようである。

私は3.11直後から今の今まで、医療者である自分の立ち位置を自覚し、内部被曝を防御するための未病治の情報をいち早く国民に知らせ、いかに実践させるか?の運動を個人的に展開してきた。まったくの個人戦であったが、それはそれで良かったと思うし、ここまで情報発信に勤しんだ事は医療者のあり方としては、及第点は与えられるだろうと自負している。

国家がどうのこうのと言う前に、まずは自分の健康なのだ!それがあってはじめてすべてがある。自分という存在を失っては何もないに等しい。父母の貴い腎気(じんき)が融合し、ひとえのDNAがふたえに編まれて螺旋に巻かれて初めて受精卵の中心で先天の元気が誕生した。この真気のかたまりである受精卵が母親が食べた水穀の気を受けて作られた血気をもとに細胞数を増やしていき、羊水の中でまどろみながら生命史38億年を反芻し十月十日を経ると、ヒトのなりをしたミニチュア「赤ちゃん」が生まれる。

ここにある生は始原なる母体宇宙で原気を育まれ、命を授かったのだ。地球に生きる人類はひとりとて例外なく、母なる宇宙と父なる宇宙の先天の精から創生されたかけがえのない存在である。

そのかけがえのない60億の生命が今まさに放射性同位元素という強毒性の邪気にさいなまれ、多くが健康被害に苦しむ状況へと至りつつある。いかにして、地球史最強の邪気である放射能に立ち向かうのか?

放射性同位元素による内部被曝がもたらす邪(よこしま)な作用には、2つの特徴があり、①ひとつは放射線の強い電離作用により先天の精であるDNAが分断障害されるジノトキシック(遺伝子毒)作用であり、②もうひとつはこの電離作用によって体内の分子や元素の電子が吹き飛ばされてイオン化してしまい、分子間の安定したネットワークが寸断されて活性酸素やフリーラジカルと呼ばれる酸化物質が増大してしまう酸化毒作用である。

この遺伝子毒作用と酸化毒作用に打ち勝つ正気を確保することが3.11後の「いまだやまいならざる」先手必勝の養生法ということである。

放射性同位元素をつまみだしデトックスするキレート食材の摂取、酸化毒に対抗する抗酸化物質を豊富に含む食材の摂取、電離作用で変性したタンパク分子を修復するヒートショックプロテインを分泌させる鍼灸指圧をはじめとする優れた代替医療の実践、特に傷ついたDNAを修復し、強力な細胞保護作用をもつヒートショックプロテインHSP70を分泌させることや、体温上昇によって濃度が上昇する抗酸化のヒートショックプロテインHSP32などを味方につけることは有効な内部被曝対策となる。

新種の最凶の邪気(じゃき)である放射性同位元素に対抗する正気(せいき)は、生命誕生いらい38億年間ずっと生命体を守り続けたヒートショックプロテインであることは肝に銘じておいて欲しい。

正気の消失した状態を虚(きょ)とも言うが、この正気の空隙状態である虚に乗じて邪気は侵入する。もしも正気が旺盛で充溢していたならば邪気は侵入することはできない。

汝の正気をいかに元気にしておくか?それこそが3.11後の養生法のキモとなる。

中医学でもこんな解説がなされている↓



「虚を百病の由と為す。正気盛んなる者、強邪有るといえども、亦感ずる能わず、感ずれども亦必ず軽し、故に多くは病なく、病みて亦癒え易し。正気弱き者は、たとい微邪といえども、襲われ易く、襲われば必ず重し、故に最も多病にして、病めば亦痊(なお)り難し。」     
                 (『錦囊秘録』馮兆張・著 清時代1702年)

実に味わい深い言葉です。

2014.03.07 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑯

邪気(じゃき)という言葉はいわゆる霊気(れいき)というか、何か得体の知れない邪(よこしま)なエネルギー体とか、邪気が憑いているなんて風にまるで呪いでも付着しているような使い方がされているようにも見受けられる。

ようは邪気なる用語は、霊障(れいしょう)なんて言葉と同様にスピリチュアルな領域と親和性があるようで、その手の詐欺師にも利用されやすい。

そんな状況をとても見苦しく思っていたので、あえて今までは真正面から邪気を取り上げたり、気問答を継続しなかった。

しかし、時期が来たのでこうしてシリーズが開始できて、喜ばしく思っている。

邪気という言葉は分子レベルな細胞生理学が発達していなかった古代において、古代人が想像で作り上げた病因の総称なのであり、分子栄養学が発達していなかった古代に食物の栄養素を「水穀(谷)の気・スイコクノキ」と呼んだのと同じく、まったくもって、ようは科学用語に変換がいくらでも可能な言葉が邪気なのです。

例えば風邪(ふうじゃ)という邪気などは、単なる自然現象というか気圧の変化により生じる大気の流動である風(かぜ)の事を言っているに過ぎないのですが、単なるカゼも「内因」である七情に乱れが生じた場合には、邪気となって背中の風門(ふうもん)というツボあたりから体内に侵入して熱病を発生させると、中医学では教えているのです。

「馬鹿は風邪を引かない」という巷間よく聞かれるフレーズの馬鹿とは、七情に乱れがない人間というか、鈍感というか、センシティブでないというか、デリカシーがないというか、そういう気が回らない頭の悪い野郎は気が回らないだけに精神的なストレスを感じない脳天気な馬鹿ということであり、そんな脳天気な馬鹿であるなら七情が乱れることはまずないから、馬鹿は風邪を引かないということになるということなのです。

まあ、馬鹿はそれでもいいんだけど、周りが迷惑をこうむって、周辺の者が気を使いすぎて心労で風邪ばっか引いてるなんて事になるから、馬鹿という邪気に対抗するには、あんまりセンシティブで気弱で優しすぎでもイケナイね。

図太いセンシティブが理想かもしれない、って図太ければセンシティブじゃあないね。

ヒトが健康であるとはひと言で言えば「ヒトのタンパク質が健康である」ということであり、ヒトのタンパク質が健康であるとは「タンパク質の形や機能が正しい状態にある」ということであり、正しいタンパク質を維持するには変性したタンパク質を修復し保守管理するストレス防御タンパク質のヒートショックプロテインが常に分泌されている、が正しいとなる。

清く正しいタンパクライフを送るには、常にヒートショックプロテイン濃度の高いライフスタイルを実践していく。

邪気とは、つまりはヒトタンパク質を変性させる因子の総称なのであり、気圧、気候の変動に始まり、放射線、紫外線、重金属、活性酸素、ウイルス、病原菌、化学物質、薬物、食品添加物、遺伝子組み換え食材、排気ガス、工場煤煙、高熱、極寒、圧力、天変地異、外傷、怪我、精神の変動など、あらゆる内外のストレッサーはすべて分子レベルにおけるタンパク分子を変性させるストレッサーとなる。

この分子レベルにおけるタンパク分子を傷つけるストレッサーこそが邪気の本体であり、癌をはじめ四百四病はみな邪気の産物というわけなのだ。

邪気の大親分が言ってみればガン細胞なのであり、邪気に適応して対抗して作られた防護壁がガン細胞なので「ガンは敵ではなく味方であり仲間」ではあるけれど、癌はできてみるとこれはかなりの厄介者というか、病巣が大きく成長するまでに至ると、やはり一大事であり、いわゆる「癌ボディ」と私が呼ぶ60兆個の細胞内が乳酸タンパク質という凝り物質で満たされた身体にまでなると、最早、そう簡単には可塑性(かそせい)のある柔らかい身体に戻せない。

私はガンのステージが上がって、ガンが深まった身体の恐ろしさを知るからこそガンへの畏敬の念を込めて「ガンは敵ではなく味方であり仲間」と言い続けているのであり、なにも「ガンと友達になろう」とか「今や国民の2人に1人がガンになる時代だからガンになってもいいんだよ」などと、どこぞの国の原発推進広報医がほざくのと、自分が同じ仲間と思ってもらっては困ります。

ガンほど恐ろしいものはない、いな、ガンが進んだ身体ほど固い身体はない、が正直な気持ちであり、ガンなどに決してならないために、あらかじめ、あらゆる「いまだやまいならざる」未病治の方策、養生法を提言し続けている、というわけなのです。

邪気や邪気の結果生み出されたガンに対抗する正気(せいき)は探せば、あなたの身心の内部、周辺にはたくさん、たくさん、ほんとうにたくさん、あるんですよ。

その筆頭がヒートショックプロテイン!であり、NK細胞やマクロファージやT細胞や樹状細胞やの免疫細胞であり、βエンドルフィンやエンケファリンやダイノルフィンなどの脳内オピオイドであり、プロスタグランジンなどの生理活性物質であり、小腸丹田で日々、毎食後に生み出される赤血球などなど、であるのです。

「ひとはみずからの内に百人の名医をもつ」 by ヒポクラテス

誰にも頼らずとも、うちなるカリスマドクターに任せればヒトは健康でいられるはずなのです。

邪気を吹き飛ばす、正気に満ちた養生を心がけましょう!



「邪の字は人身の正気に対して言うなり」『研経言』(莫枚士・著 1856年)

2014.03.06 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑮

1994年に3人の探検家によって発見された3万2千年前の人類が描いたと言われる南仏ショーヴェ洞窟壁画。300点に及ぶ様々な動物を活写したアートは現代人にある種のカルチャーショックを与えるほどに鮮烈な印象をもたらす。馬の輪郭には迷いが無く、そのわずかにずらしながら重ねるように描かれたライオンの群像はまるで動いているように見え、アニメーションの原点をそこに見いだす者さえいる。そう、あの漫画「北斗の拳」の手がいっぱい書かれたあの描き方を彷彿とさせる。

熊の骨が祭壇のような岩に残っていたことから、何か儀式めいた祭祀が洞窟内で執り行われていたとも予想されている。自分が描いたのだ!とでも主張するように、吹き墨の手法で手形を残した作者たち。その手形から「気」を放つ彼ら旧石器時代の絵描きたちは、なにゆえに動物たちを描き記録しようとしたのだろうか?

中医学がまとまった文字情報として体系化されたのは前漢時代と言われるが、これには漢字の成立が大きく関わっている。医学情報を共通認識するためのツール、「文字」が発達したことで、万人がその情報を享受できるようになり、次代へと大切な医療情報を伝播していくことが可能となった。

古代中国人は、文字によりみずからの歴史を記録していくことに異常なまでの執念を持っていた「記録の民」であったという。そのお陰で今もこうして、私は2000有余年前の中国医学を学ぶことができるのだ。彼ら中国古代人たちの記録への執念には感謝せねばならない。

1972年に湖南省・長沙は馬王堆墳墓から出土した絹の布に描かれた44体のエクササイズポーズ画「馬王堆古導引図」は、2000年前当時の中国人の健康ブームを知る上で、またとない資料である。いささかユーモラスな仕草で、様々なポーズを取り、こちらを見据えるモデルたちは、今現在も変わらない現代人の健康志向を、なかば呆れて見ているか、もしくは、微笑ましく感じていることだろう。ショーヴェ洞窟壁画の動物たちよりはグッと年代は降るが、ここにも記録による情報伝播の恩恵が見られる。

現代科学は精巧な観測機器を駆使し、多くの未知の生命知の扉を開いてきた。そのお陰で今では私たち現代人は、人体が細胞という小さなユニットが60兆個も集合した存在であることを常識とし、その60兆個の細胞内には中心核と呼ばれる球状の装置があり、その中には伸ばすと2メートルになるDNAの二重鎖が仕舞われていて、そのDNA上のわずか0.5%の遺伝子が起動してセントラルドグマにより正常なタンパク質が正常に作られることで健康が維持できることも知っているし、

その他の細胞内小器官で有名なミトコンドリアという12億年前に嫌気性バクテリアの細胞内に共生した好気性バクテリアのαプロテオ細菌を起源にもつ共生体によって、グルコースの分解を経たアセチルCoAや、アミノ酸や脂肪酸を原料に解糖系の19倍量のATPが生みだされて、このATP、アデノシン三リン酸という分子によって、ヒトは脳内コンテンツを起動して情報処理ができ、アクチンとミオシンというタンパク質筋繊維を滑らせて筋肉の収縮弛緩の活動を営み、生殖細胞を混ぜる生殖活動に励むことで次世代へと命をつなぐ行為を続けてきた、ことも既に知悉している。

科学がもたらした恩恵は計り知れない。しかし、もしも、こんな精密な生命科学の知識が無かった時代、そうアルタミラやラスコーやショーヴェの洞窟壁画を描いた旧石器人類や、2000年前の気功の原点的な運動法に勤しんでいた中国一般大衆が、病に苦しむ者を助けたいと思ったり、赤ん坊の出産に遭遇したり、ライオンに襲われて内臓が飛び出して若い命が失われていく様をまじまじと見届けた時、

つまり「命とは何か?」という根源的な哲学的命題に立ち向かった時、その身心の内部から立ち上がったインスピレーションは記録したいという衝動へと移行し、指先の絵筆へとATPのベクトルが向かったことだろう。その成果こそが、ライオンの群像であり、導引図の絹絵であり、中医学の二大聖典「素門」「霊枢」であったと言える。

中国古代人は「気」という用語をもって、今で言うミトコンドリアが主に産生するATPを表現していた、と思われる節がある。

気の作用には①推動作用、②温養作用、③防御作用、④固摂作用、⑤気化作用があると中医学では教えるが、このすべてにおいてミトコンドリアやATPが関係していると見なすことが可能だ。

また、人体の気は総称して真気(しんき)と言うが、これは父母の腎気(じんき)が受精して最初、胎児の真気になるとされるので、現代医学で読み解けば腎気は生殖細胞のことを指し、またその生殖細胞の中のそれぞれ1本ずつのDNA鎖を指していると言えよう。

細胞生理学など知らなかった古代中国の鍼医たちであるが、命のありのままを観察して記録したその膨大な中医学コンテンツは、決して胡散臭いシロモノではなく、非科学の想像だけで作られた野蛮な医学観でもなく、まぎれもない命の記録であったのです。

「気は気です」の時代を経て、「気=ATP」と置き換えていくネオ中医学、いなオレ医学を私は作りたい。

それこそが現代鍼灸師に科せられた古代鍼医たちからの「気を読み解く宿題」の一大事業である。

ショーヴェ洞窟壁画を描いたクロマニヨン人たちの崇高な思想はなかなか読み解けないが、古代の鍼医たちの思惟には少しでも接近したい。

「気は人の根本なり」『難経・八難』

2014.03.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑭

チンデレラは友達のネズミから継母が毒薬を盛ってチンデレラを殺す計画があることを知らされる。そこで、どうしたら毒薬を盛られても死なないか、仲間のネズミや小鳥たちと知恵を絞り、ある方法を実行した。それは継母が毒殺に使用する毒を毎日、少しづつ摂取するというトンデモナイ方法だった。最初はほんの少しから始め、徐々に毒の量を増していき、最後には致死量まで増量してもチンデレラの細胞はびくともしなくなっていった。そして継母が渾身の毒殺計画を実行したその日、ついに致死量の毒薬を飲んでも死ななかったチンデレラは、反対に継母を追い出すことに成功した。

こんな本当は恐ろしいグリム童話ならぬ不穏なる自作珍童話をマクラに、いったい私は何を語ろうとしているのか?

実はこのチンデレラの身体を守った仕組みこそが、私が何度も触れているアダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)のメカニズムなのです。

37℃で人工培養している細胞を、いきなり45℃の培養器に移すとほぼ移された細胞は全滅するが、37℃で培養していた細胞を、はじめに42℃の培養器で慣らしておいてから45℃の培養器に移すと、ほとんどの細胞は生き残る。

水の嫌いなラットをいきなり水に浸ける「水責めの刑」にすると、そのマウスの胃壁にはたくさんの出血が見られ多くの潰瘍ができてしまう。しかし、いきなり水責めにせずに、その前に少しだけ水に浸ける弱いストレッサーを与えておくと、本格的な水責めが実行されても、胃に潰瘍がほとんどできない。

前もって弱いアルコールに浸しておいた細胞は、その後、強いアルコール濃度の酒を振りかけても容易には死滅しないように、ラットの場合も、あらかじめエタノール濃度3〜5%のビールを飲ませておくと、その後エタノール濃度10%前後の焼酎、日本酒、ウイスキーを飲ませてもラットの胃壁には潰瘍ができない。

毒薬やアルコール等のタンパク分子を変性させてしまうストレッサーに対して、いかに適応(アダプティブ)し、細胞(サイト)を保護(プロテクション)できるのか?

このアダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)のプロセスの中で、ストレッサーを記憶し、毒薬の増加に合わせて分泌量を増しながら、適応しつつ細胞を守り修復し保護し再生していく立役者こそが、ヒートショックプロテインという大宇宙から小宇宙である人身に授けられた先天の精(せんてんのせい)、真気(しんき)であったのです。

今まさに3.11後における3年目の節目を迎えようとしています。この3年間、ある者は放射能被害をなかったものとし、そんな事実があったことすら忘れようとし、それまでと同じような生活を望み、退廃的なライフスタイルを改めようとしませんでした。

しかし、ある者は現実を直視し、とてつもない過酷な状況であることをしっかりと認識し、いかにして放射性同位元素によるDNA障害を防ぎ、いかにして放射性同位元素による酸化毒に打ち勝つか、の方策を探り続け、できることをできる範囲で必死に実践し、60兆個の我が細胞を守る闘いをコツコツと実行してきました。

もちろん私は後者の部類の人間です。いやそれだけでなく、医療に携わっているのですから、むしろ内部被曝を防ぐ方策を提言する極めて重大な責務を負って参りました。

この3年間、寝食は忘れませんでしたが、片時も内部被曝を防ぐ方法を模索しない日はありませんでした。

バクテリアや植物の細胞壁に産生される糖が鎖状につながった粘性物質である多糖体は、ヒトの腸管内に侵入するとヒトの体内に存在する多糖体とは別種の多糖体、つまり「異種多糖体」として認識されるので、異物侵入とみなされ腹腔マクロファージをはじめNK細胞やNKT細胞やリンパ球や顆粒球などの免疫細胞を刺激することで、身体の免疫機構を活性化します。

また多糖体の摂取によりヒートショックプロテイン分泌が上昇することからも、異種多糖の侵入はストレッサーとして認識されているようです。

それはそのはず、病原菌やガン細胞の細胞膜多糖はマクロファージの細胞膜レセプターTLRが貪食すべき対象を認識する指標でありますので、やはり異種多糖は免疫賦活成分と言えるのです。

ネバネバヒートな養生法を実行してきた身体は、日々侵入するネバネバ異種多糖に鍛えられて、知らぬ間にチンデレラ並みの最強の「免疫強化アダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)ボディ」に生まれ変わったのです。

免疫強化アダプティブサイトプロテクションボディにリボーンし続けた者は、きっとこの困難な時代を生き延びて、次世紀の命を健やかに育む「天地共生文明」の創始者になることでしょう。

いや、そんな仲間をこれからもみんなで増やしていきましょう。

諦めないで、日々、バクテリアや植物の細胞壁多糖を摂取して、ヒートショックプロテインを分泌し続ける。

ネバネバヒートな正気(せいき)をもって、あらゆるストレッサーである邪気(じゃき)に打ち勝っていく。

3.11後の邪正闘争の覇者を目指して、これからも私は情報発信に努めます。

ヒトタンパク宇宙はヒートショックプロテインによって守られます。

ヒートショックプロテインの聖なる力こそ、氤氳(いんうん)なる原気(げんき)なり!

2014.03.04 | | コメント(3) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑬

「天地氤氳、万物化醇」『周易・系辞』

は、「てんちいんうん、ばんぶつかじゅん」と読めるようで、意味は

「氤氳(いんうん)とは雲や霧が漂うさまであり、大天地である始原宇宙が陽炎(かげろう)のような気のミストで覆われて、まるで、ザラメを機械の中心の受けに入れると温められた砂糖が糸状の霧のように周囲に広がり、木の棒でかき混ぜると砂糖のふわふわがまとわりついて綿菓子が出来あがるが如く、生命力が全宇宙にふつふつと沸騰し、プチプチとそこかしこで一斉に命の発酵、ビッグバンが起こることで万物が生まれた」

となりましょう。

隣町の吉田町のあるお肉屋さんの片隅で、休日などにお店のサービスで開放されて無料でやらせてもらえる綿菓子作りの機械があるのですが、子供達と嬉々としてスイッチを入れて、ブーンと回転が始まり唸りだして熱を帯びた機械に茶色のお砂糖の粒々を入れた転瞬の後、眼前に広がるその光景は、まさに宇宙創生の瞬間か、はたまた超新星が爆発した際に星間物質のミストが拡散し、やがて凝集して地球が誕生する様にも似て、とても面白いのです。

気一元論である古代中国哲学では、気をこの世界を構成する最も基本的な「物質」と認識し、宇宙のすべての事物は気の運動変化によって生まれる(化醇)と考えた。

すべてを相似的な構造と捉えるフラクタルな古代中国思想によって、大天地(だいてんち)である大宇宙と小天地(しょうてんち)である人体宇宙は同じ道理で運営されていると捉えたので、必然的に気は人体を構成する基本物質とされ、

「人は天地の気をもって生まれる」『素問・宝命全形論』

となり、気があってはじめてヒトは生きられるので、

「気聚まって形成る、気散じて形亡ぶ」『医門法律』 1658年(成立年代)

といい、「人体=気の綿菓子」論がすでに400年前には展開していたのです。

気という綿(わた)のような物質が肉体という棒にまとわりついているからこそヒトはヒトとしての生があるのです。

細胞核内に仕舞われたDNAという二重螺旋の棒がグルグルと回転して機能することで、生命の中心原理と言われるセントラルドグマが発動し、細胞内に新たなタンパク質が秒単位で数万個も生まれてくる。

ヒトの代謝を担うものはタンパク質であり、タンパク質が正常に機能することで生理現象が営まれている。

タンパク質はアミノ酸が重合した分子であり、このタンパク分子が集まって人体は形を成し、もしもタンパク分子が機能を失えば病気になり、すべてのタンパク分子が機能しなくなればヒトは命を失う。

「タンパク質聚まって形成る、タンパク質散じて形亡ぶ」

現代生理学で『医門法律』の一句を読み解けば、ある意味、ヒトにとっての気とはタンパク質のことと置き換えることが可能かもしれない。

タンパク質なくば成立しえない身体宇宙。その綿のようにまとわりついたタンパク分子を、いかにして常にタンパク分子たらしめるか?

「ヒトタンパク宇宙」の養生の要諦とは、言ってみればヒトのタンパク質の養生ということなのであり、タンパク質の保守管理こそが養生法の最大の眼目となる。

タンパク質の合成、修復、運搬、分解のすべてを担うタンパク質、それこそが我らがヒーロー、シャペロン分子のスーパータンパク質、ヒートショックプロテインでありました。

ヒートショックプロテインこそが免疫前駆物質、免疫賦活物質であり、ヒートショックプロテインが分泌されることで、ヒトの免疫細胞2兆個は活性化するのです。

キラー系の免疫細胞であるマクロファージ、キラーT細胞、NK細胞、NKT細胞を賦活し続ければ、日々産生されるガン細胞のすべてはその日のうちに完全に殺傷されてしまう。

無病息災、ヒートショックプロテインを味方に、無敵なボディをゲット!

合い言葉は

「ネバネバヒートな養生法」

で、よ・ろ・し・く!

2014.03.03 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑫

NK細胞の実力に開眼して、ネバネバヒートな養生法が、世界中のみなさまの健康増進に寄与する確信を得ることができて、書いている本人がいちばん喜んでいたりします。

さて、気問答の途中ですが、少し、横道に逸れてというか、ずっと気になっていた案件に光明が射し込んできたので、そのへんに言及しておきます。

「なぜ体温が上昇すると、ヒートショックプロテインが分泌され、免疫細胞が活性化するのか?」

このことがずっと頭にひっかかっておりました。それで、よくよく考えてみれば実に簡単な理屈だったと腑に落ちたわけです。

地球に生命が誕生したのは今から38億年前と言われておりますが、生命誕生時にまずどんな分子が合成されて、どんな風に原始生命体風にパッケージされたのか?はまだ諸説が混交しております。

そうではありますが、どうも生命誕生時の場所には、海底熱水噴出孔の100℃〜400℃のかなりの高温か、あるいは体内中心温度37℃〜42℃ぐらいの温泉の湯だまりの温度があったのではと言われています。

生命を特徴づけるものは「自己複製」と「代謝」であり、特に代謝に必須な物質がタンパク質酵素です。

しかし、タンパク質は熱に弱い性質があり、高熱であれば熱変性して、タンパク質の構造は変性し、凝集してしまいます。

それこそ温泉であれば、温泉タマゴならぬ、温泉タンパク質ができてしまいます。

そこで、いかな高温でもタンパク分子を変性させないスーパータンパク質が登場します。

そう我らがヒートショックプロテイン!

ヒートショックプロテインさえあれば、いくら高温でタンパク分子が熱変性しようとも、即座に修復機序が発動してタンパク分子は元通りに正常な代謝を取り戻します。

恐らくは最初の最初、原初の疑似生命物質として誕生したのがヒートショックプロテインであったと、私は仮説を立てています。

さて、ヒトは60兆個の細胞が高次構造を維持しています。

その60兆個の細胞の中には常時80億個のタンパク分子がひしめきあっており、数十秒で数万個のタンパク分子がそこで新たに生まれ、また同じ数のタンパク分子が生を終えてアミノ酸に分解されるという、まことに豊穣なるタンパク分子の激動のさまが細胞内では瞬間瞬間に展開しているのです。

このタンパク分子によって営まれるヒト生命体の生理にとって、脅威となるものは、タンパク分子を変性させるストレッサーです。

その代表が熱ストレスであり、それ以外では紫外線、放射線、寒冷刺激、活性酸素、重金属、化学物質、ウイルス、病原菌、などであり、これら化学的、物理的なストレッサーだけでなく、精神的なストレス要因もタンパク分子を変性させるストレッサーになると言います。

これらすべてのストレッサーによって、例え細胞内タンパク分子が傷ついても、ヒートショックプロテインが分泌されることで、タンパク分子が修復されることは、既によくご理解頂けています。

つまり「体温が上昇する」という機序は、タンパク分子にとっては第一のストレス要因なのであり、それに応じてヒートショックプロテイン分泌が促進されるのは、生命史38億年の条件反射みたいなものであるということなのです。

そして、ヒートショックプロテインが分泌されたということは、身体がストレッサーに曝されているという信号であり、ストレッサーの中には当然のこと、外来性の異物の侵入なども織り込み済みなことであり、もしもウイルスや病原菌であった場合に備えて、これまた自動的に条件反射のように免疫細胞が活性化するのです。

体温上昇というスイッチは、タンパク分子を修復するスイッチを押して、免疫細胞を活性化するスイッチも押す。

ヒト体内には、「ヒートショックプロテイン分泌→免疫細胞の活性化」という回路がすでに強い絆で形成されているというわけです。

ということで、「ヒートショックプロテインを自由に操れば、NK細胞を活性化し、癌を制する」は至極あたりまえな現象と得心いたしました。

というわけで、繰り返しになりますが、

「ヒートショックプロテインが分泌されると、免疫細胞はウイルスや病原菌が侵入したと思い活性化する」

これが、本記事の要点でした。

生命は、免疫は、ヒートショックプロテインを中心に回っている。

2014.03.02 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

エンタングル ⑪

元気(原気、真気、正気)、大気、宗気、衛気、営気(栄気)、臓気、経気、脈気、水穀の気、胃の気、血気、・・・

現代中国では外来の西洋医学を西医(せいい)、自国の中国医学を中医(ちゅうい)と呼ぶので、ここ日本においても現代の中国伝統医学の学問を中医学(ちゅういがく)と呼ぶ。

中医学の専門書などを読み返してみると、「気一元論(きいちげんろん)」で成り立つ中医ワールドからは、記事冒頭の通り、気の付く単語が怒濤の如く出現する。

これら気用語には勿論のこと、それぞれ意味するところがあり、例えば

「元気(げんき)という単語の意味は、人身(じんしん)にがんらい備わった気という意が原意であり、また親である父と母から受け継がれた根本となる気という意味もあり、その他には、生命力の源(みなもと)と言える気という意で、

この元気は、日々の食物から得られる水穀(すいこく)の気によって丹田(たんでん)で生み出された血気(けっき)が、全身を滋養することで元気パワーが充電され、元気が横溢(おういつ)していれば内外の邪気(じゃき)に攻められても病気にはならないが、

もしも元気が不足してくると、邪気の侵攻を防げずに正気(せいき)である元気が邪気に負けてしまい病気になってしまう。

これが中医学の中核理論である「邪正闘争」の医学観である。

もしも、ヒトは両親から頂いた貴いまことの真気(しんき)とも呼ばれる元気を常に減らさないようにして、原始的な気であり生命力の源であるという意味で原気(げんき)とも呼ばれるこの元気を、うまずたゆまず大事にキープしながら、未病治の養生に努めて生きたのなら、

中医学のバイブルである『素問・上古天真論』に書かれているように

「恬淡虚無、真気事に従い、精神内に守らば、病いずくんぞ来たらん」

となり、邪正闘争に打ち勝って、かのドイツ生まれのフランドル絵画の巨匠ルーベンスが描く洋酒オールドパーのラベルのモデル、イギリスの超長寿者であった農夫トーマス・パー翁、享年152歳の如くに、

あるいは江戸初期の漢方医で呼吸法をマスターし、生薬学、本草学に精通していた神医、永田徳本翁118歳なみに、

または、みずからのツボ足三里と仙骨8点に60年間も毎日お灸をすえ続けてヒートショックプロテインによるアダプティブサイトプロテクション(適応的細胞保護)な身心を獲得して、ヒートショックプロテインはNK細胞を活性化しますから、ガン細胞やウイルスに罹患した細胞が常に消去されてクリーンな体液を維持して108歳で大往生した医師・原志免太郎博士のように、

卑近な例では、80歳過ぎからの20年間も継続した週2回の鍼灸指圧治療により認知症にも癌にもならずに、原先生には及びませんが、やはりアダプティブサイトプロテクションな生活を続けて、最後まで水穀の気を食べることを楽しんで、食欲が落ちて3日目の先日1月10日、あと5日で99歳になる目前の98歳で他界した私の祖母の如く、

もしも元気を減らさなければ、ヒトはもてる寿命を存分に楽しみ、天寿を全うできるのである」

などと説明できます。

気というモティーフ一本で、ここ2000年をしのいだ中医学は、実にアッパレであり、中医学の内包する世界観は、たまにアヴァンギャルドな鍼灸師が来訪して探訪すると、やはりなかなか魅力的であります。

NK細胞は納豆と、酵母菌やキノコの微生物性粘性物質である多糖体のβグルカンで活性化します。ネバネバのβグルカンによって分泌濃度が上昇するのがヒートショックプロテインでした。

ヒートショックプロテインHSP70、HSP90は、ガン細胞に特有のガン抗原という抗原ラベルを免疫細胞に表示する働きがあります。つまりヒートショックプロテインはガン細胞を免疫細胞に認識させることで免疫強化の一端を担っているのです。

ヒートショックプロテイン濃度を増すことで、ガン抗原提示の効率が10倍にアップされます。

また樹状細胞がガン細胞が放出したガン抗原をヒートショックプロテインと共に貪食すると、樹状細胞のヘルパーT細胞へのガン抗原提示能力が飛躍的に向上することもわかっています。

ヒートショックプロテインによって認識されやすくなったガン細胞がNK細胞に容易に見つけられて、片っ端からパーフォリンを噴射され、アポトーシス誘導され、血管新生を阻止されて、あとかたもなくガン細胞が消えていく。

このようなガン細胞「常時発見 常時治療」の未病治養生ライフを実践したのが、トーマス・パー、永田徳本、原志免太郎、私の祖母だったのです。

ヒートショックプロテインとNK細胞という元気をもとに、ヒトは、大往生のユートピアへと導かれます。

あなたもネバネバヒートな理想郷へ、いざ参らん!

2014.03.01 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

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