腸管の味方

「中国医学で最も基本的な剤形は熱水で抽出する『煎じ薬』である。『煎じ薬』という言葉は日本人がよく使う言葉であり、本来はこれを『湯剤』という。『湯』は中国料理で言うスープを意味し、料理と一体化した剤形である。中国医学の聖典『傷寒論』は伊尹の『湯液経』を基にしたと言われ、また、殷の湯王の宰相であった伊尹(いいん)はもとは庖宰(料理人)であったことも、『湯液』が料理と不可分であったことを暗示している」遠藤次郎、中村輝子、マリア・サキム著「癒す力をさぐる」農文協



いわゆる一般的な昔ながらの漢方薬とは、

生薬を土瓶などに入れてお湯で煎じたその生薬の旨味、成分の

溶け出した熱い飲みものを飲むことを意味します。

このような煮出すタイプの薬剤のスタイルを『湯剤』(とうざい)と言います。

そもそも漢方薬の元祖は殷王朝の料理長だった伊尹(いいん)が

薬草スープを作ったのが、そのオリジナルとされます。

つまりはお料理のレシピのスープこそが、漢方湯剤の始まりだったのです。

そういう意味では、やはり食薬一如(しょくやくいちにょ)、

医食同源なのです。

温かいモノを飲み食べることは、これそのままに

漢方湯剤を飲むことと同じと言えます。

ヒトの腸管内温度は37度に厳密にセッティングされています。

この体内温度37度こそがミトコンドリアが旺盛に活動するうえでの

最適温度であり、

すべてのタンパク分子でできた酵素が酵素反応を行う最適温度であり、

つまりは生命活動をおこなうベストな体内温度なのです。

この腸管内温度の37度を下げてしまうほどの冷たいモノの過剰摂取が、

あらゆる不調の原因となる場合が非常に多いのです。

うっかり腸管免疫を冷たいモノで破壊すると、本来は味方、身内であるはずの

腸内細菌がとめどなく腸管から体内に侵入してきてしまいます。

もしも腸管内の常在性の大腸菌が体内に侵入すれば、これを不顕性感染と称し、

見えざる感染症となって風邪のような高熱を発症するケースもあります。

自分の常連さんのお身内の方が最近、この自分の大腸菌の不顕性感染で、

40度の高熱を発し、入院されたばかりです。

ここ最近の食生活を問診しましたら、

やはりここのところの暑さで、冷たいモノばかり飲み食べていたと言います。

恒温動物の掟は恒温である腸管内の温度を一定にキープすることです。

そう、わたしたちは温血動物でもあります。

温血の温度の源は全身の60兆個の細胞に棲まう

1京8000兆個のミトコンドリアが、生み出します。

ミトコンドリアが熱源なのです。

このミトコンドリアが効率良く熱を生み出すためには

腸管内の温度が37度でなければなりません。

なぜ腸管内を37度以下に冷やしてはいけないのか?

それは腸管内のミトコンドリアの活動を

シャットダウンさせないためであり、

腸管免疫の働きをストップさせないためなのです。

漢方薬とは、生薬の力も大きいのでしょうが、

温熱を腸管へと与えるという

もうひとつの大きな使命があったのです。

温熱ヒートショックプロテインでよみがえった腸管上皮のミトコンドリアは

恩返しに旺盛にATPと熱を生み出すと、身体中がホカホカと温まってきます。

一杯のスープが、一杯のかけそばが、一杯の深蒸し緑茶が、

あなたの腸管の味方です。

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2016.06.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 免疫強化

温食一番

ヒートショックプロテインについての圧縮版論説 ←ご参照ください



本記事冒頭に貼り付けたのはトリニティウェブに昨年に掲載されたわたしの記事で、

ヒートショックプロテインにフォーカスしたものです。

今読んでもたいへんによくまとまっており、普遍性のあるコンテンツと

なっておりますので、復習を兼ねて熟読の程、お願い申し上げます。

この記事の前の記事では、ネバネバヒートを特集し、

そこですでに冷たいモノの制限、凍質制限については言及しております。

人類が誕生して約700万年、脊椎動物が誕生して約5億年、

生命が誕生して約38億年、生命が冷蔵庫というシロモノを

使用する事はこれまで一度もありませんでした。

いったいいつから冷蔵庫なる機械を使うようになったのでしょうか?

考えてみれば本当につい最近まで人間は冷蔵庫なしで、

生きてきたのです。わたしたちの祖母や祖父の時代には、

まだ冷蔵庫はそれほど一般化しておりませんでした。

だから井戸水で冷やしたスイカ程度の冷たさ(約15度)が、

その当時の冷たいモノでした。

いま冷蔵庫で冷やすと4度までキンキンに冷たくなります。

冷凍庫から出してすぐのアイスなどがカタマリのまま腸にまで届けば、

0度以下の温度がストレートに腸管の内壁絨毛を直撃します。

アイスのカタマリの溶けていく融解熱に伴って

腸管上皮の温度は急激に奪われて、腸管上皮のミトコンドリアの

機能が一気にシャットダウンします。

腸管内壁にはパイエル板、パネート細胞などと呼ばれる免疫細胞が集積したポイントが

あります。ここがアイスの冷たい直撃で破壊されると、

腸管マクロファージの前線部隊が壊滅し、この部位から腸内細菌をはじめとする

あらゆる異物が侵入してしまいます。

ことほどさように、腸管を冷やすことは恐ろしいのです。

とはいえ、冷蔵庫が普及した時代、冷たいモノの美味しさを知った者に、

まったくそれを止めろ、というのは酷です。

だから冷たいモノを摂取したら、

必ずバックアップで温かいモノをフォローしてあげる。

この温熱おもてなしフォロー精神で、今夏を乗りきりましょう。

ヒートショックプロテインという言葉は、

実は『温・食・一番』と読み替え可能でした!

温かいモノを食べるのが免疫を守るには一番いい、を英訳すると

ヒートショックプロテイン?!

これも言霊の神からの贈り物かもしれません。

中国養生の歴史では、お腹つまり懐(ふところ)を温かい石で温める療法を

温石(おんじゃく)と称しました。この言葉が懐石料理の語源です。

懐石料理もまた「温・食・一番・料理」と言い換えが可能かもしれません。

むかしのひとは本当に偉い!

「お腹だけは冷やしてはいけない」を口癖のように言っていましたからね。

夏でも温かいモノだけを摂取する。

これでもいいんです。自分は基本、これです。

暑いときに飲む自分の常連さんのお茶農家さんの自園自製の深蒸し緑茶を

熱いお湯で淹れて飲むとき、まったくもって五臓六腑に温熱ヒートショックが

しみわたり、得も言われぬ快感に浸ります。

温・飲、温・食、ヒート食があなたの腸管免疫を守ります。

2016.06.27 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 免疫強化

究極の免疫力 5

「マクロファージは、少量の異物刺激を受けることで『プライミング』という活性化状態を示します。これは、マクロファージの基本性格である異物排除を効果的に行う準備状態を指すのです・・プライミングの段階に入ったマクロファージは、異物排除能力ががぜん高まります。例えば、生体内に細菌やウイルスが侵入してきたときなどにマクロファージがプライミング状態にあれば、力強く、かつ効率良くこれらを排除して感染が防げることになります。実際、通常状態のマクロファージは結核菌を貪食しても消化できず、マクロファージは結核菌に感染してしまいますが、プラミング状態のマクロファージでは結核菌を消化することができます。つまり、マクロファージをプライミング状態に保つことができれば。マクロファージの異物処理能力をより強めることができれば。それは種々の疾患の予防につながり、結果として私たちの健康寿命を延ばすことも可能になると言えます」杣源一郎「『免疫ビタミン』のすごい力」ワニブックス




カブトムシをはじめヒト以外の生き物でワクチンを打つ生き物はいない。

しかしカブトムシの幼虫など、おびただしいバクテリアが充満する土中で

風邪ひとつ引かず、お腹を壊すこともなく、なんの疾患にも罹らずに

元気に過ごしやがてサナギになり成虫に脱皮する。

いったいなぜこんなにもカブトムシは強く、そして人間は弱いのか?

人間は頭脳が発達したようだが、まだまだ免疫に関してはカブトムシにも及ばない。

カブトムシの体内には共生菌が大量に棲息している。

きっとこの共生菌が分泌する抗生物質に匹敵する分子も、

カブトムシの免疫を守っているのだろう。

ヒトの腸内にも500種類以上、数百兆個、1キログラム余の腸内細菌が

共生している。このヒトの腸内共生菌はビタミンBやKを産生し、

鬱病を予防するセロトニンの前駆体を作り、

パーキンソン症候群を予防するドーパミンの前駆体を作っている。

またそのほとんどが嫌気性菌だが、この腸内嫌気性菌の細胞壁成分である

リポ多糖のLPSが腸管マクロファージのTLRにヒットすることで、

腸管免疫の活性が維持されていると予測できる。

ヒトの腸管免疫もカブトムシに負けず劣らずに最強なのだ。

このヒトの腸管免疫を維持するために腸内を冷たく冷やし過ぎてはイケナイ、

という免疫強化のキモの重要性がここにクローズアップされるのだ。

これからの暑い時期、もしも冷たいモノを摂取したら、

必ずバックアップで温かいモノを摂取して、

腸内の保温に努めてください。

ほんのちょとした習慣で、あなたもカブトムシ並みの究極の免疫力を

手にすることができるでしょう。

いきなり始まった究極の免疫力シリーズ、これにて完。

2016.06.26 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 免疫強化

究極の免疫力 4

「TLRは Toll - Like receptor の略で、樹状細胞やマクロファージなどの細胞の表面に存在しています。『 Toll - like 』つまり『 Toll のような』という意味のネーミングですが、Toll はもともと、ショウジョウバエでカビに対する感染防御を行っている遺伝子として発見されました。この遺伝子Toll と似た構造をした遺伝子から作り出されたタンパク質がTLRです。TLRの形は非常におもしろく、壁に額縁をぶら下げるときに使うフックにそっくりな形をしています。使われ方も壁のフックにそっくりで、フックを壁にねじ込むねじの部分に相当するアミノ酸が細胞膜に埋め込まれ、細胞の外側が『何かひっかけて〜』といわんばかりのフック状をしています。専門家はこれを『馬蹄形細胞外領域』といっています。このフック部分がパターン認識を行っています。TLRのフックに細菌が近づくと、2個のフックで外来異物を引っかけるのが特徴です」 
            中西貴之「なぜ体はひとりでに治るのか」技術評論社



アウトサイダーである鍼灸指圧師の今村光臣が俯瞰するに免疫学において、

いまもっともホットな領域と思われるのがマクロファージや

樹状細胞の働きの解明です。

そのマクロファージや樹状細胞の働きのなかで俄然、近年になり脚光を

浴びている機能が、マクロファージや樹状細胞の細胞膜にあって、

異物をとらえて、異物を認識しその性状を判断するトールライクレセプター、

TLRと呼ばれる受容体の機能です。

マクロファージはこれまでは、マクロ(大きい)とファージ(食べる)と

いうギリシャ語を組み合わせた「大食い細胞」という認識が一般的でした。

手当たり次第に異物を食べるだけのおバカな免疫細胞。

これがこれまでのマクロファージの一般的なイメージでした。

しかし、ネーミングがもたらしたマクロファージへの誤解は

すでに免疫研究の最前線ではとっくに汚名返上、名誉回復、

マクロファージのパラダイムシフトが始まっているのです。

マクロファージは実はTLRを使って異物を認識すると、

その情報をヘルパーT細胞という免疫システムの司令塔へと

伝達する重要な役目を担っています。

つまりどういうことか?というと、

ヘルパーT細胞はマクロファージからの情報伝達がなければ起動しないのです。

大胆に宣言するのなら、ヒトの免疫システムを動かしているのは、

実はマクロファージだったのです!

マクロファージにはTLRが9〜10種類ほどが装備されています。

そのそれぞれのフックで鍵と鍵穴になる特異的な分子をとらえて、

抗原を認識し、サイトカインを分泌することでヘルパーT細胞を起動します。

TLRはなんと細菌やウイルスのもつDNAを認識し、弁別します!

このTLRの驚異的な知性とも呼べる機能を発見したのは

大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授の審良静男博士です。

ウイルスも細菌もガン細胞もマクロファージに認識されることで、

免疫システムが総がかりで処理します。

だからマクロファージの活性を常に高くプライミング状態に維持することが、

免疫強化のキモとなるのです。

マクロファージをプライミングする分子の筆頭がヒートショックプロテイン、

食べ物などでは発酵食品の菌体成分が有力な分子です。

またマクロファージは鍼灸指圧で分泌が高まる一酸化窒素でも

よく活性化します。

鍼灸指圧とはマクロファージをプライミングする素晴らしき医療だったのです。

2016.06.26 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 免疫強化

究極の免疫力 3

「初期のガン免疫療法は『ほかの病気にかかって発熱したガン患者の病巣が縮小した』という観察から始まりました。それならば『いっそガン患者の体内に病原体を入れてしまえ』と考えたのが、ニューヨークの外科医ウィリアム・コーリーでした。コーリーは、感染したら発熱を起こす病原体(化膿連鎖球菌とセラチア菌の死菌)を、ガン患者の患部に接種してみました。その結果、少なからぬ患者の腫瘍は縮小し、なかには完治した例もありました。ただし当時としても、これはかなり乱暴な治療法であったであろうし、実際に何が起こっているのかが解明されていなかったことは、種痘を行ったジェンナーとも共通します。おかげでこの実験的な治療法は、コーリーの毒、として知られるようになりました。・・コーリーの毒を接種されたガン患者の体内では、何が起こっていたのか?つまり投与された毒である病原体によって免疫系を刺激された結果、マクロファージやキラーT細胞が活性化し、異物であるガン細胞を攻撃したのです。さらに免疫細胞からは、インターフェロン、TNF-αのような抗ガン物質が放出されたと考えられます」審良静男研究室監修 坂野上淳著「新しい自然免疫学」技術評論社



自然こそ我が師。天地を友とし師とし、天地に学び天地を真似ぶ。

ニューヨークの外科医ウィリアム・コーリー(1862〜1936)は、

ガンが発熱によって自然退縮するという人体にもとから備わっている

自然治癒のプロセスにヒントを得て、大胆にもマクロファージの

トールライクレセプターに抗原をヒットさせるリポ多糖を含む菌体成分を

接種する方法を開発してガン免疫の草分けとなる画期的な手法を実験した。

江戸日本の幕末の名医、漢方医の新宮凉庭はその薬箱に螺鈿で

「医師は病に臨んで、自然の運行の欲するところが如何なるかを視るのみである」

と刻んだ。まさにコーリーはガンの自然治癒プロセスという「自然の運行の欲する

ところが如何なるかを視る」ことで、ガン免疫の真実に到達したのだ。

ヒトの身体がやっていることを素直に捉え、それを真似してみる。

天地に学び天地を真似ぶ、ことで最上の方法を最速で見つける。

天地自然はいつもずっとそのありのままの姿で、

医の本道を教えてくれていたのだ。

マクロファージのトールライクレセプターにヒットする抗原は、

ヒートショックプロテインのみならず、

植物に共生しているパントエア菌の菌体成分のリポ多糖(LPS)や

乳酸菌の菌体成分やキノコの成分が含まれます。

ガンワクチンとして有名な丸山ワクチンは結核菌の菌体成分であるリポ多糖を

マクロファージのトールライクレセプターにヒットさせることで、

ガン免疫を達成する試みです。

菌体成分系の力を借りるのも良策ですが、

青竹踏みに類似するその場でできる手軽な

ヒートショックプロテイン・エクササイズも、

それそのままにガン免疫健康法と言えます。

究極の免疫力はいつでも、どこでも、だれにでも

手軽に入手できなければ意味がありません。

天地自然はとっくにすべてを与えてくれているようです。

2016.06.26 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 免疫強化

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