0から始める東洋医学 10

2000年以上前の古代の鍼医たちは、

まだ細胞という認識すらなかった。

人間の身体を細分化していくと、240余の組織が

区別され、その組織をさらに細分化していくと、

最終的に60兆個の細胞という「小さな胞」が

出現する事などまったく予想だにしなかった。

さらにその60兆個の細胞のなかには、

細胞核と呼ばれる小さな中心構造体の核があり、

その細胞核の中にはDNAと呼ばれる細胞生理に

必須のタンパク分子を生み出す設計図が書かれた

情報バンクがあり、このDNAに書かれた情報を

もとに、生殖細胞のDNAがそれぞれ1本ずつ

組み合わされて、また新しい命、子どもが

母体に宿ることなど夢にも思わなかった。

そして細胞核だけでなく、細胞内には

細胞核の周囲にネットワーク構造の構造物があり、

この粒が糸状に連なった連結構造の網目物を

ミトコンドリアと呼び、このミトコンドリアが

日々産生するATPという分子が細胞生理における

エネルギー源であり、またATPはホルモンと同じように

細胞間の情報伝達分子として機能していることなども、

古代の鍼医たちは、まったくもって想定外の出来事だった。

古代の鍼医たちは細胞が60兆個あることも、

その60兆個の細胞内にある60兆個の細胞核のDNAが

細胞生理を牽引することも、細胞核の周囲にある

1京8000兆個のミトコンドリアが生み出すATPが

すべての細胞を滋養することも、

ぜんぶまったく知らなかったのだ。

では、あるが、どうにか、こうにか、人体というものを

把握しようとした。

では、あるが、どうにか、こうにか、

人体とはどんな構造になって、どんな風に機能しているのかを

説明しようとした。

まだ分子生物学や遺伝子学がない古代の鍼医たちは、

いまの現代人にとって常識であるような上述した医療情報を

手に入れることは不可能だったのだ。

だが、それでも、なんとか、どうにか、こうにか、

その時に手に入る医療情報を組み合わせて、

それなりにカッコウがつく鍼灸医学の基本理念を打ち立てた。

その時に頼りになったのは、手の実感と、実際に見た

動物を解体する際の動物の内臓や筋肉組織の構造や、

戦争やケガで負傷し、あるいは亡くなり偶然にも

人体内部の内臓が露出したそうしたヒトの

解剖図的現場のリアルな情報だったはずだ。

人体解剖に関しては、

とくに罪人を生体解剖した詳細な解剖図も

じつは東洋医学においても、ほんの束の間の、

宋の時代のある時にだけ、一時的には作られていた。

しかし、その正確な解剖図はそれほどありがたがられることもなく、

その後も相変わらずに、ボンヤリとした実際とは少し異なる

空想的な従来の解剖図が重宝されて、

杉田玄白が西欧のターヘル・アナトミアの解剖図を見て

その正確性に腰を抜かすまで、その空想ボンヤリ解剖図が実際に

役だってしまった。解剖図は外科学が発展していない時代には、

それほど便利なシロモノではなかったのだ。

そんなこんなの東洋医学もなんだかんだいって2000年が経過した。

ハリボテ感満載の臓腑経絡説が2000年も持った。

持ってしまった。そして、いまもかなり有効どころか、

すぐれて役に立つのだ。

このことこそ、ある意味、とんでもない驚きと言わざるを得ない。

さて、いまの時代に生きる鍼医は、細胞が60兆個あることも、

細胞内に細胞核があり細胞核にDNAが仕舞ってあることも、

細胞の周囲にミトコンドリアがネットワーク構造を築き、

1京8000兆個のミトコンドリアが生み出すATPが

エネルギー源とホルモンになりその60兆個の細胞を養い、

そんな60兆個の細胞と1京8000兆個のミトコンドリアが

織りなす細胞生理がひとの心身を健やかに養うことなど

常識中の常識で知っているのだ。

だったら、そんな古代の鍼医たちが知りたくても知り得なかった

最新の細胞生理学の知識を組み合わせて、

新しい東洋医学の治効メカニズムを説明するのは、

現代に生きるわたしたち鍼医の責任、義務であり、

その責任と義務を果たすことこそが、

古代の鍼医たちへのこの2000年分の恩返し、

オマージュ、リスペクト、であり、それこそが

さらなる東洋医学の発展への礎になる、とわたしは思うのだ。

わたしが鍼灸指圧の治効メカニズムを説明するのに、

現代生理学の言葉で説明することが、

まるで古典鍼灸を小馬鹿にして、東洋医学界に

反逆しているとでも?

エッ、そんなバナナ(笑)

冗談じゃあない!

アタシの心の奥底の真意も知らないで!

なんとしてでも、東洋医学をほんの一ミリでも、

ほんの一歩でも、前へ進めたい。

ひとさまに胡散臭いとバカにされるような現代鍼灸では、

古代の鍼医たちに申し訳ない。

わたしがどんな思いで、こんな言葉をつづっているのか。

おわかりかい?

これでも根性入れて、書いてんだぜ!

まっ、アクセス数はお陰様で絶賛降下中だけどね(笑)

いま食いついて読んでくれている貴方こそが、

わたしの真のファン、味方だ。

いつも本当に、ありがとォーーーーーーーーーーーー!

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2017.07.10 | | コメント(1) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

専門用語を一切除外して、
高度な専門概念を、
一般にわかるように伝達する。

『五輪書』で
宮本武蔵がしてるように。

『自我の終焉』で
クリシュナムルティがしてるように。

楽しみにしております。

2017/07/10 (月) 20:02:36 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]

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