鍼治のこと 3

静岡県は東海道線は草薙駅の近くで

古くから伝えられた家伝灸の老舗「桜井戸の灸」の灸法。

それは手の親指と人差し指の谷間にあるゴウコクという

ツボへ面疔の痛みが無くなるまで、100回でも200回でも

つづけてお灸をすえ続ける方法だった。

面疔の痛みがなくなる頃に、自然に排膿されて治ったという。

だから、沢山の灸をすえたゴウコクはヤケドとなり、

灸痕(きゅうこん)が手形のように刻まれた。

それを称して「静岡県人の手形」と言ったのだから、

静岡県に住む者には往時は、この灸法が常識だったのだろう。

さて、今ではこんな昔話をしても、ほとんどの者が

スルーか、へぇ〜、で終わりと思われる。

しかし、いち鍼灸指圧師は、この桜井戸の灸法の叡智から、

多くのアイデアを獲得した。

ヒトの皮膚にはマクロファージと同じく免疫システムの司令塔となる

免疫細胞のヘルパーT細胞へと抗原提示という情報伝達をおこなう

免疫細胞が常駐している。それは皮膚というバリア機構を破って、

侵入してくるウイルスやバクテリアなどの病原微生物に備えての仕組みだ。

これが植物になると免疫細胞などないから病原微生物を溶かして殺したり、

それら微生物が嫌いで忌避するような分子を細胞壁に産生することで、

こうした外敵に植物は備えている。

こうした植物たちが枝葉や幹や根っこに産生する分子が、

ネバネバした多糖体であったり、酸味や辛味や苦味のフィトンチッドや

フィトケミカルなのだ。

植物たちは、だからこうした自前の迎撃分子を備えることで

外敵から身を守る。

それと同じように動物は免疫細胞でまずは外敵を判別するのだ。

この外敵と接する最前線でまず外敵を捉えて、それがいったい何者なのか、

を識別するのが、ヒトの皮膚の場合は、

皮膚にいる樹状細胞と呼ばれるランゲルハンス細胞という免疫細胞だ。

ランゲルハンス細胞は樹状細胞というだけあって手足が樹木の枝のようだ。

この樹木の枝のような手足を使って、その手足をニューッと伸ばして、

皮膚から入ってきたウイルスや細菌などの異物をまずつかまえる。

すると、そのつかんだ異物をある程度の大きさに砕き、

そのつかんだ異物が何者なのか、をヘルパーT細胞へと伝達する。

この時にランゲルハンス細胞が異物を識別する受容体こそが、

常日頃、わたしがネタにしてまったく受けないというジンクスてんこ盛りの

トールライクレセプターというわけだ。

であるからして、ようはランゲルハンス細胞のトールライクレセプターに

ヒットするプライミング分子を、しかるべき方法でヒットさせると、

ヘルパーT細胞からすべての免疫システムを活性化できるということだ。

はい、本記事のキモの頂上へと今、到達しますから、

ここが大事ですよ!

でね、ようはヒートショックプロテインというプライミング分子を、

ヒトの皮膚のランゲルハンス細胞のトールライクレセプターにヒットさせれば、

皮膚ランゲルハンス細胞からT細胞を介して

全身の免疫系が活性化できるというわけだ。

はい、だから皮膚刺激、皮膚を治療ポイントとする鍼灸指圧が、

ときに劇的な治療譚を演出するわけなのだ。

そう、だから、名灸「桜井戸の灸」の秘密とは、

ゴウコクという虎口とも呼ばれるツボ、洞穴に

潜んでいる皮膚マクロファージのその首に手綱を巻きつけて、

ゴウコク・ランゲルハンス細胞という虎に

またがって免疫システム全体を上手に乗りこなし制御したから

あんなにもうまく面疔が治ったということなのだ。

いいですかね。流れはこう。



鍼灸指圧治療→

ヒートショックプロテイン→

皮膚ランゲルハンス細胞のトールライクレセプターがヒートショックプロテインを識別→

皮膚ランゲルハンス細胞がプライミング→

ヘルパーT細胞へと免疫活性化の伝達→

ヘルパーT細胞が活性化→

すべての免疫システムが起動する→

最強免疫養生法!



こんな風にわかりやすくヒートショックプロテインから

トールライクレセプターを介しての鍼灸指圧による免疫増強作用を

解読した者は、たぶん世界広しといえど、

わたくしアヴァンギャルド鍼灸指圧師&養生クリエイターの

ハリィーこと今村光臣くらいのものだろう。

ナイナイ尽くしの馬の骨だからこそ、わかることがある。

あなたは、今、まったく新しい東洋医学と出会っている!

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2016.12.05 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

鍼治のこと 2

先日に突発的な腰痛に見舞われた。

原因は筋トレによるひずみだが、

これまでに感じたことがない右側の腰部だった。

動かすと痛い。

こりゃあ、マズイと、即座に腰に

自分で鍼を打った。

それで翌日はたまの休日、

ちょうど家族でお出かけサンデーの日だった。

その楽しいはずのお出かけの最中も、

まだ時折、痛んだ。

ピッと背中を伸ばすと痛い。

猫背風情がまるでジジイのようでいささか情けなかった。

意外にも即座に施した腰の鍼治療は奏効せずに、

翌日も翌々日も痛みが続いた。

それで翌々日の鍼治療の際に、

ふと思いついて手のゴウコクへと鍼をしてみた。

ゴウコクへ鍼を打ち、そのまま置鍼(ちしん)して、

45分間ほどジッと上向きで寝ていた。

これがハッキリ言ってもの凄く効いた。

痛みの質がガラッと変化してきたのを、

寝ながら体感した。

それ以降は薄皮を剥ぐように痛みが遠ざかっていった。

全治2週間といったところだろうか。

腰の痛みがなぜ手のツボへの鍼治療で緩和されたのか?

ゴウコクへの鍼治療は脳内鎮痛ホルモンのβエンドルフィンの

産生を促進することがよく知られている。

腰の痛みであろうと、どこの痛みであろうと、

脳内モルヒネのβエンドルフィンが効くのだ。

またβエンドルフィンはマクロファージやNK細胞の免疫細胞を

プライミング(活性化)する。

ゴウコクへの鍼治療は、鎮痛と免疫強化の二大特典が

もれなくついてくるというわけだ。

わたしも47歳になった。

それなりに身体にいうところが出てくる歳だ。

鍼治療の良さは、若い頃よりも歳をとってからの方が、

よりクリアによく実感できることがわかってきた。

若さには若さの良さがあるが、

歳をとることにもそれなりの良さがある。

歳をとっても元気に過ごす。

万人の願いだ。

未病治とは、いまだやまいならざるをちす、と読む。

病気になってから治療するのではなく、

病気になる前に治療することで健やかな日々を送る、ことを

未病治(みびょうち)という、と私は解釈している。

未病治ライフには未病治養生メソッドが必須だ。

その未病治養生メソッドの必須アイテムこそが、

鍼治という最強ツールだ。

鎮痛ホルモンが常に湧き出すβエンドルフィン体質なジジイ(笑)に

なれば、腰痛も頭痛もその他、各部の痛みも怖くない。

マクロファージが活性化できれば風邪もひかない。

ふむ、ゴウコクという虎の口は

もしかしたら未病治最強ライフへの入り口かもしれない。

2016.12.04 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

鍼治のこと

ゴウコクというメジャーなツボがある。

手の親指と人差し指の谷間にあるツボだ。

漢字では合谷と明記する。

まさにこの表記は指の谷合(たにあい)にそのツボがあることを示す。

ゴウコクには別名があり、虎口という名称もある。

この手の親指と人差し指の谷間を虎の口に見立てれば、

そう見えることからの名称だろう。

さて、このゴウコクは様々な疾患に効く。

とくに有名なのは、その昔、明治〜昭和初期まで、

静岡県人の手形、とも言われたゴウコクへの灸法が有名だ。

抗生物質のない時代に、顔に出来た面疔はやっかいな疾患だった。

この面疔という細菌性のデキモノが、

ゴウコクへ灸をしていると自然にはぜて、排膿して治るのだ。

しかし、100壮、200壮、という多壮灸を施さねばならない。

壮(そう)とは、回(かい)と同じ灸独特の数え方だが、

つまりゴウコク一箇所に、100回、200回もすえるのだ。

これではゴウコクの部位がヤケドになって、

のちに手形になるのは当たり前だ。

こんな荒療治は抗生剤をポンともらえる今の時代にすたれるのは自明だ。

でも、つい先日まで静岡県は草薙駅の周辺は、

この桜井戸の灸を受ける患者でごった返していたのだ。

東海道線の草薙駅はなんと、

桜井戸の灸を受ける患者のために設けられたという。

今ではこんなエピソードも昔の良き懐かしき時代のハナシよね、の世界だ。

いや、そんな風に「三丁目の夕日」なハナシとしてスーと聞き流さないでほしい。

この実話譚を分析すればマコトの養生の宝が手にはいるのだ。

ようはゴウコクには顔面部の血流、首から上の血流を上げて、

細菌を貪食するマクロファージを活性化できる、という

とてつもないエビデンスが存在するという証拠が、

名灸、桜井戸の灸の真相だったのだ。

わたしは最近になって、ちょくちょくと、ゴウコクに鍼を打つ。

その効果は、驚くほどの深い睡眠となって顕在化する。

睡眠時にマクロファージは活性化して異物の処理をおこなう。

ゴウコクとマクロファージは深く密接に連環すると、

わたしは独自の解読をしている。

鍼治療が怖いって?

鍼もまたわたしの最愛のツールです。

ハリィーが紐解くめくるめく鍼治療の世界へ。

ようこそ!

2016.12.03 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

スローメディスン

コンビニや100均やファストファッションが流行って久しいが、

わたしがこういうものを利用するのは、

年に数回だ。

コンビニは何かの振り込みに利用するだけだし、

100均には、もう何年も入っていないし、

ファストファッションの店には、私が欲しいようなもの

は置いてない。

そしてファストフードはスーパーサイズミーな店には

入ったことはないが、モスは好きで、

たまに食べたくなって利用する(笑)

グローバリズムはリーマンショック後に失速し、

すでにローカリズムの時代が幕を開けているという。

コンビニや100均やファストファッションや

ファストフードがグローバリズム系かどうかは

よくわからない。

しかし、日本の伝統医学であった鍼灸指圧は、

間違いなくローカリズム系だ。

今から130年前の明治維新という第一次グローバリズムの席巻時、

我が国が1400年にわたり培ってきた至宝の医学であった

鍼灸指圧、漢方医学、日本の伝統的な東洋医学体系は、

あっけなく国策医学の座から場末のドブ板のすき間に転がり落ち、

撲滅された。

我が国の東洋医学はニホンオオカミが日本の森から姿を消したように、

日本国民の視野から消えたのだ。

では、いま私が日々の診療でやっている鍼灸指圧は、

なんなのか?

それは潰(つい)えた伝統をリバイバルとして再現しつつ、

日々、新しく創造している鍼灸指圧と言えよう。

伝統と革新。まさにそれだ。

わたしの指圧は、はた目にはコイツはなにをやっているのか?

と思うほどに、なにもしていないように見える。

指先をツボに沈め、命の脈動を待つとき、

見た目のわたしの動きはほとんど止まる。

しかし、その時、指先では猛烈な思念が

駆け巡っている。

指先の思念は患者のツボの点から線へ、線から面へ、

面から場へと満ちて広がり、やがて患者の身体を

突き抜けて、虚空の宇宙空間へと飛翔していく。

わたしの動きは、見た目には超スローだが、

その指下では、強烈な気が渦巻き

炸裂しているのだ。

静中の動。動中の静。

見た目と内実は別なのだ。

西洋医学は一事が万事、すべてが客観的だ。

検査結果も、手術や投薬も誰もがハッキリと

わかる物質医学の体系だ。

だから誰にも納得がいくし、万人が認めるのも

うなづける。

鍼灸指圧は私の指圧に代表されるように、

万人が納得できるほどに客観的でもないし、

万人にわかるほどに、わかりやすくもない。

でも、だからこそ、こんなニッチな医療も大事だ、

と声を大にして言いたい。

世界広しといえど、わたしの指圧と同じことを

できる者はどこにもいない。

世界にたったひとつだけのオリジナルの医療。

そんな素晴らしく特殊な世界があることを、

こうして公開できたことはネット時代の僥倖だ。

すべてがコンビニ100均ファストの流れで進んでいる最中に、

ただひたすらにスローなメディスンにこだわった25年。

時代はようやくローカリズムを迎えた。

土着で固有で伝統であったがゆえに潰された日本の伝統医学。

しぶとく生き残ったニホンオオカミ、

いや日本の指圧師は、まだまだ鼻息が荒いです(笑)

2016.12.02 | | コメント(3) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

ユビンテージ

鍼灸指圧師になって25年。

これまで3万タッチよりも多くの患者に触れてきた。

またデータ収集における知識としては

本棚に溢れるくらいの本は読んできた。

実地の臨床経験と、

それらを検証し裏付けるフィードバックとしての知識。

この経験と知識の25年の厚み、

その蓄積の内容(コンテンツ)こそが、

わたしの言説の強みだ。

この我がコンテンツの渾身の気をもって

言わせて頂くなら、

やはり病気の予防は治療に勝る養生法だ、

と断言できる。

病気になってから、症状を発症してからでは、

いかんともしがたい。

病気にならないため、症状を発症しないために、

健康な時にこそ養生に努め、治療する。

治療や養生は病気症状のためにあるのではない。

治療や養生は健康を維持するためにあるのだ。

ここを理解できている者は、たぶん、

世界にわたしひとり、と、

あと数人くらいのものだろう。

いいですか。

健康であり続けることは、病気の治療と同様に難しい。

しかし、病気の治療よりは、健康な時に治療する方が、

健康でいられる確率は高い。

当たり前だよね。

だって、病気というマイナスを穴埋めするのではなく、

健康というプラスに、治療というプラスを足すんだから。

健康を獲得するためには、健康な時に養生に徹する。

このキモがわかれば、

あなたも最強の健康人生を謳歌できる。

25年ものの「ユビンテージ」な

タコだらけのオレの指(ユビ)が、

かく申しております。

2016.12.01 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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