身体論の解体と再構築 10

グレリンという胃ホルモンは、

神経性と血行性の2つのルートを通じて

脳と全身のミトコンドリアに食欲を喚起する作用がある。

それだけにとどまらずグレリンはミトコンドリアを

増強することで疾病の予防と治療に有効なエビデンスが

獲得されている。

またグレリンが分泌されると大人しくなり眠気を催す。

これは胃に食べ物がなくなり血糖値が下がり

脳機能が低下して意識を失い倒れるのを

防ぐための「フィードフォワード(前向き制御)」が

作動するためだ。

これを称し「腹が減っては戦は出来ぬ」。

グレリンは食べ物が胃から無くなった後に起こる

危機的な状況を回避するために、あらかじめ

ヒトを大人しく眠くさせることで、

血糖値の低下を極力おさえて、昏倒することを

未然に防いでいたのだ。まったくなんて賢いホルモンなんだ!

そして、そのとおり、なんと、グレリンが分泌されると、

大脳皮質の細胞数が増えてヒトはホントウに冗談抜きに

賢くなるのだ!

だからグレリンは本当に賢い、いや賢くするホルモンなのだ!

まとめるとグレリンには

①食欲喚起、②ミトコンドリア増強、③疾病の予防治療、

④筋肉スタミナ増強、⑤鎮静催眠、⑥脳活・・

など多岐に渡る作用があることがわかる。

この誰もが手に出来る天然のホルモン剤は、

胃がグーと鳴る蠕動運動によって胃から分泌される。

であるのなら、胃がグーと鳴るような蠕動運動を引き起こす

メソッドが、グレリンをゲットする養生法と想定できる。

鍼灸指圧の臨床において、患者の胃がグーと

治療中に鳴り出すのは日常茶飯の出来事だ。

このことから私はグレリンが体壁筋肉系の皮膚や血管や筋肉から

も合成分泌されているのでは、と予想している。

それはともかく、とにかく鍼灸指圧は確実にグレリン分泌を

促進していることは間違いない。

特にもっともメジャーなツボの「足の三里」は、

胃のツボとして有名で、実際にこのツボに鍼を打ち、

CTスキャンで見ていると、胃が猛烈な蠕動運動を始めて、

グニャグニャと面白いように動き出すエビデンスが

取れている。かの松尾芭蕉は奥の細道の旅路において、

まず「三里に灸すうるより」と足の三里にお灸をした。

この松尾芭蕉がみずからに施した足の三里の灸は、

芭蕉の胃をグニャグニャと面白いように動かすことで、

胃からグレリンがよく分泌されて、芭蕉の神経と血液を介して

脳と全身のミトコンドリアに伝達されたグレリンは、

芭蕉の脳を絶大に活性化し素晴らしい俳句を生むイマジネーションを喚起し、

芭蕉の筋肉スタミナを増強することで、

奥の細道の歩け歩けグランドツーリングをサポートしたのだ!

グレリンというホルモンに着目することで、

多くの叡智が獲得された。

グレリンは若返りホルモンとも呼ばれる。

ヒトは空腹になるごとに若返るのだ。

これこそがもしかしたら、ヒトの寿命を最長120歳まで

生かしてくれるアンチエイジングの秘密だったのか。

ヒトはこの世に生を受けると、母胎の水中生活から

いきなり空気中の陸上生活へと放り出される。

羊水に守られてたゆとうていた小さな命は、

乾燥と重力と酸素による酸化の待ち受けた危険極まる陸上生活に

いきなり巻き込まれるのだ。

この過酷極まる酸化毒とエイジングの嵐のなかを

ヒトはなんとか生き延びて、うまくすれば最長で120歳まで

生き延びる。酸素はフレッシュな生鮮品をみるみる酸化させる

ほどに強力な酸化毒作用を有する。だから生鮮品のパックには

エイジレス、酸化防止剤、脱酸素剤が一緒に入れてあるのだ。

このエイジレスと同じ役目をしているのが、

ヒトの体内の鉄元素であり、スーパーオキシドディスムターゼを

はじめとした脱酸化酵素なのだ。

この鉄元素や脱酸化酵素が身体を酸化毒の老化から守っているから

ヒトは簡単に老化しないのだが、

グレリンもどうやら強力な若返り効果を発揮する。

腹が減るたびに若返る!

ヒトの身体には驚くべきアンチエイジングな

リセットシステムが組みこまれているようだ!

空腹を感じ胃がグーと鳴った時、

胃に手を当てて、そして合掌して

グレリンを拝んだら、どうだろう。

これじゃあ、まるで、グレリン真理教だ(笑)

でも、ほんと、そのくらいありがたいホルモンが

グレリンなんだよね。

スピリチュアル? 宗教? 経済? 政治?

拝む対象は人間の社会にはいっぱいあるけど、

ホントに大事なモノはそんなとこにはないような気がするね。

拝むべきホントに大事なモノは、

ここ、このお腹の真ん中、胃の内分泌細胞にあった!

グレリンが食欲を喚起し、

グレリンが筋肉スタミナを増強し、

グレリンがミトコンドリアを増強し、

グレリンが脳を賢くすることで、

ホモ・サピエンスは、本当の意味で

賢いサルになったのだ。

人類進化はスーパーホルモン、グレリンのお蔭だ!

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2017.02.19 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

身体論の解体と再構築 9

グレリンというホルモンは胃壁で分泌されると

胃の周囲に張り巡らされた神経網を介して

高速メール送信で「胃にモノがなくなった」という

メッセージを脳へと送る。

それと同時に胃体部の血管へとグレリンは

エンドクリン(内分泌)されると、

血管を通じて全身のミトコンドリアへと

「これから食事が始まるぞ」という

伝言が高速メールではなくアナログじきじき伝言で

言い渡される。

脳へと胃から神経を介して高速メール通信されたグレリン

のメッセージは脳に伝達されると脳内で

「あ〜、腹が減った」という意識となる。

と同時に、胃が蠕動運動を起こして「グー」と鳴る。

またアナログじきじき伝言で全身のミトコンドリアへと

伝達されたグレリンの食事が始まる合図の銅鑼(どら)は、

全身のミトコンドリアを活性化することで、

栄養素が取りこまれた時に即座にATPホルモンに

変換するウォーミングアップ体制を整える。

こうして胃から分泌されたグレリンは神経を介した

高速メール通信と、血流を介したアナログじきじき伝言の

2つのルートを使って、胃にモノがなくなった危機的状況を

脳と全身のミトコンドリアへと伝達することで、

食欲を引き起こし、食事を摂る気にさせて、

命をつなごうとするのだ。

もしもグレリンというホルモンがなくなれば、

わたしたちは胃に食べ物がなくなったことに気がつかずに、

血糖値が下がったことにも気がつかずに、

知らぬ間に血糖値が低下してフラフラになり

意識を失う危険性がある。

食欲はグレリンだけで誘導されるわけではないが、

胃に食べ物がなくなったことを知らせるサイレンのグレリンは

人体に欠くべからざる重要なホルモンなのだ。

グレリンは胃だけで分泌されるわけではなく

脳でも分泌される。グレリンは脳と腸で分泌されるまさに

ブレイン・ガット・ホルモン(脳腸ホルモン)の

典型的なホルモンだ。

このブレイン・ガット・ホルモンは実は皮膚でも

産生されている。

そういう意味では正確に言えばブレイン・ガット・ホルモンは

わたしの解釈では

「ブレイン・ガット・スキン・ホルモン(脳腸皮膚ホルモン)」と

言えるのだ。

だから、もしかしたらグレリンは胃と脳で分泌されているだけでなく、

皮膚でも合成分泌されているかもしれない。

これは私独自の予想だが、鍼灸指圧の臨床では、

体壁筋肉系への刺激が胃腸の蠕動運動を惹起する実例は

ごくごく当たり前の極めて日常茶飯の出来事なのだ。

だからグレリンが皮膚や血管壁や筋肉で合成されていて、

この体壁筋肉系で合成分泌されたグレリンが

胃腸の蠕動運動を惹起し脳へと空腹感を想起させる機序として

機能している、という予測を常々わたしは抱いている。

コレはほんとココだけのはなしだが(笑)

さてこのグレリンの効能は食欲を引き起こすにとどまらず、

以下のようにまことにめざましい効能がある。

①筋肉のミトコンドリアが弱り持久力がなくなった年老いたマウスに

グレリンを投与すると、筋肉内のミトコンドリアが増えて持久力が

回復した。

②腎臓が弱ったマウスにグレリンを投与すると

腎機能が回復して蛋白尿が減った。

③ガンで痩せてしまったヒトや、

心不全、呼吸不全、糖尿病性神経障害のヒトに

グレリンを投与するとすべてが回復傾向を示した。

つまりグレリンは全身のミトコンドリアを元気にすることで、

各種疾患の回復を促進すると結論できるのだ。

このグレリンと同じような効果が血管ホルモンの一酸化窒素と

心臓ホルモンのナトリウム利尿ペプチドにもある。

一酸化窒素やナトリウム利尿ペプチドの働きを強化した

Xメン的な一酸化窒素&ナトリウム利尿ペプチド・メガ盛り強化マウスを

作成すると、このマウスのミトコンドリアの数が増して、

筋肉が強くなり持久力が高まって、腎臓が弱っていくことを

防ぐことができるエビデンスが獲得された。

グレリン、一酸化窒素、ナトリウム利尿ペプチドは

ミトコンドリアを増強する三種の神器ならぬ

三種のホルモンなのだ。

そして、さらにここに私の独断で

乳酸というホルモンに似た作用をする分子を

ミトコンドリアを増強するヒーロー分子に加えたい。

乳酸はこれまで生理学の分野では100年間も、

細胞活動の老廃物と誤解されて、筋肉痛や凝りの原因分子と

誤認されてきた。

しかし、近年の乳酸研究でこれらの汚名がすべて濡れ衣の

大間違いの嘘っぱちであることが判明した。

乳酸は常に細胞内で糖の分解過程で発生し、

一定量が各臓器に常にあるものだ。

そしてとくに糖をよく使う脳内には、

いつも乳酸の量が多い。

それで少しキツメのハードな筋トレなどをすると、

筋肉のなかの速筋と呼ばれる部分にいつもよりも

多く乳酸が発生する。この筋肉中に発生する乳酸は

筋肉中に蓄えられていた糖のグリコーゲンを使い切った

証拠であり、だからアスリートなどはこの運動後の

乳酸濃度を計ることで、力が出し切れたパフォーマンスの

指標とするのだ。全力を出し切って筋肉中のグリコーゲンを

使い切った結果、乳酸濃度が高い数値をはじき出せば、

アスリートはパフォーマンスを最大限に出せた、と

大喜びするのだ。

この速筋のなかでいつもよりも多く産生された乳酸は

その後、30分間から1時間以内に乳酸トランスポーターという

細胞膜の装置で搬出と搬入がおこなわれて心筋と遅筋の

ミトコンドリアへと血行性に運び込まれる。

こうして速筋から心筋と遅筋のミトコンドリアへと運ばれた乳酸は

心筋と遅筋のミトコンドリアのATP産生に利用されるのだ。

つまり乳酸はミトコンドリアにおけるATP産生の素材なのだ!

ヒトの筋肉は糖をグリコーゲンにして備蓄できるが、

大量には備蓄できない。だからその筋肉中の備蓄分の

グリコーゲンを使い切ってしまうと、そこでスタミナが切れてしまう。

これが運動時におこる疲れの現象だ。

この時に筋肉中のグリコーゲンは枯渇するが乳酸が増える。

だからこの乳酸を疲労分子と見誤ったのだ!

この運動後の疲労時に増えている乳酸は実はグリコーゲンを

使い切ってスタミナが切れた時のための予備のエネルギー源という

大事な役目があったのだ。

この筋グリコーゲンを使い切ったあとに発生した乳酸を使って、

心筋と遅筋が火事場のバカ力を発揮することが出来るのだ!

これがいわゆるラストスパートの真相だ!

ヒトの身体はこのようにあらゆる分子を非常に巧みに利用する

ことでエネルギーを得ているのだ。

この乳酸をスタミナ源に活用するように進化しているのが、

競走馬のサラブレッドだ。サラブレッドはヒトよりも多い乳酸を

発生することで、あの華麗な疾走を生みだしている。

ヒトもだからある意味、サラブレッドだ。

速筋で産生された乳酸が心筋と遅筋のミトコンドリアに

運ばれて利用される仕組みを、まるで乳酸がホルモンのように

機能している、とわたしは見立てた。

乳酸研究のアカデミズムの最前線では、乳酸はミトコンドリアを

増強するシグナル分子と予測して、エビデンスを収集している

最中だ。乳酸はミトコンドリアを増強するホルモン、と

いう新たな知見がいまに確立される可能性も高い。

ということで、乳酸をミトコンドリアを増強するホルモン様分子と

独断で断定する。これで、

グレリンと一酸化窒素とナトリウム利尿ペプチドと乳酸

という4つのミトコンドリアを増強する分子がそろった。

三種の神器ならぬミトコンドリア増強の

四天王ヒーロー分子の見参だ!

鍼灸指圧はこのミトコンドリアパワーを引き出す

四天王ヒーロー分子を操ることができたから、

ここ2000年の風雪に耐えたとわたしはみている。

鍼灸指圧こそがミトコンドリアパワーと、

四天王ヒーロー分子の働きを引き出す最強医療だ。

ミトコンドリアパワーを引き出す四天王ヒーロー分子は、

運動やエクササイズやストレッチの励行でも十分に

分泌できる。

各自、自分に合ったエクササイズを励行し、

四天王ヒーロー分子と仲良くなり、

ミトコンドリアパワーを引き出してもらえれば

幸いだ。


2017.02.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

身体論の解体と再構築 8

ヒトの皮膚はKYではなく、ちゃんと空気を読む。

肌に触れる酸素濃度をモニタリングし、

もしも低酸素になればエリスロポエチンという

ホルモンを分泌して骨髄に赤血球を

いつもよりもたくさん作るように指示する。

そうすることで赤血球のヘモグロビンに

少なくなった酸素をより効率よく吸着して、

ミトコンドリアでのATPホルモンの

一定の産生量を確保する。

実はヒトの皮膚は空気をよく読むだけでなく、

音も聴くし、色も見るし、モノも味見する。

また紫外線や圧力でATPホルモンを分泌したり、

低酸素環境からバックアップするために

エリスロポエチンを産生するだけでなく、

認知機能に関するGABAというホルモンの受容体を有し、

愛と幸福のホルモンであるオキシトシンを分泌し、

ブレイン・ガット・ホルモンと呼ばれる脳腸ホルモンの

すべてを産生できる。

皮膚とは体表を覆う単なる防御シートではなく、

総重量3キロ、畳1畳余の人体最大の内分泌器官なのだ。

と同時に、皮膚は目であり、耳であり、口であり、

脳であり、温度や痛みや圧力を知覚するセンサーだ。

つまり皮膚という組織は、ルネサンス芸術における

万能の天才と称えられたレオナルド・ダ・ヴィンチの如き

多芸多才のマルチタレントなのだ。

この皮膚と同じく、例えばヒトの血管は、

血流を促進する血管拡張ホルモンの一酸化窒素と

血管を収縮するエンドセリンと、

血圧を調節するナトリウム利尿ペプチドCの

3種類のホルモンを自前で合成し分泌し

自分でそれを受容している。

同じく心臓も血流を促進し血圧を調節する

ナトリウム利尿ペプチドAとナトリウム利尿ペプチドBを

自前で産生している。

また胃はグレリンという若返りホルモンを産生し、

脳へと直通でつながっている胃の裏にある神経を使って

最速で食欲増進の信号を脳へと送り、

また内分泌して血液に乗せて脳へと、二重に伝達する。

胃にモノが無くなった事をグレリンというホルモンを

使って脳へと伝達することは、神経と血流の

二つのルートを二重に使ってでも絶対に確実に

連絡しなければならない程にとてつもなく重要だ、

ということがコレでわかるのだ。

空腹はイカン! とグレリンが吠えている!

やはり、ヒトは生きるために食べるだけでなく、

食べるために生きている、ということを

グレリンのガットからブレインへの二重伝達が

まざまざと教えてくれている。

だから、チマタの糖質制限や少食ブームは、

グレリンにツバを吐く罰当たりなトレンドなのだ。

また骨も骨に関するホルモンのFGF23と

オステオカルシンを分泌するし、

グレリンと同じ若返りホルモンの仲間とされる

αクロトーは腎臓で、βクロトーは肝臓で作られる。

αクロトーはリンとカルシウムのコントロールを主な働きとし、

ATPの作用に必要なホルモンであることがわかっている。

βクロトーは肝臓における胆汁酸やコレステロールの合成に関与する。

これまでに聞き慣れないα&βクロトーホルモンも、

いずれグレリンとともにトレンドに浮上するかもしれないので、

頭のどこかにインプットしておきたい。

このように人体の臓器・組織・器官は

これまでの要素還元論的な1対1対応の

「ワンイシュー&ワンアンサー」なパラダイムでは

解き明かせないほどに複雑でファンキーと言える。

ただ、ホルモンの領域は、

こうしたわかっているメジャーなホルモンだけでも

100種類を優に超えるし、続々と新発見も相次ぎ、

これに免疫細胞が分泌するホルモンのサイトカインや、

神経伝達物質までもホルモンにカウントすると、

ヒトの体内で使われる細胞言語(セル語)の数は、

数え切れないほどの膨大な数になってしまう。

よって、セル語にはそれほど深入りはしないで、

ちょこちょこと養生法に関係するものだけを触れていく。

今から3億5000万年前のデボン紀後期に、

イクチオステガと呼ばれる原始両生類が

水生から陸生へと上陸を果たした。

その時にその肌に触れる酸素濃度は水中の60倍に、

重力負荷は水中の6倍に、

紫外線は水中のバリアーがなくなりモロに浴びることに、

なった。

酸素濃度の変化というストレッサー刺激と、

重力負荷の増大という圧力ストレッサー刺激と、

オゾン層を通過して降り注ぐ紫外線というストレッサー刺激が、

イクチオステガの皮膚のDNAのトリガーを引き、

エリスロポエチンとヒートショックプロテインと

メラニン色素を産生する遺伝子を起動させたと

私は今、想定している。

爾来、陸生生命史3億年余をかけて、

わたしたちイクチオステガの末裔は、

この酸素や紫外線や重力負荷のある過酷な地上を

生き延びた。

その陸上でのわたしたちご先祖さまの

生命を養い守ってきたのは、

グレリンが食欲を誘導することで食べた食べ物であり、

その食べ物を材料にミトコンドリアで作られた

ホルモンだった。



2017.02.17 | | コメント(1) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

身体論の解体と再構築 7

ヒトの皮膚の最表層は圧力刺激を受けたり、

紫外線を浴びると、ATPを放出する。

このヒトの皮膚の最表層で放出されたATPは

メッセンジャーとして皮膚の最深部に

伝達される。

ATPはこのように情報伝達分子として

機能していることがわかり、ホルモンとしての

働きがあることが判明している。

では、ヒトの皮膚は最表層で

受け取った圧力と紫外線をATPに変換して、

皮膚の最深部に何を伝えようとしているのか?

紫外線はDNAを傷つけ体内に活性酸素を増やす

いわば環境からのストレッサー刺激だ。

また圧力は細胞の構造にユガミを生じさせる

これも環境からのストレッサー刺激だ。

皮膚の最表層の細胞は環境から生体に対してストレスになる

ストレッサー刺激が加わったことを、

皮膚の最深部へと伝達している、と私は分析した。

つまりストレス応答としてATPが皮膚で放出されて

皮膚で情報処理がなされている、とみなせる。

とするとATPというホルモンの捉え方が

また変化してくる。

ATPはこれまでの常識では細胞活動のエネルギー通貨という

固定概念しかなかった。

ATPはだからエネルギーという見方だけだったといえる。

そこにこれまでのATP観とは異なるATP=ホルモン(情報伝達分子)

という概念が加わったのだ。

ATPがホルモンとして機能しているのなら、

では、このATPホルモンの目的は何なのか、を知りたくなる。

例えば膵臓から分泌されるインスリンには、

血液中の糖分を全細胞に分配するという血糖値を下げる目的がある。

また副腎から分泌されるアドレナリンには血糖値を上げて、

血圧を上げて闘争と逃走に最適の体内環境にする目的がある。

あるいはこのアドレナリンと拮抗的に作用する脳下垂体や

腸や皮膚や卵巣や睾丸や心臓や血管壁で産生される

愛と幸福のホルモンのオキシトシンには、

その名の通り血圧を下げて血流を増してヒトに多幸感を

もたらす目的がある。

このようにホルモンにはそれぞれに目的があり、

また標的器官と呼ばれる特異的な受容体をもつ

作用する場が存在する。

このホルモンの一般的な目的や作用機序をATPに

適用したら、ATPホルモンの真の目的や作用機序が

見えてくるはずだ。

皮膚の最表層で放出されたATPは皮膚の最深部に

圧力や紫外線が襲来したことを知らせるシグナルとして

作用したと私は解釈し、ストレス応答ホルモンとして

ATPを位置づけた。

だとすれば、一日に体重の1.4倍もの膨大な量が

ヒトの全細胞から産出されるATPは、常に

身体全体に何らかのストレスが加わっているから

気をつけろ、と命令しつづけているのか?

わたしはこの仮説があながち間違っているとは思えないのだ。

酸素は生命誕生の当初、今から38億年前の地球大気には

なかった分子だ。だから絶対嫌気性微生物にとっては

酸素は猛毒なのだ。この酸素が地球大気に増えだしたのは

シアノバクテリアが地球の海に増えて光合成で

シアノバクテリアが二酸化炭素を酸素に変えて放出した頃だ。

それから15億年をかけて海底の鉄イオンが酸化鉄となって

海底に一掃されると、地球大気の酸素濃度はグングンと

上がっていった。12億年前に嫌気的な生命体と

好気的なバクテリアがどうもドッキングしたようだ。

この嫌気的&好気的ドッキング生命体がわたしたち真核生物の

ご先祖様となったのだ。

この流れでいけば、ある意味、酸素は環境から与えられた

ストレッサー刺激のなかではかなり強力な侵害刺激、

いや最高度に危険なストレス因子として作用したはずだ。

この酸素という酸化毒性の強い分子を鉄イオンを使って

吸着して、ミトコンドリアのなかで鉄イオンを含む酵素の

酸化還元反応により水と二酸化炭素とATPに変換できたから、

嫌気的&好気的ドッキング生命体は酸素濃度の上がった地球で

これまで生きのびてこれたのだ。

酸素という猛毒が体内に侵入していることを知らせるために、

ミトコンドリアはこれまで12億年もの長きにわたり

ATPを作りつづけたのか?

ミトコンドリアはATPというホルモンを使って、

全身の細胞に酸素という猛毒が侵入したことを伝えつづけて

いたのか?

地球に生きるバクテリアたちはオートインデューサーという

分子を分泌する。このホルモンのようなオートインデューサーという

分子を使ってバクテリアは仲間たちとコミュニケーションを

とるのだ。そしてバクテリアの周囲のあるオートインデューサーの

濃度が一定以上に達すると、合意に達したと判断されて、

このバクテリアのコロニー(群れ)は一斉に

今度は新たなオートインデューサーとなる特別な酵素や分子を放出する。

このようなバクテリアの分子的なコミュニケーション作用を

クオラムセンシングと呼ぶ。

ミトコンドリアはかつては好気的なバクテリアだった。

ミトコンドリアもまたクオラムセンシングで仲間と交流していても

なにも不思議ではない。

つまりヒトの体内でコロニーを作ったミトコンドリアは

ATPというホルモンを使ってクオラムセンシングに

すべてのミトコンドリアとコミュニケーションをとっていた!

のかもしれない。

いや、ミトコンドリア同士だけではない。

ミトコンドリアと細胞がATPをホルモンとして交流していたのだ。

ヒトはミトコンドリアが生み出す膨大なATPというホルモンの

なかに浮かぶ存在だ。

このATPという繭(まゆ)、バリアーのなかにいさえすれば、

たとえ酸素が侵入しようと、圧力が加わろうと、

紫外線が降り注ごうと、ヒトは健康に生きていられるのだ。

ヒトはミトコンドリアが生み出すATPホルモンに

守られた存在だ。

2017.02.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

身体論の解体と再構築 6

血管はこれまで血液を運ぶパイプというのが常識だったが、

近年になり血管は血管それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その血管が自前で産生するホルモンとは

血管拡張ホルモンの一酸化窒素と、

血管収縮ホルモンのエンドセリンと、

血圧調整のナトリウム利尿ペプチドCの

3つのホルモンだ。

心臓はこれまで血液を送り出すポンプというのが常識だったが、

近年になり心臓は心臓それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その心臓が自前で産生するホルモンとは、

心房で作られる血圧調整のナトリウム利尿ペプチドAと

心室で作られる血圧調整のナトリウム利尿ペプチドBだ。

骨はこれまで身体を支える支持組織の芯で骨髄造血巣で

幹細胞を造血しミネラルを貯留する器官というのが常識だったが、

近年になり骨は骨それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その骨が自前で産生するホルモンは

カルシウムとリンをコントロールするFGF23と

インスリンの分泌を促進するオステオカルシンだ。

胃はこれまで食べ物の一時的貯留庫で胃酸で

食べた内容物を殺菌し胃液でタンパク質を分解する

消化器というのが常識だったが、

近年になり胃は胃それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その胃が自前で産生するホルモンは、

主に胃体部の胃底腺の内分泌細胞の約20%から

分泌されて、食欲を催し、胃壁を動かし、

心筋や血管を保護し、全身のミトコンドリアを増強する

若返りホルモンのグレリンだ。

皮膚はこれまで体表を覆う防御シートというのが常識だったが、

近年になり皮膚は皮膚それ自体で自前のホルモンを産生している

ことがわかった。

その皮膚が自前で産生するホルモンは、

ブレイン・ガット・ホルモン(脳腸ホルモン)と呼ばれる

脳と腸で作られているアドレナリンやアセチルコリンや

γアミノ酪酸や、βエンドルフィンなどの

数十種類と同じホルモンと、

腎臓で作られているエリスロポエチンと

血管で作られている一酸化窒素だ。

全身の細胞内に総数で1京8000兆個も存在するミトコンドリアは、

これまで酸素と太陽光線と脂肪やアミノ酸や糖質やミネラルやビタミンを

利用してATPという動力源を生みだして二酸化炭素と水に変換する

細胞内オルガネラというのが常識だったが、

近年になりミトコンドリアはミトコンドリアそれ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

そのミトコンドリアが自前で産生するホルモンは、

ATPだ。

ATPはこれまでは細胞活動のエネルギー通貨という固定概念が通説だったが、

ここ20年ほどの研究からATPは細胞間の情報伝達のためのホルモンと

捉えるトレンドが生まれている。

つまりミトコンドリアはATPというホルモンを生み出す

人体最大の内分泌器官とみてもおかしくないのだ。

ちなみに人体各所で生み出されるホルモンはすべてミトコンドリアに

送り込まれている。

乳酸という分子はこれまで筋肉内で産生される老廃物で

筋肉痛や凝りの原因分子というのが常識だったが、

近年になり乳酸はハードな筋トレの際などに速筋で

生み出されると30分間から1時間以内に

細胞膜にある乳酸トランスポーターという装置で

搬出と搬入がおこなわれて血流に乗って

速筋から遅筋と心筋に運ばれて、

遅筋と心筋のミトコンドリアを滋養することがわかった。

つまり乳酸は速筋の細胞質で生まれて遅筋と心筋のミトコンドリアへと

情報伝達をするホルモンのように振る舞っているのだ。

この乳酸と先述の胃ホルモンのグレリンと

血管ホルモンの一酸化窒素には、

全身のミトコンドリアを増強する作用が認められている。

ハードな筋トレを少し実践し乳酸を多く産生し、

胃ホルモンのグレリンの湧出を促すように、

足の三里を押して、また体壁筋肉系を刺激して、

胃の蠕動運動を促進し、

皮膚と血管壁を押して一酸化窒素を産生分泌する鍼灸指圧や

ストレッチの励行は、結果として全身のミトコンドリアを

活性化し、活性化された全身のミトコンドリアは

ミトコンドリアホルモンであるATPをよく産生することで、

全身の60兆個の細胞は活気づくのだ。

一説によれば全身のすべての細胞でホルモンは造られている。

それは当然だ。

全身のすべての細胞にはホルモン産生器官である

ミトコンドリアが内臓されているのだから。

これまで医学の常識では内分泌器官という特殊な臓器だけが

ホルモンを産生していると教えてきた。

その内分泌学の常識がすでに大きく揺らぎ始めているのだ。

ホルモンのトレンドは血管や心臓や骨や胃や皮膚や

脳腸やミトコンドリアへとシフトチェンジしている。

常識的な身体論を常識的に信じていると

時代に取り残される。

ホルモンとは言ってみれば細胞同士が情報伝達しあい

コミュニケーションをとるための分子ツールだ。

仮にホルモンを細胞(セル)の言語と解し、

「セル語」と名づけてみよう。

そう60兆個の細胞は何千種類ものホルモン、

つまりセル語を操るマルチリンガルの達人なのだ。

そのセル語のなかでも、ひときわ大事な言語が、

ATPであり、一酸化窒素であり、グレリンであり、

乳酸だ、と、独断したい。

ヒトの体内はセル語で満ちている。

2017.02.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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