コワモテ志願

「歯磨粉で腹痛が治る程度のも暗示なら、悪名高きメスメル博士の磁気療法も暗示である。メスメルは、始め磁石を病気の処にあてると天地間に充満しているエーテル(といっても麻酔剤のエーテルではない。昔は西洋でも天地の間には『気』がみなぎっていると考え、これをエーテルと呼んだ)が伝って病気を治す自然治癒力が動きだすのだと思った。しかし彼は程なく、それは磁力の効果ではないことを見破って、自分の手で触れる一種の触手療法に切りかえた。あまりにメスメルの磁気療法の名声が高まったあとなので、これは人間にそなわった『動物磁気』のなす業だというような説明を加えた。ドイツのミュンヘンにまねかれ、アカデミー会員であるオストヴァルトという有名な学者の「完全な麻痺症状と視力障害」を磁気療法で見事に治した。彼は「絶望的な状態や、それまでどんな医者の治療もうけつけずに身体にすっかり染みついてしまった病苦から磁石療法がたちまちのうちに不思議な力で救い出してくれた」時の様子を臨床的に精細に記述して報告した。その結果、王立バイエルン・アカデミーは、荘重な様式のもとでその会員に任じ、「その学識と発見が、まったく測り知れないほど有益なるものであることを実証し、秀れた、反論の余地なき研究によって自らの名声を不朽のものたらしめたこの卓越した人物の努力は、わがアカデミーの光輝ある歴史にさらに多大の貢献をなすであろうことを当アカデミーは確信するが故にこの人物を会員に推挙するものである」という賛辞まで与えている。彼の治療法は後に「暗示療法」であるという定評になって、メスメリズムということばは「催眠術」の意味にしばらく用いられるようになった。メスメルは、痙れんや神経発作の患者を見ると、そのこめかみを撫でたり、自分の息きを吸かけたり、筋肉の走行に沿って手をぐるぐると廻した。すると突然神経にあの神秘的な震えが生じたり、不意に痙れんがおこったりし、病状が最悪の状態まで高まった時、また急にこれが寛解して、病気が治ってしまう。彼はこれを「神経分利推進学説」などと説明した。問題はこういう強烈な暗示を与え得る人は特殊な「暗示力」の所有者なのか、そういう暗示を非常にうけやすい「敏感人」がいるのか、メスメルの処に集まる患者が、世上に流布する感謝文や治験報告で「前暗示」をうけて感じ易くなっているのである。いづれにせよ、すこぶる強烈な作用であって凡手のなかなか真似しがたい療法である。素人は、どこか悪いと、「何か薬を下さい」という。くすりということばの内容は千変万化で、ただ薬といっても漠然としている。彼は一人の人間であるというのと同様である。だから鍼灸など暗示だという毒舌は無意味である。鼻くそを丸めて丸薬にしてのませるほどの暗示ということなのか。メスメルのやった位の強い暗示なのか。くやしかったら、難病の一ッも暗示で治して見ろといいたい」『ちぐあん随筆』医博 間中善雄 医道の日本 平成3年12月号




鼻くそ丸めて万金丹。

信ずる者は救われる。

たとえ鼻くそでも高貴薬と信じて飲めば、

不眠症くらいなら治るかもしれない。

しかし、長年の重いものを持つ肉体労働がもたらした

脊柱管狭窄症を原因とする激痛の腰痛症が、

鼻くそ如きを飲んだくらいで治るとは断じて思えない。

西洋医巡りを経て、どこに行っても治らなかった

激痛の腰痛が、わずか1回の私の鍼治療で治った。

これが暗示なのか?

わたしはカリスマ治療師として名が知られているわけではない。

はっきりいって、まったくの無名だ。

だから前評判の「前暗示」効果はまったくなし、0だ。

鍼灸指圧を暗示効果となじる連中にひとこと言いたい。

そもそも鍼灸指圧を受けたこともない、

鍼灸指圧をやる側になったこともないお前さんがたに、

いったい何が分かるというのか?

わかりもしない領域には敬意を持って口を慎むが宜しい。

暗示などでコリの底から竜は立ち上がらない。

気の実体など、ズブのド素人に掴めるものではないのだ!

俺の25年の臨床実績を甘く見るんじゃねえぞ!

フンッ、たまにはこんなコワモテ・ハリィーもいいでしょ?

エッ、ぜんぜん、怖くないって、アハハ(笑)

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2017.06.28 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

なめんな猫

「鍼灸をご自身でやったことのない方は、あんなもので激痛がとまったの、難病が治ったのと聞くと、「暗示でしょう」と馬鹿になさる。すべての治療は、それを受けるのが人間だから、効果に暗示的要素はついてまわる。もしそんなものが一さい無かったら売薬や栄養食品や、健康器具はうれなくなる。宝くじなど買う人は無くなる。総額500万円あたる福引つき大売り出しなど企画する人は、頭がどうかしている。総額が一人にあたることはないのだからそんな文句は魅力になるはずがない。むかし東大教授で侍医頭だった入沢達吉先生などといったら、当時は内科の神様のような人だった。その門下生の一人が病気で寝ている処に往診した。不眠症で困っているという話を聞いて、「それなら、これをやって見たまえ」と目の前で薬を紙に包んで下さった。あとで「先生、あの薬は実によく効きました。何でしたか」と尋ねられて「君、あれは乳糖さ」と一笑なさったそうである。「神様」になるとその位のことは口に出さなくても心得ておられる。暗示、暗示と小馬鹿にするが、これにもピンからキリまである。」『ちぐあん随筆』医博 間中善雄 医道の日本 平成3年12月号




わたしは見た目は見ての通りたいしたことはない。

コワモテではないし、押しや迫力も皆無だ。

そのかわりに47歳の年のわりには

子どもみたいで、ナリもTシャツに半ズボンで

まんま子ども。

小心者で、いつもヘイコラしてしまう性格もあり、

どこへ行っても舐められる(笑)

だから、そういう私を丁重に扱ってくれる方に出会うと、

妙に感動してしまう。

さて、それはともかく、そんなナリや性格のせいか、

ついでに私の仕事まで舐められるパターンがこれまでは

多かった。

つまり鍼灸指圧を胡散臭い暗示的な疑似医療と、

そんな先入観で私に接触し探りを入れる皆様が

あとを断たなかった。

しかし、私もすでに25年以上も鍼灸指圧の臨床経験を積んでいる。

ここらで、ちょっと、態度を改めようと画策中だ。

ようは、なめんな猫(笑)を目指すのだ。

冒頭の間中博士の随想は以後の記事でも続きを掲載する。

わたしのこのくだらない文章との二重唱を楽しんで頂ければ幸いだ。

2017.06.27 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

静中の動

「日本の針灸の教科書には、中国書ではまだ公然と『廃用』と刻印をおしてくれないので印刷はするが、西洋医の手前もあり早く廃用にしたくてうずうずされている言葉がたくさんある。こういう評判のよくない『食卓上の骸骨』の筆頭は五行説である。『経絡』という言葉も廃用候補の筆頭にほど近い。良導絡という代用語が発明されたのも今にして想えば、廃用化の第一歩である。虚実・補泻・陰陽・気血・脈証などという言葉も、針灸界が近代化し、その指導者が独裁政権を樹立した時には、間もなく逮捕されてギロチンにかけられる運命にあろう。ある針灸家が日本で、どの位『近代化しているか』という指標は、その人の書く論文中にこのような廃用語、もしくは廃用の可能性のある用語をどの位避けているかで示される。」間中善雄


気とは何か?と問われて、

即答できる者はいない。

そもそも気とは何なのか、という定義すらないのだ。

ではあるが、気と呼べるような得体の知れない実体は

現実にあるのだ。

気という用語は今から20年以上前の気功ブームの狂乱で

消費され、いささかうす汚れてしまった。

雨後の竹の子の如くに出現したインチキ詐欺師たちが、

こぞって気という言葉でひとさまを騙したからだ。

しかし、考えてみれば、それも見えざる神の采配と

ポジティブに捉えてみれば、展望が広がるというものだ。

私は気という用語をストレートで使うこともあるし、

独自の代用語の『竜』や『気竜』に変換して使うこともあるし、

スターウォーズのなかで使われるフォースという言葉で

気を表現することも多い。

たとえ気という用語が廃用認定されても、

だから私はべつに何も困りはしないのだ。

患者のコリの底から気竜が立ち昇る時、

術者である私の全身のフォースも色めきたつ。

静寂の中の激動。

ホンモノの世界とはそういうものだ。

2017.06.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

フォースはある

「それから、もうひとつ日本人の例を出しますが、30代半ばの女性で、Oさんといいまして乳癌です。旦那さんは鍼灸師です。乳房を切り取って、片方大きくえぐりとって、左のリンパに転移した。それが手遅れで、医者からは「あと半年の命だ」といわれて藁にもすがる思いで北京にやってきた。李先生は「大丈夫だよ。治療もしてあげるし、自分でも気功を覚えて練習しなさい」と言ってあげたそうです。そして治療と気功の指導を毎日してあげたところ、だんだんよくなってきて、いまは日本に帰って元気で働いているとのことです。もともと家が幼稚園で、保母さんをされているとか。ほんとうにあきらめる必要はないですよね。だめだと思い込んでいるからだめになりますが、いろんな可能性があることを忘れてはいけません。李先生も「百パーセント治るとは言えない、でも今の医学で分からないこともあるんだよ」と言います。李先生は中国各地で気功の指導と治療を行っているのですが、あるとき西安に行って、18歳ぐらいになる女の子が小児麻痺の後遺症で足を引きずっていたのが、2回目の治療で歩けるようになったということがあったそうです。その日、家に帰って、二階の階段を昇れなかったのを自力で昇って「お父さん、お母さん、私ここまで昇ってこれたよ」と言っても両親は信じない。それで「もう1回降りて、見せてあげる」とやってみせたら、感動してみんな泣いたといいます。また大連では、大腿骨が壊死する病気の方が、松葉杖をついていたのが、李先生の治療を何回か受けた後で普通に歩けるようになったと言います。李先生はもともと西洋医で、整形外科の医者で、定年退職してから気功を教えたり、治療したりして回っているのですが、そのときは「おかしい、壊死しているものがこんなに早く回復するわけはない。診断ミスだ」と、もう1回前の病院に行ってレントゲン写真を持ってこさせたらしいのですが、それを見るとほんとうに壊死している。「診断ミスじゃなかったのか。ではもう一度撮ってみよう」と知り合いの医者に頼んで、今度はいろいろな角度から撮ってみたのですが、やっぱり壊死している。そのとき先生は「いままでの西洋医学では、器質的に変化し回復してから、機能的に回復していくのが常識だが、反対のこともありうるのかもしれない。まず機能が回復して、そのあと器質的によくなっていくということが」と首をかしげていました」」中健次郎『中国伝統医学の心の故郷を訪ねて』自然生活 第三集 野草社



フォースはある!

2017.06.26 | | コメント(6) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

至高のレベル

「何十年か前、胡輝貞という有名な鍼灸家がいまして、気功師でもあり武術家でもあったのですが、どれもものすごくレベルが高かったらしいのです。私はその娘さんに会いまして、家にも何回か行ってお話を聞いたのですが、その中にこんな話がありました。ある日、脳血栓の後遺症で片麻痺になっている患者さんがきたとき、胡先生はヒャクエに鍼をしただけで治してしまった。ヒャクエ1本で、患者さんは普通に歩いて帰っていったというから驚きです。普通の人がやっても効きませんよ(笑)では、どうしてこのようなことが行えたのでしょうか。その人の意識の状態、リラックスのレベルにもいろいろありますし、その意識にエネルギーが乗っていくかどうかも関係します。普通の人はあるところに意識をおいても、中国では意念といいますが、エネルギーが乗っていかない。これには特殊な訓練が必要です。乗ってきましたら自由に経絡を通してあげられます。あるいはリラックスの状態が素晴らしかったら、患者さんの緊張しているところを緩めれば、それが伝わるんです。必ず伝わります。意識と体で感応すると言っていいかもしれません。私も前に北京で、ある留学生でそんなものは信じないという人に、トクミャクに気を通してあげたことがありました。そしたら意外とうまく伝わったんですね。中には伝わりにくい人もいますが、その人はそれが契機になって、大分心の持ち方も考え方も変わったみたいです。「言葉以外にもコミュニケーションの手段ってあるのですね」と不思議がっていました。それまでは中国にいながら、中国人と食事もできない、外出もできないと、中国に対して拒否反応を起こしていたのが、それ以後無くなってしまった。ご自分のお子さんのことでも、こうしよう、ああしようというのがすっとぬけていって、子どもは子どもでいいや、と思うようになったと言っていました。気功治療は体の治療だけでなく、意識の変革もできるように思えます。賀先生を見ても、みなさんお分かりでしょう。ああいう雰囲気の中でやっていると、治りそうな気がするでしょう。にこにこされていて、患者とも仲がいいし、子どもの患者が来るとみんな「賀じいちゃん、賀じいちゃん」と言ってなつくんですよ。よく中国のお寺には大きなおなかの布袋さまがいて、子どもがいっぱいそのまわりにまとわりついていますが、ちょうどそんな感じです。お顔も。もう一人私のつかせてもらった鍼の名人に、その道60何年という許作霜先生がいます。87歳で、今でも現役で毎日治療されていて、元気そのもの。白髪がない。治療も素晴らしい。外人では私がはじめてつかせてもらったんですが、難病、奇病、いろんなところで治らなかった人が治っていきます。左右両方の手で同時に鍼を刺します。耳に皮内鍼も入れますが片方だけで、1回ごとに左右かえてやっていきます。技術は見てて、そんなに難しいものではなく、真似しようと思えばできますが、その奥が大事なのです。それが全てなんですね。中国で見ていますと、この奥にあるところのものは芸術でも一致しているんです。中国の山水画とか、古典音楽の楽器の世界でも、大事なところは一緒なのです。ひとりで中国の古典楽器を十幾つも演奏される名人に会いましたが、弦楽器も、笛も、全て超一流。吹くときには丹田から気を導き、弦をひくときも丹田から気を指に伝えて弾くと言っていました。そうなりますと、弦を毎日何万回押さえようと、指先が固くならないとか。普通、誰でもギターとか弾いていると、指先の皮が固くなっていきます。それがそうならない。最高のリラックスです。そこが違うところです。あとからもう1本ビデオをお見せしますが、70〜80歳の老師達に共通するところは、手が柔らかい。ふにゃふにゃで赤ちゃんみたいです。ピンク色なんです。足もそうです。これは1ヶ月や2ヶ月やってもそうならない。やはり日頃のその人の人生がそこにあらわれてきています。自分に悪影響を及ぼす外の世界を、自分の心で変えようと思っても即座には変えられませんが、そのときの自分の反応を、たとえばイライラしたり、怒ったりは、それは変えることができます。内なる世界が変わればいいのですから。これらの先生方はその達人なんです」中健次郎『中国伝統医学の心の故郷を訪ねて』自然生活 第三集 野草社






この講演録にあるように東京の鍼研鑽会で特別講演をされている中健次郎さんと

いう鍼灸家&気功師とわたしはまったく面識はありません。

ただ、たまたま、入手した書物に、中さんの講演録が掲載されていた。

それで何気なく読み進めたら、とんでもない事が書かれており、

わたしにとってはとても大きな影響を与え続けて、

いまもって汲めども尽きぬ叡智の源泉、治療の羅針盤に

なり得ている宝のような文献だ。

鍼灸師向けの講演であるから、プロ仕様の内容だが、

それぞれの道で至高のレベルを目指す皆様なら、

感ずるところ大であるはずだ。

それぞれのまなざしでお読み頂ければ幸いだ。

2017.06.26 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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